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リハビリテーションを拒否するクライアントにも単位を算定しなければならないジレンマ
理学療法士・作業療法士であれば誰もがクライアントにリハビリを拒否されたといった経験は少なからずあると思います.
整形外科疾患であれば運動に伴う疼痛の出現に対して拒否的な方もおられるでしょうし,脳卒中を発症しますと抑うつ傾向が強くなりますので,リハビリを拒否される方も少なくないのではないかと思います.
以前にもこのブログの中でリハビリ拒否時の対応については取り上げさせていただきました.
今回はリハビリテーションを拒否するクライアントにも単位を算定しなければならないジレンマについて考えたみたいと思います.
リハ拒否されているのだからクライアントの意思を優先してリハをしない?
リハビリを拒否されているのだから,クライアントの意思を優先してリハビリをしないのが正しいというふうに考えることもできますが,はたしてこれが正しいのでしょうか?
例えば寝たきりの方がおられるとします.長期の臥床によって下側肺障害や褥瘡といった合併症が起こりやすいことは周知の事実ですが,そういった弊害を減らすこともわれわれの重要な役割なわけです.
クライアントの意思をくみ取って,リハビリをしないというのは実はクライアントのためになっていないということを十分に考慮する必要があります.
場合によっては離床せず長期的に臥床を続けるというのは生命にも関わりますので,われわれの役割というのを改めて考えた上で,拒否されるクライアントに対峙する必要があるでしょう.
クライアントだって人間なのでリハビリやりたくない時もある
ただクライアントだって人間です.
リハビリをやりたくない気分のときだってあるでしょう.
われわれ理学療法士・作業療法士だって気分がのらなくてどうしても何かをやりたくないことってありますよね?
リハビリ拒否される理学療法士・作業療法士もつらいかもしれませんが,リハビリを拒否しているにもかかわらずしつこく促されてリハビリに受身的に取り組まざるを得ないクライアントというのがもっとつらいですよね.
リハビリを拒否しているクライアントに対して粘ったところで,lose-loseでしかありません.
認知症を合併したクライアントに対して粘って興奮させてしまって,リハビリの後に不穏が続くといったケースもあるでしょう.
リハビリスタッフが無理やりリハビリやったせいで病棟スタッフにも負担になることもあり得ます.
一方で単位の取得が義務付けられている
基本的にはクライアントの希望に応じてリハビリテーションサービスを提供したいところですが,一方で理学療法士・作業療法士にはノルマの単位取得が義務付けられていることが多いと思います.
回復期リハビリテーション病棟なんかで3単位の理学療法を行う予定であったクライアントに拒否をされた日には,取得単位数が減少してしまい上司に目をつけられてしまいます.
基本は拒否があった場合には,数日であればクライアントの意思を尊重してあげたいところですが,結局のところ,上司がそれを許さないところが多いわけです.
なんで単位取らないのか,リハビリ拒否があるのは担当理学療法士・作業療法士の介入方法がまずいんだなんて指摘を受けてしまうことも多いでしょう.
そうなると結局のところこれがお喋りや車椅子散歩で単位申請するしかなくなってしまうわけです.
もちろん時にはおしゃべりテーションが必要な方もいらっしゃるでしょうし,車椅子散歩で気分転換というのも必要でしょうが,これが毎日続くときついですよね.
リハビリを拒否されたクライアントと上司との間で板挟みになってしまうわけですね.
リハビリ拒否をされるクライアントこそ管理職に対応してほしい
リハビリ拒否をされるクライアントこそ管理職に適切な対応をしてほしいですね.
介入方法が悪いと後輩に指摘するのであれば,どのように対応すべきかを具体的に指導するのが上司の役割ですよね.
それをただうまく介入して単位を取得しなさいでは…
今回はリハビリテーションを拒否するクライアントにも単位を算定しなければならないジレンマについて考えたみました.
この問題というのはケースバイケースでおそらく解決法というのは存在しないと思いますが,一方で理学療法士・作業療法士であれば誰しもが経験しうる問題だと思います.
拒否をされたクライアントに対してどのように対応すべきかといったお手本を見せるのが管理者・先輩理学療法士・作業療法士の役割になるでしょうね.
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