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理学療法士・作業療法士も知っておきたいインフォームド・コンセントとインフォームド・アセント
理学療法士・作業療法士であればクライアントに対してインフォームド・コンセントを行う機会は多いと思います.
本当に今は医療機関では何でもかんでもインフォームド・コンセントといった状況ですが,時代を考えれば仕方ないですよね.
リハビリテーション実施計画書なんかはリハビリテーションに関するインフォームド・コンセントの代表的な書類なわけです.
ただクライアントが認知症を合併し,理解力が低下している場合ってインフォームド・コンセントを得ることが難しいですよね.
こんな場合には代諾者に説明がなされることが多いわけですが,そこで忘れられがちなのがインフォームド・アセントといった概念です.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいインフォームド・コンセントとインフォームド・アセントについてご紹介させていただきます.
インフォームド・コンセントの対象者が理解や意思表示が困難な場合には?
理学療法士や作業療法士がインフォームド・コンセントを得る際に問題となるのが,対象者の理解や意思表示が困難な場合です.
インフォームド・コンセントというのは対象者に対して説明を行ったうえで同意を得るのが原則ではありますが,対象者が意思表示や理解が困難な場合には,本人へ説明を行っても理解が得られませんし,場合によっては理解は得られても意思表示が難しい場合や,自署での署名が困難な場合もあるでしょう.
例えば対象者が未成年の場合や認知症・高次脳機能障害等によって理解や意思表示ができない困難な場合などが想定されますガ,こういった場合にはどうすればよいでしょうか?
家族等の代諾者に対して説明を行い同意を得ることになる
この場合には,皆様も御承知のとおり,対象者のご家族等の代諾者に対して説明を行って同意を得ることとなります.
理学療法士・作業療法士であれば,リハビリテーション実施計画書の説明に際して,ご本人の同意が得られないためにご家族へ同意を得るといったケースは少なくないと思います.
ただ問題となるのが,この場合には代諾者だけに説明を行って同意を得れば良いのでしょうか?
インフォームド・アセントとは?
インフォームド・コンセントという用語は耳にすることも多いと思いますが,このインフォームド・コンセントに比較して,インフォームド・アセントという用語はあまり一般的ではありません.
インフォームド・アセントというのは,対象者が理解や同意が困難な場合においても,対象者に対する説明が不要ということではなく,研究対象者が意向を表現できる場合には,対象者が理解できるような表現を用いて説明を行い,意向を尊重する対応を行うことを指します.
リハビリテーション実施計画書の説明なんかでも抜けがちなのがこのインフォームド・アセントです.
ご家族に説明を行って同意を得て,それで済ましているといったケースも少なくないでしょう.
また法律上はそれで問題が生じることもありません.
ただ倫理的に考えると理解や同意が困難であっても,ご本人に対しても説明を行って同意を得る必要があるでしょう.
代理者によるインフォームド・コンセントだけで終わらせてよい?
上述したように代諾者に説明を行って同意を得る場合であっても,インフォームド・アセントを得る必要があります.
例えば認知症例を対象としてリハビリテーションに関する説明と同意を得る場合を考えてみたいと思います。
後加速へ説明を行って同意を得るとともに,認知症を合併したクライアントにも,理解度に応じてわかりやすく説明を行い,その内容について対象者から同意を得ることが重要です.
もちろん説明が全く理解できない場合や,意志表示が全くできない場合もあるかもしれませんが,そうでなければ最低限の説明を行ったうえで,対象者に納得してもらうことが必要です.
インフォームド・アセントは法的に義務付けられた行為ではありませんが,代諾者とは別に説明を行って同意を得るべきであるといった考え方が主流になってきております.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたいインフォームド・コンセントとインフォームド・アセントについてご紹介させていただきました.
理学療法士・作業療法士の皆様も,ご家族への代理承諾を得ることに加えて,ご本人にも説明を行って同意を得る必要があるという認識が必要でしょうね.
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