大腿骨近位部骨折の分類

投稿者: | 2018年7月6日

大腿骨近位部骨折も大腿骨近位部骨折というのはその名の通り,大腿骨の中でも体の中央つまりおへそに近い部分の骨折を指します.

大腿骨近位部骨折の疫学的な話でもご紹介いたしましたが,本邦においては大腿骨近位部骨折は加速度的に増加しており,医療費を増大させることから社会的な問題にもなっております.大腿骨近位部骨折のリハビリテーション(理学療法・作業療法)を考える上では,大腿骨近位部骨折の分類についてまず整理しておく必要があります.

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 看護・リハビリに必要な大腿骨近位部骨折の分類 

 

大腿骨近位部骨折は大きく分類すると図のように5つのタイプの骨折に分類されます.

a.骨頭骨折 

b.頸部骨折 

c.頸基部骨折

d.転子部骨折

e.転子下骨折

骨粗鬆症性骨折としては圧倒的に頸部骨折・転子部骨折が多いと言われております.b~dの骨折型がおおよそ90%以上を占めると考えてよいでしょう.

 

 大腿骨近位部骨折の呼称 

私が理学療法士になった約20年前には実は大腿骨近位部骨折を大腿骨”頸部”骨折と総称しておりました.

ですので大腿骨”頸部”骨折の中に,大腿骨頸部骨折(内側骨折)と大腿骨転子部骨折(外側骨折)が含まれており,非常にわかりにくい状況でした.

整形外科の医師に「救急で昨日入院になった大腿骨頸部骨折の患者さんの理学療法の指示を出すからね」と言われても,関節包内骨折の患者さんか,関節包外骨折の患者さんかの判断がつかなかったわけです…

2004年に大腿骨頸部・転子部骨折治療ガイドラインが出版され,大腿骨近位部の骨折を“大腿骨近位部骨折”と,関節包内の骨折を”大腿骨頸部骨折”と,関節包外の骨折を”大腿骨転子部骨折”と呼称することとなりました.

ガイドラインは現在第2版が出版されております.

それからもう1つ注目すべきは大腿骨頸基部骨折という骨折型です.頸基部骨折は関節包内外にまたがる骨折なのですが,ガイドライン上は大腿骨転子部骨折として扱われます.

 

 高齢になると転子部骨折が増える? 

さらにもう1つ面白いのは大腿骨近位部骨折における骨粗鬆症骨折として多い頸部骨折・転子部骨折の割合です.

日本整形外科学会のデータによると転子部骨折は頚部骨折よりも1.4倍多く,注目すべきは85歳以上になると転子部骨折例の割合が急増するといった点です.

つまり大腿骨転子部骨折例の方が頚部骨折例よりもそもそも高齢であることが多いということです.

なぜ高齢になると頸部よりも転子部が骨折しやすくなるかについては今のところ明らかにされておりませんが,わずか数cmの部分の違いなのに不思議ですね.

骨折型別に術後の運動機能を比較した報告も近年増えてきておりますが,そもそも大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折というのは集団の年齢が異なることが多いので,比較をする場合には年齢の違いを考慮した上で比較をすることが重要となります.

 

 頸部骨折と転子部骨折では手術方法(術式)や禁忌肢位も異なる 

同じような部位の骨折なのですが実は骨折型によって手術方法が異なるのはもちろん,病態も大きく異なりますので,理学療法や看護を行う上でもそれぞれの骨折の特徴を把握しておくことが非常に重要となります.

特に転位型の頸部骨折例に対する人工骨頭置換術では関節侵入方によっても禁忌肢位が異なりますので,骨折型はもちろん術式の特徴を把握しておくことが重要です.

よく看護学生から質問されますが,転子部骨折については基本的には禁忌肢位というのはありません.

どれだけ屈曲しようが内転しようが脱臼したりということはありません.

ただ不安定性の強い転子部骨折の場合には,荷重制限が設けられている場合もありますので注意が必要です.

 

 

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参考文献
1)大腿骨頸部・転子部骨折診療ガイドライン,2011
2)Horii M, Fujiwara H, et al.: Urban versus rural differences in the occurrence of hip fractures in Japan’s Kyoto prefecture during 2008-2010: a comparison of femoral neck and trochanteric fractures. BMC MusculoskeletDisord.2013; 14: 304.

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