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「硬い=ほぐす」って理学療法士・作業療法士のやることですか?
皆さんの職場でもこんな理学療法士・作業療法士っていませんか?
「いやあ,ここの筋肉がとても硬いですね,ほぐしておきましょうね」
「筋肉が硬いと痛みにつながりやすいんですよね,まずは筋肉をほぐしましょうね」
そもそも筋肉をほぐすって何だと思ってしまいますが,硬いからほぐす(マッサージする)って理学療法士・作業療法士が多いですが,これって税金の無駄遣いだと思うんですよね.
今回は「硬い=ほぐす」って理学療法士・作業療法士がやることではないといったお話です.
硬さの客観的な評価もなされないまま…
まず一番の問題は「いやあ,ここの筋肉がとても硬いですね,ほぐしておきましょうね」なんて言いながら硬さの評価は全く行われないわけですね.
そもそも筋硬度なんていうのは筋によっても異なりますし,何をもって硬いと判断しているのかが謎です.
左右差だけが基準であればこれは問題でしょうね.
また客観的な評価がなされないので,ほぐすという名のマッサージを行った後に本当にやわらかくなったのかどうかも不明です.
ただただ時間が過ぎてしまっているわけですね.
税金の無駄遣いの可能性もあります.
硬くなっている原因は?
理学療法士・作業療法士であればなぜ組織が硬くなっているのかその原因を考えることが重要です.
これができるのが理学療法士・作業療法士じゃありませんか?
硬いからほぐすというのは解剖学も運動学も知らない素人でも可能ですよね?
例えば,過剰な筋収縮によって組織が硬くなっている,痛みによって組織が硬くなっている,夜間のポジショニングの問題で組織が硬くなっている,座位姿勢が組織の硬さと関連している,拮抗筋の弱化が筋組織の硬化の原因となっている等,一言で「硬くなっている」といってもその原因はさまざまです.
硬さの原因は何かを考えることが重要ですし,もしかしたら硬さというのはそのクライアントにとっての本質的な問題ではない可能性もあります.
また不安定性が筋組織の硬さの原因であれば,ほぐしても改善しないことは容易に理解できます.
不安定性が原因であればほぐすよりも筋収縮を伴うようなエクササイズの方が効果的です.
硬くなっていることによる影響は?
また硬くなっていることによる影響を考えることも重要です.
場合によっては硬くなっている筋の硬度を減少させることで,動作の不安定性が増してしまう可能性もあります.
これは運動器疾患に限った話ではなくて,脳卒中片麻痺にしても,脳性麻痺にしても,筋の硬度をつかって姿勢保持をしたり歩行したりといった場合も少なくありませんから,筋の硬度を減少させてしまうことが結果的に悪影響につながる場合も少なくありません.
当たり前ですが硬いから悪い,柔らかいから良いちう話ではありませんよね.
今回は「硬い=ほぐす」って理学療法士・作業療法士がやることではないといったお話でした.
理学療法士・作業療法士であればなぜ硬くなっているのかといった原因をきちんと考えましょう.
ただただ硬い部分をマッサージするだけなら中学生でもできます.
硬い原因を考えなければ筋硬度を落とすことが悪影響を及ぼす場合もありますし,何の意味もなさない場合もあります.
きちんと解剖学・運動学的な視点からなぜ硬くなったのかを考える視点が重要でしょうね.