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専門理学療法士の合格率が低すぎて有能な理学療法士の協会離れが進む?
一昨日,2021年の認定理学療法士・専門理学療法士試験の合格発表が行われました.
深刻なのが専門理学療法士の合格率です.
今回は専門理学療法士の合格率が低すぎて有能な理学療法士の協会離れが進んでしまうのではないかといったお話です.
2021年度の専門理学療法士の合格率
2021年度の専門理学療法士(新規)の申請者数は236名であったようです.
認定理学療法士の申請者数が6000名を超えておりますので,30分の1ということになります.
申請だけでもけっこうハードルが高いのが専門理学療法士資格ということになるでしょうか.
なお合格者数は133名となっております.
つまり合格率は56.4%であったということになります.
合格率もかなり低いですね.
ちなみに2021年度の専門理学療法士(更新)に関しても更新申請者は193 名であったのに対して,合格者数は156名となっております.
つまり合格率は80.8%であったということになります.
書類を出すだけなのになぜこんなに合格率が低いのか?
専門理学療法士の場合には,認定理学療法士とは異なり試験があるわけではありません.
基本的にはポイントや書類の申請と論文1編を提示し,審査が行われるといった形式となっております.
なぜ書類を提出するだけなのにこんなに合格率が低いのでしょうか?
制度が複雑なうえに修正申請が認められない
これは専門理学療法士に限ったことではありませんが,書類不備の場合には基本的には修正申請はありません.
書類に不備あれえばその時点で不合格という非常に不親切な精度なわけです.
認定理学療法士制度に比較しても専門理学療法士制度はポイント数が多く必要なポイントの設定も複雑です.
複雑なシステムなだけにちょっとしたミスが命取りになるわけです.
協会側からすればマンパワーが不足しているため修正申請を認めていないのだと思いますが,ちょっとしたミスで資格が剥奪されるといった制度ってどうなのでしょうか?
ミスした理学療法士の能力不足だといった見方もありますが,こういった仕組みで優秀な理学療法士が専門理学療法士を更新できなかったり,新規申請で専門理学療法士になれなかったりすると,法人学会の仕事を進めるうえでもマイナスでしかないと思うんですよね.
論文審査の不透明性
専門理学療法士の場合には,論文審査が行われるわけですが,この論文審査の内容が不透明な点も合格率が低い原因の1つだと思います.
アクセプトされている論文でも分野や内容によっては不合格となることがあるようですので,このあたりも難しいですよね.
なぜ不合格だったのかがわからない
おそらくもっとも申請者のモチベーションを下げるのがこの部分です.
認定理学療法士制度のようにポイント・症例レポート・認定試験のうちどれが原因で不合格になったかをはっきりさせてくれれば次回の申請に活かしようがあるのですが,専門理学療法士制度の場合にはなぜ不合格になったのかはまったくわかりません.
これでは次回に改めようがありませんし,優秀な理学療法士がもう申請するのはやめよう,協会の仕事はしない,協会は退会しようといった思いになるのも理解できます.
今回は専門理学療法士の合格率が低すぎて有能な理学療法士の協会離れが進んでしまうのではないかといったお話でした.
新生涯学習システムでは専門理学療法士の取得においても口頭試問といった形式で論文について審査が行われるようですのでもう少しわかりやすくなるのかもしれませんが,法人学会の機能を高めるためには専門理学療法士の確保が必至です.
制度を見直してこれ以上有能な方が協会や法人学会から離れてしまうのを阻止しなければなりません.