二関節筋を考慮した関節可動域の測定~股関節屈曲可動域制限の原因を考える~

投稿者: | 2018年9月1日

筋の短縮(伸張性の低下)を評価する場合に,一般的な関節可動域測定(二関節筋を緩めた肢位での測定)だけでなく二関節筋を伸張した肢位での測定を行うことによって,二関節筋の短縮を特定することが可能です.今回は股関節屈曲可動域制限について考えてみたいと思います.

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股関節屈曲可動域制限の原因

膝関節伸展位での股関節屈曲角度と膝関節屈曲位での股関節屈曲角度を測定し比較すると股関節屈曲可動域制限の原因を特定しやすくなります.膝関節伸展位で股関節屈曲可動域が小さく,膝関節屈曲位で股関節屈曲可動域が大きくなれば,膝関節屈曲と股関節伸展作用を持つ二関節筋であるハムストリングス(大腿二頭筋長頭・半膜様筋・半腱様筋)が短縮している可能性が考えられます.

膝関節伸展位でも膝関節屈曲位でも股関節屈曲角度が同程度制限されている場合には,ハムストリングス以外の股関節伸展作用を持つ単関節筋(大殿筋・中殿筋後部線維・小殿筋後部線維・大内転筋後部線維)に短縮の可能性があります.膝関節屈曲位と伸展位で股関節屈曲可動域が同程度制限されている場合には,筋の短縮だけでなく関節包の短縮,関節内運動の障害,骨の衝突, 浮腫や疼痛,皮膚の伸張性の低下などが関節可動域制限の原因と考えられます.

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股関節屈曲可動域制限の原因を特定する

前述したように膝関節伸展可動域を測定する場合には,必ず膝関節伸展位と膝関節屈曲位の2つの肢位で測定を行う必要があります.

症例①は膝関節屈曲角度に関わらず,股関節屈曲可動域が制限されております.end feelは軟部組織伸張性で殿部後面の表層筋に仲張痛を訴えています.したがって股関節伸展の作用を持つ単関節筋(大殿筋・中殿筋後部線維・小殿筋後部線維・大内転筋下部線維)のうち,患者の訴えから大殿筋の短縮が考えられます.

症例②は膝関節屈曲位に比べて,膝関節伸展位で股関節屈曲可動域制限が著しいこと,end feelは軟部組織伸張性であり,患者は大腿後面の伸張痛を訴えていることから,股関節屈曲可動域制限の原因として股関節伸展・膝関節屈曲の作用を持つハムストリングスの短縮が考えられます.

今回は股関節屈曲可動域制限の原因について考えてみました.症例の可動域制限を考える上では,対象者の訴える疼痛部位や,end feel,解剖学や運動学的な特性をふまえて可動域制限の原因を考える必要があります.次回は股関節屈曲可動域制限の原因について考えてみたいと思います.

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