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理学療法士・作業療法士も知っておきたい血圧に関するあれこれ
理学療法士・作業療法士がクライアントの血圧測定を行う機会は多いと思います.
先日も血圧測定で時間稼ぎをしている理学療法士・作業療法士についてご紹介させていただきました.
血圧測定を行う際にはさまざまなポイントを考慮する必要があります.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたい血圧測定に関する豆知識をご紹介させていただきます.
上腕で測定するタイプの血圧計と手首で測定するタイプの血圧計の違いは?
現在,本邦で用いられている血圧計には大きく分類して,上腕で測定するタイプの血圧計と手首で測定するタイプの血圧計の2種類が存在します.
なお日本高血圧学会は家庭血圧の測定を上腕で測るタイプの血圧計で測定するよう推奨しております.
上腕で測定するタイプと手首で測定するタイプの血圧計は,血圧計の精度としては大きな違いはありませんが,手首での血圧測定は上腕での測定に比較して,測定位置が心臓から離れるため,上腕で測定した数値とは±10mmHg程度の差が出ます.
また血圧計は測定部位を心臓の高さに調整して測定する必要があるため,手首タイプでは位置がうまく合わせられずに誤差が出る可能性が高くなります.
そのためデータの正確さを求めるのであれば,上腕で測定することが勧められます.
手首タイプの血圧計は携帯性に優れているといった点が大きな特徴でしょうね.
持ち運びや収納も楽で手軽に利用できますもんね.
腕帯の高さが重要
血圧測定時に重要となるのが姿勢です.
上腕で測定する場合でも,手首で測定する場合でも腕帯が心臓の高さと同じになるよう位置調整することが重要です.
また腕帯の高さを心臓の高さに合わせるために上腕筋群が収縮してしまうと血圧が高く出てしまいますので,力を抜いた状態で心臓と腕帯の高さを合わせるといった視点が重要となります.
血圧値が測る度に異なる
理学療法士・作業療法士であれば,リハビリテーションを行う時間が定まっておらず,さまざまな時間帯に血圧を測定すると思います.
測定する時間帯によっても血圧は大きく変動するので注意が必要です.
基本的に血圧には24時間の周期があります.
一般的には就寝中に最低値となり,活動を開始すると急に上昇し,午後に向けて徐々に下降する日内変動があると考えられています.
また日常の行動の変化や測定時の条件等でも変化します.
特に車の運転,入浴,トイレ(排便時),飲酒,喫煙時に血圧が大きく変動することが知られております.
したがって理学療法士・作業療法士が血圧を測定する際には時間帯を考慮し,事前の行動についてもクライアントから聴取しておくとよいでしょう.
気温によっても血圧が変化する
気温による変動にも注意が必要です.
血圧は夏場は末梢血管が拡張するため低めになり,末梢血管が収縮するため冬場は高めに出されます.
また布団の中と室温の差が大きいため,冬の起き抜けは高く出ることがあります.
腕帯の巻き方も重要
基本的に血圧計のマンシェットはきつく巻くと低く,緩く巻くと高めに出ます.
空気が入って締め付けられるのが嫌で緩めに巻く人が多いため,高めに出る場合は,この点をチェックする必要があります.
血圧計のマンシェットは隙間が出ないようにきっちりと巻くというのが重要なポイントになりますね.
マンシェットの巻き方だけでも血圧が±10~20mmHgは変化しますので注意が必要です.
続けて何度も測ることによる変動
繰り返して血圧を測定することで血圧測定値が変動してしまうといった点もポイントです.
腕帯によって腕を締め付けられると,手の先の末梢血管が押し込められた血液で膨れ上がり風船を膨らませたようになり,次に測定するときはもっとたやすく膨れるため血圧が低く測定されてしまいます.
理学療法士・作業療法士が血圧を測定する場合には,測定値に疑問を感じ,繰り返して測定を行う場合が多いと思いますが,このような血圧がうっ血した状態では血圧測定値が低くなってしまうので注意が必要です.
血圧をつづけて2回測定する場合は,必ず1回目の測定から5~10分間は安静にしてから測定するか,うっ血状態になったら腕帯をはずして手を高く上げ,手のひらを握ったり開いたりを数回ほど繰り返すのがポイントです.
今回は理学療法士・作業療法士も知っておきたい血圧測定に関する豆知識をご紹介させていただきました.
今回ご紹介したようなちょっとした変化で血圧というのは変動しますので,理学療法士・作業療法士も場面や環境を考慮したうえで血圧測定値を解釈する必要がありますね.