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理学療法士・作業療法士の声のトーン
理学療法士・作業療法士は,クライアントや他職種とコミュニケーションを図る機会は非常に多いです.
コミュニケーションを図る際には,言葉遣いや表情はもちろんですが,もう1つ気をつけたいのは声のトーンです.
声のトーンを変えるだけでも,話し相手であるクライアントや他職種が抱く印象というのもまったく異なるものとなります.
今回は理学療法士・作業療法士がコミュニケーションを図る際の声のトーンについて考えてみたいと思います.
声の高さに関する研究
まずは声の高低が相手が抱く印象に与える影響を調査した研究をご紹介させていただきます.
男性37名,女性46名の大学生を対象として,模擬選挙において誰に投票するかを調べたところ,男女とも声が低い人のほうが高い人に比べて,20%も得票率が高かったと報告されております.
さらにデューク大学が792人のCEOを対象に行った研究では,低い声のトーンで話すCEOは高い声のトーンで話すCEOに比較して,有意に規模の大きな会社を経営していることも明らかにされております.
威厳と落ち着きのある低いトーンで会話をできる人ほどより大きな成功を収められるといった傾向にあるわけです.
場面による声の使い分けが重要
声の高さはもちろんですが,スピードも重要です.
上述したように低い声には威厳と落ち着きがあるわけですが,常に低い声でゆっくりと話しかければ良いかというとそうでもありません.
重要なのは場面による声の使い分けです.
高く速い話し方:元気で明るい印象
高くゆっくりとした話し方:優しく大らかな印象低く
速い話し方:仕事ができる印象
低くゆっくりとした話し方:落ち着いた印象
われわれが朝,クライアントに元気よくあいさつをしたい場合には,高く速い話し方で元気で明るい印象をもってもらうことが重要となるでしょう.
またクライアントが不安の高い方であれば,高くゆっくりとした話し方が適切でしょう.
特にクライアントが緊張しているような初対面の場面では,あえて声を高くすることで緊張した場を和ませることができれば,クライアントとの関係性を築きやすくなります.
さらに会議やクライアントへの説明の場面で,相手を納得させる場面では低く速い話し方が有効でしょう.
このように場面によって声のトーンを使い分けることが重要です.
ちなみに,ニュースキャスターはニュースを読み上げるときには,通常会話よりも声のトーンを下げてニュース原稿を読むようです.
こうすることで落ち着いた印象になり,論理的にニュースを伝えることができるようになります.
地声が高い・低い場合には?
元々低いとか元々声が高いといったコンプレックスをお持ちの方も少なくないと思います.
そういった場合にも問題はありません.
重要なのは声のトーンの強弱です.
自分の中での高い声と低い声をうまく使い分けることができれば,クライアントには良い印象を持ってもらえるでしょう.
また声量の強弱,話す速さのコントロールなど,声に変化をつけることで,聞き手を飽きさせないで話を聞いてもらうことができます.
さらに言葉と言葉の間の「間(ま)」の取り方も重要です.
実はベテラン理学療法士・作業療法士ほどこういったコミュニケーション技術を無意識にうまく使えていることが多いです.
今回は理学療法士・作業療法士がコミュニケーションを図る際の声のトーンについて考えてみました.
理学療法士・作業療法士の皆様も,声のトーンをうまくコントロールしてクライアントの信頼関係を構築できるように取り組めるとよいですね.
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