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理学療法士・作業療法士は更衣時間も業務時間に含めるべき
理学療法士・作業療法士であれば病院や施設に出勤してからまずは白衣やケーシー,スクラブに着替えると思います.
ここで問題になるのがこの着替えの時間が業務時間に含まれるのかといった点です.
着替えの時間は仕事じゃないでしょとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが,実際のところはどうなのでしょうか?
今回は理学療法士・作業療法士は更衣時間も業務時間に含めるべきであるといったお話です.
結論から言うと…
まず結論から申し上げますと理学療法士・作業療法士の着替える時間は労働時間に含まれます.
理学療法士・作業療法士の場合には,白衣やケーシー,スクラブに着替えないと仕事ができません.
白衣やケーシー,スクラブを着ないと規定違反になるということであれば,更衣の時間は立派な労働時間と考えることができるでしょう.
でも現実は着替える時間は仕事時間外となっている方も多いと思います.
更衣時間に関してはそもそも労働時間に該当するなんて思いもしなかったという理学療法士・作業療法士がほとんどではないでしょうか?
ただこれって結局のところ病院や施設にとって都合のよい状況にされているだけなんです.
ボランティア労働に気付かずに過ごしている理学療法士・作業療法士も多いと思います.
労働基準法では?
労働基準法には労働時間の定義はありませんが32条に書かれている「労働させる」という表現から,「使用者の指揮命令下にあれば労働時間にあたる」という解釈が行われています.
つまり白衣やケーシー,スクラブに着替えるなどの準備行為が使用者から義務付けられ,または余儀なくされているときは労働時間に含まれることになります.
平成12年3月に最高裁が判決を出した「三菱重工長崎造船所事件」でも最高裁は,作業服等への着替えは使用者が従業員に対して義務付けており,特段の事情がない限りはこうした時間は労働時間に当たるという判決を下しています.
病院や施設側から「始業前に準備を整えておくのは社会人としては当たり前のこと」「他のみんなもやっているんだから」などといわれると思わず「そういうものか」と納得してしまいそうになりますが,実はこれらはルールに違反していることになります.
1年間で48,000円,もうタダ働きをやめませんか?
たかが着替える時間ですが,1回5分で出勤前と後でトータル時間を計算すると(年間休み120日)…40.8時間もタダ働きということになります.
ちなみに2000円の時給で計算すると年間で48,000円も損をしていることになります.
1人の理学療法士・作業療法士でこの金額なので病院側が渋るのも納得です.
500名も職員がいれば250万円近くの費用になります.
だからといって更衣時間は労働時間ではないといった間違ったルールを正当化することには問題があるでしょう.
定時より5分前退勤もあり?
こう考えると17時30分が定時の場合には17時25分に着替え始めるというのも当然ありだと思います.
また更衣のために移動が必要な場合には移動時間を見込んだうえでリハビリテーション部門を退出するというのも間違えではないと思います.
感染対策のための手洗いの時間も含めてももちろん問題ありません.
あくまで労働基準法から考えればということになります.
今回は理学療法士・作業療法士は更衣時間も業務時間に含めるべきであるといったお話でした.
着替えの時間は仕事じゃないでしょとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが,実際のところは更衣の時間も業務時間に含めるべきです.
理学療法士・作業療法士の皆様も改めて労働時間について考えてみてはいかがでしょうか?