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理学療法士・作業療法士がインシデントを起こしてしまったら
理学療法士・作業療法士も人間ですからインシデントを起こしてしまうこともあるでしょう.
インシデントを起こすと、「なんであの時…」「もっとこうしていたら」と後悔することからはじまり,自分は理学療法士・作業療法士に向いていないかもとか,仕事が怖いなどと職場に行きたくなくなったり,理学療法士・作業療法士を辞めたくなったりする方もいらっしゃると思います.
でもインシデントを実際に起こしてしまった場合にはどうしたらよいのでしょうか?
今回は理学療法士・作業療法士がインシデントを起こしてしまったらどう行動すればよいのかについて考えてみたいと思います.
自分の起こしたことをきちんと理解する
インシデントを起こしてしまうと,自分自身を責めたり,人からの評価が急に気になったりしてしまう理学療法士・作業療法士も多いと思います.
でもそれだけでは次に繋がりません.
まずはなぜインシデントを起こしてしまったのか,きちんと状況を理解することが大切です.
まずは落ち着いてインシデントレポートを書きましょう.
レポートにはインシデント発生の状況・要因・改善策などを記載しますが,この時自分の感情(焦っていた,うっかりしていた,緊張していた)や体調だけではなく,環境要因・組織的要因なども含めて総合的に考えて記載することが大切です.
きちんとインシデントレポートの記載ができれば,自分のインシデントについてより客観的に理解することができます.
気持ちを整理する,切り替える
自分はダメだなといつまでも引きずってしまうと,またインシデント起こしたらどうしようと必要以上に緊張し,結果として再度インシデントを起こしてしまう可能性もあります.
ここで重要なのは,気分を落ち着かせ,気持ちを切り替えることです.
またどんなに落ち込んでいても,生活習慣は崩さないこともポイントです.
食事がとれない,眠れないことで業務に支障が出てしまうという負のスパイラルに陥る可能性があります.
インシデントを繰り返さないための対策
気持ちを落ち着けることができたら,人は間違うものという認識を持つことが重要となります.
開き直るのではなくて,その間違いを起こさないためには何が必要か,どう注意したらいいのかを考えていくことが重要です.
同期の理学療法士・作業療法士や先輩と話をしてみるのもいいと思います.
自分がインシデントを起こした時はこうだったよとまわりの経験談を聞くと,自分にも同じように当てはまることがあるかもしれません.
いろいろな人のインシデントを参考にすることで,自分が経験したインシデントだけではなく,さまざまな状況をイメージしてトラブルを回避するトレーニングを行うことができます.
職場の環境チェックも重要
合わせて職場環か境をチェックすることも重要です.
例えばインシデントが起きたとき,周りのスタッフはどのような状況でどのような雰囲気だったかを考えてみましょう.
徹底的に犯人を探し,インシデントを起こした人を責め立てる,みんなの前で怒るなどの公開処刑などはなかったでしょうか?
このような職場ではインシデントを起こした人をいじめの標的にしたり,仕事を押し付けたり,話を無視したりと,さらにインシデントを招く可能性があります.
場合によっては環境・組織的な問題がインシデントを引き起こすこともあるでしょう.
業務の偏りがあったり一人ひとりの負担が大きすぎたり,表示がわかりづらい,連携の流れが悪いなど,インシデントを起こして初めて問題点に気づくこともあります.
そのような場合でもきちんと声にして発信していくことで,マニュアルの変更や業務改善となり,同じようなインシデントの発生を防ぐことができます.
今回は理学療法士・作業療法士がインシデントを起こしてしまったらどう行動すればよいのかについて考えてみました.
自分を責めるのではなく,しっかりと振り返りをして,インシデントの原因を考えること,今後の対策を考えることが重要でしょうね.
インシデントはできるだけ回避しなくてはいけませんが,インシデントを通じて理学療法士・作業療法士として成長できるといった側面もありますので,前向きにとらえて,今後の成長につなげていけるとよいですね.