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理学療法士・作業療法士も知っておきたいPhase angle
理学療法士・作業療法士の中でもリハビリテーション栄養という概念が普及してきました.
リハビリテーション栄養に関連する用語の中で,最近耳にすることが多いのがPhase angleという用語です.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいPhase angleについてご紹介させていただきます.
理学療法士・作業療法士も知っておきたいPhase angleとは?
まずPhase angleってどういった概念なのでしょうか?
近年,生体電気インピーダンス分析法(以下BIA)は日常の診療や栄養評価,スポーツなどのさまざまな分野に用いられております.
このBIAを利用して算出されるPhase angleは細胞膜の抵抗を表した角度であり,細胞や細胞膜の栄養状態と関係が深く,体細胞量に反映する指標とされております.
健常者やアスリートなどの構造的完成度の高い細胞膜をもった正常細胞では,Phase angle は高く計測され,老化やがんなどの細胞膜の構造的損傷や細胞密度の低下した障害細胞では,Phase angleは低く計測されるといった特徴があります.
Phase angle は細胞の健常度や全体的な栄養状態を反映することから,各種疾患の予後予測因子や栄養指標として注目されております.
またPhase angle は人体に微弱電流を流し細胞膜の抵抗値を直接測定して算出する実測値であるため,身長や体重だけでなく体液過剰の影響を直接受けない利点があります
そのため通常の体成分分析には則さない重症度の高い患者や重症心身障害者などの正確な栄養評価が困難なクライアントに対してもPhase angle の計測が有用と考えられます.
Phase angleは効果判定にも有用
サルコペニアを判定する指標として代表的な指標に握力が挙げられます.
ただ握力ってなかなか変化しませんよね.
握力の場合にはサルコペニアのスクリーニングには有効なのですが,効果判定指標としては微妙だと言わざるを得ません.
しかしながら筋量を臨床で直接的に測定することにも限界があります.
Phase Angleは生体インピーダンス法(BIA)で計測される値で,サルコペニアやフレイルと強く関連することが知られております.
そのためサルコペニアに対して介入後に効果判定を行ううえでも有益であると考えられます.
Phase angleの標準値は?
残念ながらPhase angleの標準値は定められておりませんが,Phase angle0°は細胞の破壊を意味しますので,Phase angleが低いほど細胞の健康状態・機能が低下していることを意味します.
Phase angleは体格と比例しますので,性別や人種によっても値は異なり,加齢によって低下していきますので,年代によっても異なります.
透析患者を対象にPhase angleで栄養評価を行った研究では,4°以下で栄養不良,5°以上で栄養良好を示したと報告されております.
健常的な一般成人では5~7°が今のところの標準値と言えるでしょう.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいPhase angleについてご紹介させていただきました.
新しいPhase angleという概念をご紹介させていただきました.
今後も耳にする機会は多いと思いますので,皆様もPhase angleを頭の片隅にでも入れておきましょう.