開眼片脚起立テスト~何秒できたらいいの?~

投稿者: | 2018年7月8日

 片脚立位時間評価について 

前回はバランスの階層構造を考慮したバランス機能の捉え方についてご紹介させていただきました.

バランス機能の捉え方~そもそもバランスって何?~

今回はバランス機能評価の中でも使用頻度の高い開眼片脚立位テスト(OLS: One leg standing-test)について測定結果の解釈の仕方,測定における注意点を考えてみたいと思います.

 

 

 片脚立位時間の高齢者年齢別基準値・カットオフ値(文献的) 

はじめに大規模研究結果から得られた片脚起立時間の基準値をお示しいたします.

当然ながら加齢に伴い片脚起立時間は短くなってしまいますので,対象者の年齢に合わせた基準値を用いることが重要です.

これは1000例を超える日本人を対象として作成されたものですが,基準値が年齢別に示されております.

 

高齢者理学療法学 [ 島田裕之 ]

カットオフ値に関しても様々な報告がありますが,特に開眼片脚起立時間が5秒未満の者はその後に骨折に至る転倒をする危険が高いということが明らかにされております.

また運動器不安定症の基準としては開眼片脚起立時間のカットオフ値が15秒とされております.

その他にも20秒をカットオフ値としている報告もあります.

 開眼での測定と閉眼での測定どちらで行うべきか? 

片脚起立の評価方法には目を閉じて測定を行う閉眼片脚起立テストと目を開けて測定を行う開眼片脚起立テストの2種類がありますが,転倒予防を目的として測定を行う場合には「開眼片脚立位」で測定することが多いです.

閉眼片脚起立テストがどのような場合に用いられるかですが,閉眼で実施することで姿勢保持に関わる視覚による影響を取り除くことができますので,体性感覚・前庭感覚の機能低下をより鋭敏に表出させることができます.

感覚麻痺を合併する片麻痺例や末梢神経障害を合併する糖尿病症例などでは閉眼片脚起立時間を測定することがあります.また小脳性の失調例では教科書的には開眼における測定値と閉眼における測定値に差がない(ロンベルグ徴候陰性)とされておりますが,そもそも小脳に障害がある方は開眼条件でも大きくふらつかれる方が多いのが実際です.

 

 片脚立位時間の測定方法 

  • 片脚を5cm以上挙げている時間を測定します
  • 左右2回測定し最も良い記録を測定します(平均値を用いることもあります)
  • 60秒または120秒を上限として測定を行います
  • 上げた足が床に付いた時や反対の足に触れた時にはそこで終了です
  • また支持側の足底が床から離れた際にはそこで終了です
  • 運動の開始をご自身のタイミングで行ってもらうことも重要です(こちらが開始を指示した場合とご自身で開始のタイミングを決定した場合では測定結果が大きく変わります)

介護予防事業で測定を実施しておりますと,片脚起立時間測定の際に支持側の足で跳ぶようにして姿勢を保持しようとする方が非常に多いです(特に男性).

足底が床から離れたらそこで終了となることを事前に説明しておくことと,足がつきそうになったら素直に足を出すことも重要(実際に転倒しそうになった際にはこういった反応が重要となる)であることをしっかりと伝えましょう.

 

 トレーニングとしての片脚立位 

片脚起立というのは本当に単純な運動ですが馬鹿にできません.

実は1分間の片脚起立を1日3回行うとおおよそ53分ウォーキングを行ったのと同じ程度の負荷を大腿骨頸部(足の付け根)に加えることができます.

ですので片脚起立運動はバランス能力を向上させて転倒を予防するといった意味でも,大腿骨の付け根に負荷をかけて骨量を維持するつまり骨粗鬆症を予防するといった意味でも有益です.転倒予防・骨折予防の両方に繋がるということです.

片脚起立トレーニングのポイントですが

  • 上げる方の足が支える足に接触しないように片足で立つ
  • 片方の足が終わったら,次に反対側の足で立つ練習へ移る
  • 合計時間が60秒になるように行う(続けて60秒できない場合にも,足をついてからまた片足の姿勢になり合計時間が60秒になるように行う)
  • バランスが崩れた場合には無理をせず足を踏み出して姿勢を修正することが大切
  • 転倒予防のために運動を行っていて転倒してしまっては本末転倒なので支持物から両手を離して行うがバランスを崩してもよいようにつかまれる物がある場所で練習を行う

 

参考文献
1)坂田悍教, 他: 地域在住高齢者の体力-転倒における片脚起立時間の測定の意義-. 埼玉圏央リハビリテーション研究会雑誌 4: 13-16, 2004
2)Vellas BJ, et al: One-leg balance is an important predictor of injurious falls in older persons. J Am Geriatr Soc45: 735-738, 1997
3)村永信吾, 他: 高齢者の運動機能(健康増進)と理学療法. 理学療法ジャーナル43: 861-868, 2009
4)阪本桂造: 
片足立ちトレーニング(ダイナミックフラミンゴ療法)の有効性. 骨粗鬆症治療12巻: 46-49,2013

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