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ついに来年度の介護報酬改定で訪問看護からの訪問リハビリテーションにメスが入れられる?
ご存じのとおり来年度は介護報酬改定の年です.
介護報酬改定に向けて2020年10月22日に 社保審・介護給付費分科会が開催されました.
今回は社保審・介護給付費分科会の内容から,ついに来年度の介護報酬改定で訪問看護からの訪問リハビリテーションにメスが入れられる可能性があるといったお話です.
理学療法士などリハビリテーション専門職が提供する訪問看護の介護報酬が適正化される?
ご存じの通り,訪問看護は疾病・負傷で継続して療養する状態にある高齢者らに対し,療養上の世話、または必要な診療の補助を行うものです.
以前から指摘されているのは主に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職が機能訓練などを行っている事業所,事実上の訪問リハステーションが以前より増えたことが指摘されました.
この会合では介護報酬の統計も紹介されており,昨年度,訪問看護費の総請求回数に占めるリハ職のサービスの割合は53.9%にのぼり,15.8%だった2009年度から10年間で大幅に高まったと指摘されております.
また要介護より要支援の高齢者の方が理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職のサービスを受けている割合が高いことも報告されております.
以前から指摘されていたわけですが再度この場でも訪問看護におけるリハビリテーションサービスの占める割合の高さが指摘されたわけです.
リハビリテーション専門職の数が多い事業所は訪問看護の本来のあり方から外れている?
また日本看護協会常任理事から,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職の数が圧倒的に多い事業所は,訪問看護の本来のあり方から外れている可能性があるといった問題が提起され,看護職と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職を含む看護職以外のの職種との比率を,人員配置基準などに反映することも検討課題となっております.
さらに日本医師会常任理事からも,訪問看護ステーションであるからには看護職員の配置割合は当然ながら一定以上であるべきと述べられております.
診療報酬では今年度の改定で,機能強化型の訪問看護ステーションの人員配置基準が見直され「看護職が全体の6割以上」との要件が新設されました.
おそらく介護報酬改定ではこの6割以上を一つの目安に改訂が勧められることが予測されます.
データの出し方に問題がある
今回の改定で理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職が80%以上所属している訪問看護ステーションが目玉に挙げられているわけですが,所属職員の80%以上が理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職であるといった施設は全体の0.4%つまり全国で40施設程度にすぎません.
この40か所を取り上げて問題だと指摘されて持って感じですよね…
また理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職のサービス割合が53.9%にのぼるといった指摘に関しても,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職の訪問を20分で1回とカウントしている一方で看護職の訪問は30分・1時間・1時間30分のそれぞれが1回とカウントされておりますので,これだと理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職のサービス割合が増えても当然ですよね.
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職による訪問サービスというのは,金額・件数・時間にすればおそらく50%にも達していないと思います.
回数ではなく時間で出してもらわないと…
明らかな日本看護協会の策略ですよね.
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職に救いの言葉も
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職にとっては厳しい内容の今回の分科会であったわけですが,一部救いの言葉も聞かれました.
一部の委員からは,「利用者・家族のニーズもある.リハ職の訪問看護が良くないということでは必ずしもないように思う」といった声もあがっております.
今回は社保審・介護給付費分科会の内容から,ついに来年度の介護報酬改定で訪問看護からの訪問リハビリテーションにメスが入れられる可能性があるといったお話でした.
おそらく診療報酬と同様に6:4の人員配置に落ち着くのだと思いますが,つくづく昨年の選挙での敗北が大きかったと感じるわけです.
こういった改定の際にはやはり政治力が物を言いますので,理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等のリハビリテーション専門職の中から政治家を多く排出せねば今後もどんどんわれわれの職域というのは失われていくでしょうね.
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