骨盤底筋トレーニングの実際~効果的な運動の方法を知りたい~

介護予防
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前回は骨盤底筋群の機能低下についてご紹介させていただきました.

今回は骨盤底筋トレーニングの実際について考えてみたいと思います.

 

 

 

 

目次

骨盤底筋トレーニングの方法

ここでは坐位で骨盤底筋トレーニングを行う方法をご紹介します.

まず椅子に浅く腰掛け,骨盤前傾位・腰椎伸展位とします.

次に両大腿で両手を挟むようにしながら骨盤底筋群に力を入れます.この時に合わせて両側の踵を挙上しながら運動を行うと効果的です.

この運動の際に股関節が動いたりする場合には,骨盤底筋群ではなく他の筋肉が働いてしまっているので注意が必要です.

 

 

 

骨盤底筋を収縮させるためのコツ

骨盤底筋トレーニングといえば収縮感覚がわかりにくいといった点が大きな特徴です.

健常者でもわかりにくいわけですから,高齢者となるとなおさらです.

ガイドラインをみますとバイオフィードバックがとても有効であると結論付けられておりますが,介護予防事業のようなポピュレーションアプローチでバイオフィードバックを取り入れるというのは現実的ではありません.

 

ここでは骨盤底筋群の収縮感覚を理解するためのコツをご紹介します.

 

 

①尾骨を触診する

骨盤底筋群がうまく収縮できていれば,尾骨は頭側(上方)に移動しながら体の中に入り込むような動きが起こります.尾骨を触診しておいてこの動きを確認してもらうといいでしょう.

 

 

②実際に排尿・排便を止める

収縮感覚を理解してもらう声掛けとしては,「排尿中に尿をとめるような感覚で,おならをとめるような感覚で」といった声掛けが有効ですが,これでもわかりにくい場合には,実際の排尿時や排便時に排尿や排便と止めて収縮感覚を覚えてもらう方法が有効です.

排尿や排便と止めることができれば確実に骨盤底筋群を活動させられておりますので,最終的にはこの方法が最も有効だと思います.

 

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骨盤底筋トレーニング実践時の姿勢

骨盤底筋トレーニングを実施する時の姿勢は基本的には収縮感覚を得やすい姿勢を選択してもらうことが重要です.

 

四つ這い位や肘を支持させた四つ這い位は骨盤底部にかかる臓器の負荷を除去できるため,骨盤底筋群の収縮感覚を会得しやすいため有効です.

また骨盤底筋群と足部の肢位に関する研究によると,足関節が底屈位で重心が前方にあるほうが,背屈位の時よりも骨盤底筋群が活動しやすいことも明らかにされております.

したがって立位で底屈したような姿勢も骨盤底筋群の収縮を得るためにはとても有効です.

 

 

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さらに坐位姿勢で行う場合には左図のような骨盤後傾-胸腰椎後彎位ではなく,右図のような骨盤前傾-胸腰椎前弯位でトレーニングを行った方が骨盤底筋群の収縮を得やすいです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呼吸も重要

さらに骨盤底筋トレーニングを行う際の呼吸方法も重要となります.

通常は吸気時に横隔膜が下がり,呼気時に横隔膜が上がります.

したがって呼気に合わせて横隔膜が挙上するタイミングで骨盤底筋群を活動させると,より骨盤底筋群を活動させやすくなります.

 

 

 

股関節周囲筋の筋力トレーニングも重要

肛門挙筋の一つである腸骨尾骨筋は股関節外旋筋群である内閉鎖筋と筋膜により連結しています.

また股関節内転筋群も肛門挙筋と連結しておりますので,股関節内転筋や大殿筋の収縮は骨盤底筋群の収縮を促し,共同筋であるとの報告もあります.

したがって股関節内転筋群,大殿筋,内閉鎖筋をはじめとする股関節周囲筋のトレーニングを実施することも重要となります.

 

 

今回は骨盤底筋トレーニングの方法についてご紹介いたしました.骨盤底筋群を効率的に収縮させるには,収縮感覚をつかんでもらうことが重要です.また姿勢や呼吸法を工夫することで骨盤底筋群の収縮を得やすくなります.これらをうまく組み合わせて効果的な指導を行いましょう.

 

参考文献

1)Sapsford R , et al :Pelvic fioor muscle Activity in Different Sitting Postures in Continent and Incontinent Women. A Phys Med Rehabil 89: 1741-1747, 2008

2)Chen CH , et al : Relationship between ankle position and peIvic floor muscle activity in female stress urinary incontinence. Urology 66: 288-292, 2005

3)Bo K, Stein R: Needle EMG registration of striated urethral wall and pelvic floor muscle activity patterns during cough, Valsalva, abdominal , hip adductor and gluteal muscle contractions in nulliparous healthy females. Neurology and Urodynamics 13: 35-41, 1994

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