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正しい足関節背屈・底屈可動域の測定方法 今までの測定は何だったのか…
理学療法士・作業療法士がクライアントの足関節背屈可動域や底屈可動域を測定することって多いと思います.
でも足関節の背屈可動域ってけっこう誤差が出やすいです.
例えば背屈運動に足部の回内を加えると背屈可動域は大きくなりますし,底屈運動に足部の回外を加えると底屈可動域は大きくなります.
またこの足部の回内外を考慮することで距腿関節と距骨下関節における底背屈可動域への寄与率を推測することができます.
今回は正しい足関節背屈・底屈可動域の測定方法について考えてみたいと思います.
距腿関節運動の理解
正しく足関節の可動域を測定するためには距腿関節の生理的な運動を理解することが重要となります.
距腿関節における純粋な背屈運動方向の基準は,荷重下では第2中足骨の方向が距骨下関節の回内外の切り替えりポイントであること,非荷重下での距骨下関節中間位は内がえし1°から外がえし2°であることとされております.
そのため第2中足骨と下腿中央部を結ぶ線が一致するような形で足関節背屈・底屈可動域を測定すれば距腿関節を主体とした足関節背屈・底屈可動域を測定することができます.
こんな感じですね.
つまり距腿関節における足関節背屈・底屈可動域を評価したい場合には,第2中足骨と下腿中央部を結ぶ線が一致させて可動域を測定することが重要ということになります.
距腿関節・距骨下関節を含む足関節背屈・底屈可動域の測定
一般的に行われる足関節背屈・底屈可動域の測定では距骨下関節の肢位が考慮されていない場合が多いと思いますので,その場合には距腿関節・距骨下関節の複合的な可動域を測定していることになります.
passiveで他動背屈を行っていると足部の回内が加わることが多いでしょうし,底屈運動を行っていると足部の回外を加わることが多いでしょう
距腿関節と距骨下関節における底背屈可動域への寄与率を推測
上述した第2中足骨と下腿中央部を結ぶ線が一致させて測定した可動域(ROM①)と特に制限なく測定した最大可動域(ROM②)を比較することで距腿関節と距骨下関節における底背屈可動域への寄与率を推測することができます.
ROM①:距腿関節による底屈・背屈可動域
ROM②-ROM①:距骨下関節による底屈・背屈可動域
例えばROM①が背屈5°でROM②が背屈20°の場合には,距腿関節による背屈が5°で距骨下関節による背屈が15°(20°-5°)ということになります.
関節可動域の改善を図るためにはどこの可動域が制限されているかを把握することが重要となりますので,この方法で距腿関節と距骨下関節の可動域の寄与率を分けて考えるというのは非常に重要でしょうね.
今回は正しい足関節背屈・底屈可動域の測定方法について考えてみました.
ポイントは第2中足骨と下腿中央部を結ぶ線が一致させて測定するのが距腿関節の可動域測定といった点ですね.