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理学療法士・作業療法士であればシルバーカーと歩行器の違いを知っておこう
理学療法士・作業療法士がクライアントの歩行補助具を選択する機会は少なくないと思います.
高齢者が使用する機会の多い歩行補助具として歩行器とシルバーカーが挙げられます.
一見類似しているこの歩行器とシルバーカーですが本質的には全く異なるものです.
今回は理学療法士・作業療法士であれば知っておきたいシルバーカーと歩行器の違いについてご紹介させていただきます.
シルバーカーとは?
ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが,元々シルバーカーというのは歩行補助具ではありません.
基本的には自立歩行が可能な方がシルバーカーの使用の対象となります.
歩行を補助するというよりは荷物を運ぶといった目的で使用されるものです.
かごがついており買い物にも便利といったものですね.
そのため小型で軽量なものが多く,一般的には歩行器比べると安価であるというのも大きな特徴でしょう.
歩行器とは?
歩行器といっても様々な形態のものがありますが,ここではシルバーカーと対比するのにわかりやすい4輪型歩行車について考えてみたいと思います.
歩行車というのは元来の目的が歩行を補助するといったところにあります.
言うまでもなく歩行車は歩行補助具なわけですね.
ハンドルが利用者の側面にありますので,体重をかけて歩くことができます.
安定性を確保するために本体や車輪も大きめに作られており最近は,抑速ブレーキがついたものや椅子がついたものもあります.
介護保険適用か適用外か?
もう1つ歩行器とシルバーカーの大きな違いは介護保険で貸与できるか否かといった点です.
歩行器というのは歩行補助具ですので,介護保険適用で貸与が可能です.
一方でシルバーカーというのは歩行を補助する目的で用いられるものではありませんので,基本的に介護保険サービスでの貸与は不可能です.
シルバーカーと歩行器ってどうやって見分ければいいの?
最近は一見,シルバーカーのように見えて歩行器の扱いとなる,シルバーカーと歩行器の中間型のタイプのものもありますが,見分けるのも難しかったりします.
歩行器(歩行車)というのは自立歩行が難しい方を対象に作られておりますので,ハンドル部分が身体を囲うように大きくU字型にできているのが特徴です.
U字型にできていれば歩行器と考えてよいでしょう.
手の位置が身体に近くなることで体重を支えながら歩くことができます.
シルバーカーのように前傾姿勢にならずに済みますので,体幹・股関節を伸展位に保ったまま歩くことができます.
一方でシルバーカーというのは押し手のハンドル部分が横に真っすぐになっている点が特徴です.
今回は理学療法士・作業療法士であれば知っておきたいシルバーカーと歩行器の違いについてご紹介させていただきました.
上述したようにシルバーカーと歩行器は目的が似ているようで違います.
買物や歩行の疲労を軽減させたいのか歩行をサポートしたいのか,理学療法士・作業療法士は目的に応じてシルバーカーと歩行器を適切に選択する必要がありますね.