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リハビリテーション実施時間に物理療法の時間を含めている理学療法士・作業療法士が危険
理学療法士・作業療法士がホットパックや超音波といった物理療法を行う機会は多いと思います.
知っている理学療法士・作業療法士からすれば当たり前の話ですが,物理療法を行っている時間というのは疾患別リハビリテーションを算定するための時間に含めることはできません.
今回はリハビリテーション実施時間に物理療法の時間を含めている理学療法士・作業療法士が危険であるといった件について考えてみたいと思います.
物理療法を行っている時間を疾患別リハビリテーションの時間に含めることができる?
まずは基本的なところですがホットパックを20分行って1単位を算定できるかという話ですが,これは当然ながらNGです.
ホットパックと干渉波を合計20分行って,残り20分を運動療法行った場合に計2単位を算定するなんていうのももちろんNGですね.
まずホットパックや干渉波を行っている場合に,リハビリテーション部門の助手に物理療法を任せておいて,理学療法士・作業療法士は関わらないということであれば,当然ながら物理療法を疾患別リハビリテーションの時間に含めてはいけません.
物理療法に関しては10分行っても1時間行っても消炎鎮痛処置の35点しか算定できません.
残念ながら巷には,病院の方針として物理療法の時間を疾患別リハビリテーションの時間に含めている医療機関が存在するようですが,監査でばれたら一発でアウトだと思います.
物理療法を理学療法士・作業療法士が行ったら?
では物理療法を理学療法士・作業療法士が行った場合というのはどうでしょうか?
誰が行っても物理療法は消炎鎮痛処置ですので,35点で算定することになり,疾患別リハビリテーション料の時間に含めてはなりません.
また疾患別リハビリテーション料を算定する場合には,追加的に物理療法を行ったとしても消炎鎮痛処置の35点は算定できません.
理学療法士・作業療法士が物理療法を行った時間を疾患別リハビリテーション料に含めて良いとすれば,ホットパックをあてながらストレッチ,関節可動域を施行するなんていうのはありだと思います.
例えば左の股関節にホットパックを当ててその間に右の股関節に対してストレッチや関節可動域運動を行うといったやり方ですね.
超音波もプローブを理学療法士・作業療法士が操作しますが,これもあくまで物理療法ですので超音波療法だけ行ったということであれば,超音波療法を行った時間を疾患別リハビリテーションの時間に含めるのはNGです.
今回はリハビリテーション実施時間に物理療法の時間を含めている理学療法士・作業療法士が危険であるといった件について考えてみました.
当たり前の人からすれば当たり前のルールですが,ホットパックを当てておいて,その間にカルテを書いて,その時間を疾患別リハビリテーションの時間に含めるなんてやり方が横行している医療機関もあるようですので恐ろしいですね.
コメント
いつも参考にさせていただいております。
物療の時間を疾患別リハの含めてはいけないと述べておりますが、診療報酬の疾患別リハの説明については以下のように書いてあります。(脳血管疾患等リハビリテーション料を例にあげました)
(1)脳血管疾患等リハビリテーション料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関において算定するものであり、基本的動作能力の回復等を通して、実用的な日常生活における諸活動の自立を図るために、種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法等を組み合わせて個々の症例に応じて行った場合又は言語聴覚機能に障害を持つ患者に対して言語機能若しくは聴覚機能に係る訓練を行った場合に算定する。なお、マッサージや温熱療法などの物理療法のみを行った場合には第2章特掲診療料第9部処置の項により算定する。
物理療法を行った場合にも算定できると書いてあります。つまり、物理療法の時間を「含めて」も良いという解釈ではないでしょうか?
なお、マッサージや物理療法「のみ」であれば、最後の文にあるとおり、消炎鎮痛等処置で良いと思います。
コメントありがとうございます!
マッサージや温熱療法などの物理療法「のみ」を行った場合には第2章特掲診療料第9部処置の項により算定するといった文章の「のみ」の捉え方次第でしょうか?
物理療法を併用して同時に運動療法を行った場合に算定できると考えている医療機関が多いと思いますが…
「のみ」をどう捉えるか、各厚生局の担当者の裁量にも左右される部分もあるかと思います。
ちなみに疑義解釈ですが、
問15)疾患別リハビリテーション医学管理料には消炎鎮痛等処置等が含まれるが、リハビリテーションを実施することが多い場合に、当該リハビリテーションに係る費用を消炎鎮痛等処置で算定すれば、疾患別リハビリテーション医学管理料2回分よりも高い診療報酬を請求できる場合がある。このような取扱いは可能か。(例:定期的なリハを1月に15日行った場合)・脳血管疾患等リハ医学管理料(Ⅱ)260点×2(回)=520点・消炎鎮痛等処置35点×15(日)=525点(答)機能の向上又は維持を目的とするリハビリテーションと、疼痛を緩和させるマッサージ等とは全く異なるものである。従って、リハビリテーションを行ったのであれば、当然疾患別リハビリテーション医学管理料を算定することとなる。
この文面の解釈として、機能の維持向上のためにマッサージや物理療法を行った場合、それは疾患別リハの算定対象であるという理解になるのではないかと思っていました。