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新型コロナウイルス感染拡大による看護師不足で理学療法士・作業療法士が病棟業務の支援 日本理学療法士協会・日本作業療法士協会が発表
2021年1月15日に日本理学療法士協会・日本作業療法士協会が合同で政府及び厚生労働省に向けて,理学療法士・作業療法士による看護師不足に対応した病棟業務の支援を提案していることが発表されました.
現状の看護師不足は深刻であり状況が状況ではありますが,理学療法士・作業療法士が看護師の病棟業務の支援を行うことに関しては賛否両論あると思います.
今回は新型コロナウイルス感染拡大によって看護師不足している状況で,理学療法士・作業療法士による病棟業務の支援について考えてみたいと思います.
日本理学療法士協会から発表された内容(HPより抜粋)
日本理学療法士協会では以下のような発表をHP上で行っております.
新型コロナウイルス対応で、個人としても職業人としても大変な状況と拝察します。
この状況は世界的にも人類が初めて経験する重大局面と判断しています。
今、我々が注力しなければならないことは「医療崩壊」を起こさないことです。
現在、本会では日本作業療法士協会と合同で、政府及び厚生労働省に向けて、理学療法士・作業療法士による看護師不足に対応した病棟業務の支援を提案しています。
感染病棟への看護師の傾斜配置、看護師の感染等々、看護師全体に大変な負担がのしかかっています。
新型コロナウイルス感染問題が収束するまでの期間において、病棟業務を理学療法士等が一部支援を行う等により、同じ医療職である看護師の負担を減らすことは可能と考えています。
所属長と調整の上、ぜひ貴施設でもこの取り組みをご推進ください。
日本理学療法士協会・日本作業療法士協会の会員一同で「医療崩壊」を防ぐために、ご理解とご協力をお願いいたします。
日本作業療法士協会が発表した内容(HPより抜粋)
基本的な考え方
1)私達は、ベッド不足、医師不足、看護師不足に起因する医療崩壊の危機が迫っていることを危惧しています。
2)私達は、医療チームの一員として、看護師の絶対数不足や過重労働の現状に危機感を抱いています。
3)理学療法士・作業療法士は、看護師業務の代替はできませんが、一部を支援することは可能と考えています。
4)今回の考え方及び行動は「医療崩壊」ということが前提であり、平時における活動を強要するものではありません。
理学療法士・作業療法士が何ができるのか?
法律上はもちろんですが,そもそも理学療法士・作業療法士ができる病棟看護業務の支援なんていっても何ができるのかなと思ったりしてましたが,考えてみれば色々とできることはあるのかもしれませんね.
人手が足りないのであれば雑務でもやるしかありませんよね…
ただ医師から指示を取れるわけでもなく,点滴のルートを取れるわけでもありません.
もちろんこの非常事態に職能団体としてできることを考えた結果が今回の発表だとは思いますが,この日本理学療法士協会・作業療法士協会の発表にがっかりといった方もいらっしゃると思いますし,いろいろと炎上しそうな内容だなとも思ったりするわけです.
またこんな発表がなされたところでどのくらいの施設で看護業務を支援しようという動きになるのかも微妙なところです.
既に看護師不足で動いているところは業務命令で支援しているでしょうしね…
協会がこういった発表を出したから看護業務支援を行おうなんて動きは少ないでしょうが,職能団体としてこういった発表をしたというところに意味があるのでしょうね.
パフォーマンスにしか見えないところもあります…
日本理学療法士協会・日本作業療法士協会が示した支援活動内容
日本理学療法士協会・作業療法士協会が支援活動の例として示したのが以下のような内容です.
- 環境調整技術:①温度、湿度、換気、採光、臭気、騒音、病室整備の療養生活環境調整 ②ベッドメーキング
- 食事援助技術:食事介助
- 排泄援助技術:①自然排尿・排便援助
- 活動・休息援助技術:①歩行介助・移動の介助・移送 ②体位変換 ③廃用症候群予防・関節可動域訓練④入眠・睡眠への援助 ⑤体動、移動に注意が必要な患者への援助
- 清潔・衣生活援助技術:①清拭 ②洗髪 ③口腔ケア ④入浴介助 ⑤部分浴・陰部ケア・おむつ交換
- 寝衣交換等の衣生活支援、整容
- 創傷管理技術:褥瘡の予防
- 症状・生体機能管理技術:①バイタルサイン(呼吸・脈拍・体温・血圧)の測定 ②身体計測
③パルスオキシメーターによる測定 - 苦痛の緩和・安楽確保の技術:①安楽な体位の保持 ②罨法等身体安楽促進ケア
③リラクゼーション技法 ④精神的安寧を保つためのケア - 感染予防技術:①スタンダードプリコーション(標準予防策)の実施,②必要な防護用具(手袋、ゴーグル、ガウン等)の選択,③医療廃棄物規定に沿った適切な取扱い ④洗浄・消毒・滅菌の適切な選択
- 安全確保の技術:①患者誤認防止策の実施 ②転倒転落防止策の実施
結局は理学療法士・作業療法士は雑用係?
ここに挙げられている理学療法士・作業療法士ができる支援って結局のところは看護師が雑務とする業務ばかりですよね.
理学療法士・作業療法士による病棟業務の支援といえば聞こえはいいかもしれませんが,実際は雑用係ですよね.
危機的状況下では助け合いが必要というのは理解できないことはありませんが,職能団体が発表した内容であるとすれば,理学療法士・作業療法士のアイデンティティへの配慮や明確な目的・期限の説明が不十分すぎる気がします.
結局はADLトレーニングといいながら介助要因になっているなんちゃって回復期リハビリテーション病棟と変わりないですよね…
今回は新型コロナウイルス感染拡大によって看護師不足している状況で,理学療法士・作業療法士による病棟業務の支援について考えてみました.
理学療法士・作業療法士の看護業務支援に関しては賛否両論あると思いますが,事態が事態だけに今後さらに感染者数が増えれば,看護業務支援が業務命令として理学療法士・作業療法士にのしかかってくる医療機関が増えるのは間違いありません.
われわれもある程度覚悟しておく必要がありそうですね.
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