理学療法士・作業療法士が「肩甲骨はがし」なんて言っているようでは…

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理学療法士・作業療法士が「肩甲骨はがし」なんて言っているようでは…

筋膜はがしという言葉が流行しておりますが,最近テレビでも取り上げられることが増えているのが「肩甲骨はがし」といった言葉です.

初めてこの言葉を聞いたときは笑いそうになりましたが,最近は理学療法士・作業療法士の中にもこの「肩甲骨はがし」という言葉を使っている方が増えているので驚きですね.

今回は理学療法士・作業療法士が「肩甲骨はがし」なんて言っているようでは…といったお話です.

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キャッチーだが胡散臭い言葉

「肩甲骨はがし」ってとてもキャッチーな言葉だと思いますが,一方でとても胡散臭い言葉でもあります.

骨盤矯正にも似た臭いを感じますが,逆に肩甲骨はがしという言葉を考えた方はすごいと思います.

キャッチーさに任せて使われてしまっている,医学的には存在しない怪しい言葉の1つですね.

 

 

 

 

 

 

 

肩甲骨ははがれません

理学療法士・作業療法士であれば当然ですが,肩甲骨ははがれることはありません.

構造上は確かに浮いておりますが,機能上は浮いていることはあり得ません.

元をたどれば肩甲骨はがしというのは,肩甲骨の他動的なグラインド操作が起源のようです.

肩甲骨はがしというのは,結局は肋骨と肩甲骨の間にある筋肉や肩甲骨周りにある筋肉の柔軟性を高めて肩甲骨の可動性を高めることを指します.

Youtubeなんかをみるとその方法もさまざまですが,結局のところ肩甲骨周囲筋の柔軟性を向上させて,肩甲胸郭関節の可動性を向上させるアプローチですね.

 

 

 

 

 

 

 

肩甲骨内側剥離

「肩甲骨はがし」というのはエセ医学用語ですが,実際医学的には肩甲骨内側剥離(Medial scapular muscle detachment)という病態が報告されております.

これは交通事故や重量物を持った際に,肩甲骨内側の筋(菱形筋・僧帽筋下部繊維)が剥離する病態を指します.

なんか「肩甲骨はがし」なんて耳にすると,肩甲骨内側剥離を想起してしまいますが,いわゆる肩甲骨はがしとこの肩甲骨内側剥離というのは全く別物です.

肩甲骨内側剥離の場合には,状況によっては手術が必要です.

 

 

 

 

 

 

 

肩甲骨の可動性を向上させることは重要だが…

「肩甲骨剥がし」って一般の方の中でも聞き馴染みがある言葉だと思いますが,理学療法士・作業療法士が使うのはどうでしょうか…

一般の方向けに使うのであればまだしも,専門職間でこの言葉が共通言語になっているというのは残念ですよね.

また肩甲骨の可動性を向上させることは重要ですが,肩甲骨の可動性を向上させるだけで終わっていては問題です.

なぜ肩甲骨が動かなくなっているのか,姿勢や動作パターン,生活習慣も含めた評価が必要です.

場合によっては肩甲骨周囲筋の筋力トレーニングが必要なこともあるでしょう.

ただただ肩甲骨はがしをして終わりでは,理学療法・作業療法としては問題でしょうね.

 

今回は理学療法士・作業療法士が「肩甲骨はがし」なんて言っているようでは…といったお話でした.

とてもキャッチーな言葉ではありますが,理学療法士・作業療法士が使う言葉ではないと思います.

一般の方向けに使うのであればまだしも,専門職間でこの言葉が共通言語になっているというのは残念ですよね.

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