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地域包括ケア病棟では病棟平均ではなく個人平均で2単位以上のリハビリテーションの提供が必要?
理学療法士・作業療法士の皆様であればご存知だと思いますが,地域包括ケア病棟では入院料の算定要件として,1患者1日当たり2単位以上のリハビリテーションの実施が掲げられております.
この要件というのは基本的には病棟平均で2単位以上の実施というのが共通の理解でありましたが,ある地域では監査の中で個人平均で2単位以上のリハビリテーション提供ができていないといった点で指摘を受けたようです.
今回は地域包括ケア病棟では病棟平均ではなく個人平均で2単位以上のリハビリテーションの提供が必要なのかといった点について考えてみたいと思います.
基本的には病棟平均の単位数を実績として提出
地域包括ケア病棟入院料等のリハビリテーションの平均単位数の計算は下記の計算式で算出することとなっております.
これまでは平均単位数ですので,何人かの個人が2単位未満でも問題なかったわけです.
さらに廃用症候群リハビリテーションの総単位数は計算外です.
様式50の3 地域包括ケア病棟入院料等のリハビリテーションの基準に係る届出添付書類を見てみると総単位数は以下のように明記されております.
様式50の3については,地域包括ケア病棟のシステムができた時に廃用症候群の単位のカウントが漏れた書式で公開されましたが,現在は廃用症候群のカウントもすることになっているようです.
基本的には脳血管でカウントすればよいようです.
ある医療機関で行われた監査における個人単位でのリハビリテーション提供単位数について
これはまだ全国共通という話ではないようですが,ある地域では厚生局の監査で患者ごとにその月の平均単位数が2単位を超えているか調べられたようです.
これまでは基本的には病棟平均で2単位以上の実施というのが共通の理解でありましたので,1日当たり4単位以上リハビリテーションを提供しているクライアントもいれば,2単位未満のクライアントもいたわけですが,病棟平均で2単位以上が達成されていれば特に問題はありませんでした.
ところがある地域では個人平均で2単位以上のリハビリテーション提供が必要といった指摘を監査で受けたようです.
土日が休日の場合には大きな問題に
個人平均で2単位以上のリハビリテーション提供が必要といったルールが全国的に広がっていけば問題になると思われるのが,土日が休日の場合です.
例えば8月1日が土曜日,8月2日が日曜日で8月2日に退院の場合には,土日にリハビリテーションを提供する体制が整っていない医療機関では,8月は0単位しかリハビリテーションを提供していないことになりますので,基準を満たせなくなるわけです.
今のところ返戻等になったわけではなく,今後は気をつけてくださいといったレベルだったようですが,今後こういった指摘が増えていけば,地域包括ケア病棟の運用も変化しそうです.
地域によって違うかもしれませんが,クライアント間で単位数に偏りが無いように留意する必要がありますし,入棟が月末,あるいは退棟が月初の場合は特に気をつける必要があります.
今回は地域包括ケア病棟では病棟平均ではなく個人平均で2単位以上のリハビリテーションの提供が必要なのかといった点について考えてみました.
まだ監査での指摘も一部の地域だけではありますが,これが全国的に基本ルールになってしまうと,地域包括ケア病棟の運用を大きく変更する必要があります.
今後もこの点については情報を収集して,運用変更が必要かどうかを考えていく必要がありそうですね.
コメント
いつも拝見しております。
様式50の3については、地域包括ケア病棟のシステムができた時に、廃用症候群の単位のカウントが漏れた書式で公開されましたが、現在は廃用症候群のカウントもすることになっております。なお、公開当初、関東信越厚生局へ問い合わせをかけたところ、「廃用の項を作り損ねたので、脳血管でカウントするように」と返答がきました。
2019年度に改定された書式をご参照ください。
情報提供ありがとうございます
私の説明不足で申し訳ありません。
廃用症候群の単位数は廃用症候群としてカウントするのが現在の正しい様式50の3です。
添付PDFが参考になれば幸いです。