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理学療法士・作業療法士も注意したいインターネット上の自己開示
最近は理学療法士・作業療法士の情報もSNSをはじめさまざまなツールを使って検索をすることが可能となっております.
でも理学療法士・作業療法士の皆さんはクライアントから自分自身が検索されているって意識はありますか?
今回は理学療法士・作業療法士も注意したいインターネット上の自己開示について考えてみたいと思います.
インターネット上の自己開示を考えるうえで重要な論文
JMIR Ment Health. 2016 May 26;3(2):e22. doi: 10.2196/mental.5169.
Do Patients Look Up Their Therapists Online? An Exploratory Study Among Patients in Psychotherapy
Christiane Eichenberg 1, Adam Sawyer
Affiliations expand
PMID: 27230433 PMCID: PMC4901188 DOI: 10.2196/mental.5169
この論文がインターネット上の自己開示を考えるうえで非常に参考になります.
論文によると
この論文によると心理療法を経験のあるクライアントの実に44.5%が心理職に関する情報を検索したと報告されております.
具体的には心理職のこれまでの経歴などの仕事上の情報から,配偶者の有無や趣味などのプライベートな情報まで,Googleなどの検索エンジンやSNSを利用した情報収集が行われていました.
さらにこの研究では,ほとんどのクライアントは心理職についていたーネット情報を検索したことを心理職には伝えていないことも報告されています.
こういった結果から考えると医療者や心理職は,自分たちに関するさまざまな情報をクライアントがすでに知っている可能性があることを認識しておいた方がよいでしょう.
SNSによる情報発信にも注意
TwitterやFacebookなどのSNSにおける情報発信や,アイコンで使用するイラスト,写真等も広い意味での自己開示と言えるでしょう.
米カウンセリング協会(ACA)では,心理職がSNSを利用する際にプライベート用と仕事用のアカウントを分けて用いることを推奨しております.
また日本でも医療者がSNS関連のトラブルに陥らないためのSNS利用チェックリストが開発されております.
理学療法士・作業療法士をはじめとする医療者や心理職は,SNSの利用に際してネットリテラシーを十分に身につけた上で情報を発信することが重要となるでしょう.
SNSなんかも実名で行う場合には注意が必要です.
クライアントに検索されることありきで情報を発信すべき
上述した調査の結果から考えると,理学療法士・作業療法士もクライアントに検索されることありきで情報を発信すべきですね.
仕事とは関係ないプライベートのことを発信するといっても,あまり下品な内容を実名で発信するのは非常に危険です.
クライアントに検索されれば,それだけで信頼を失ってしまうことになるでしょう.
プライベートのことを気にせずに発信したいのであれば,SNSは匿名で行った方が無難だと思います.
学術情報がクライアントの信頼につながることも
一方で学術論文を多く書いてそれが検索サイトを通じてヒットすれば,検索結果を見たクライアントはその理学療法士・作業療法士に対して高い評価を抱きやすくなると思います.
おそらくクライアントには専門的なことは理解できないかもしれませんが,論文を多く書いていたり,研修会講師を務めているなんて情報をクライアントが目にすれば,その情報がクライアントに正の影響をおよぼす可能性が高いです.
プラセボ効果は大きいでしょうね.
今回は理学療法士・作業療法士も注意したいインターネット上の自己開示を考えるうえで重要な論文をご紹介させていただきました.
理学療法士・作業療法士もSNSやインターネット上で情報を発信する際には,理学療法士・作業療法士が担当しているクライアントに情報を検索されることを十分に認識したうえで情報を発信する必要があるでしょうね.