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日本老年医学会からCLINICAL FRAILTY SCALE(臨床虚弱尺度)日本語版が出される
フレイルという用語が一般的になってきてから長い年月が経過します.
フレイルの評価尺度にもさまざまなものが報告されておりますが,一番使用されているのはFriedの提唱した評価尺度でしょうか?
今回は先日出された日本老年医学会から出されたCLINICAL FRAILTY SCALE(臨床虚弱尺度)日本語版についてご紹介させていただきます.
CLINICAL FRAILTY SCALE(臨床虚弱尺度)日本語版
このCLINICAL FRAILTY SCALE(臨床虚弱尺度)日本語版ですが以下のような9段階で評価を行うこととなっております.
1.非常に健常である
頑健,活動的,精力的,意欲的な人々である.
これらの人々は通常、定期的に運動を行っている.
同年代の中では,最も健常である.
2.健常
活動性の疾患の症状はないものの,カテゴリー1ほど健常ではない.
季節等によっては運動をしたり非常に活発だったりする.
3.健康管理されている
時に症状を訴えることがあっても,医学的な問題はよく管理されている。
日常生活での歩行以上の運動を普段は行わない.
4.ごく軽度の虚弱
自立からの移行の初期段階である.
日常生活で介護は必要ないが,症状により活動性が制限される.
よく「動作が鈍くなった」とか,日中から疲れていると訴える.
5.軽度の虚弱
これらの人々は,動作が明らかに鈍くなり,高度なIADL(手段的日常生活動)(金銭管理,交通機関の利用,重い家事)では介助が必要となる.
軽度の虚弱のために,買い物や1人で外出すること,食事の準備,服薬管理が徐々に障害され,軽い
家事もできなくなり始めるのが特徴である.
6.中等度の虚弱
屋外でのすべての活動や家事では介護が必要である.
屋内でも階段で問題が生じ,入浴では介護が必要である.
着替えにもわずかな介助(声掛け,見守り)が必要となることがある.
7.重度の虚弱
どのような原因であれ(身体的あるいは知的な),身の回りのケアについて完全に要介護状態である.
そのような状態であっても,状態は安定しており(6カ月以内で)死亡するリスクは高くない.
8.非常に重度の虚弱
完全に要介議状態であり,人生の最終段階が近づいている.
典型的には,軽度な疾患からでさえ回復できない可能性がある.
9.人生の最終段階
死期が近づいている.
高度の虚弱に見えなくても,余命が6カ月未満であればこのカテゴリーに入る(人生の最終段階
にあっても多くの人は死の間際まで運動ができる).
ここにきてあえての「虚弱」
思えば当初フレイルという概念が提唱されたときに,あえて「虚弱」という用語を用いなかったという経緯があります.
正直なところ,フレイルという用語って高齢者にはわかりにくいにもかかわらず,フレイルという言葉を何とか広めた現状で,あえてまた「虚弱」という日本語訳が用いられているのはなんとなく不思議だなと感じます.
何か目的があるのでしょうか?
今回は先日出された日本老年医学会から出されたCLINICAL FRAILTY SCALE(臨床虚弱尺度)日本語版についてご紹介させていただきました.
非常にざっくりとした分類ではありますが,クライアントに対して受傷前や発症前のフレイルの程度を思い出してもらいながら評価する際には使いやすそうですね.