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訪問リハビリテーションにおいて理学療法士・作業療法士はオムツ交換するのってあり?
訪問リハビリテーションに携わった理学療法士・作業療法士であれば誰もが経験したことがあると思いますが,訪問先で利用者が便失禁して利用者からオムツ交換を依頼されるといったケースです.
オムツ交換を行わないとリハビリテーションサービスを提供することが難しい場合も多いと思いますが,こういった場合に理学療法士・作業療法士がオムツ交換するのってありでしょうか?
今回は訪問リハビリテーションにおいて理学療法士・作業療法士はオムツ交換するのってありなのかどうかについて考えてみたいと思います.
オムツ交換をせずにヘルパーへ連絡
訪問リハビリテーション対象者に同居者がいれば,家族へ依頼すればよいわけですので特に問題がありませんが,問題となるのが独居のケースです.
理想的なのは理学療法士・作業療法士はオムツ交換はせずに,ヘルパーか看護師に連絡をするといった形ですが,現実的にはヘルパー・看護師が到着するまでの時間を無駄にすることになりますのでなかなか難しいですよね?
理学療法士・作業療法士がオムツ交換を行う
ヘルパーや看護師による対応が難しい場合には,オムツ内に排泄物のあるまま運動を行えるでしょうか?
オムツ内に排泄物がある中で,運動を行う行為といのは倫理的にも問題だと思います.
そう考えると場合によっては理学療法士・作業療法士がオムツ交換を求められることもあって然りだと思います.
オムツ内に排泄物がある状態で,筋の緊張がなんて寝ぼけた事を言っていても仕方ありませんよね.
基本的には法律上,理学療法士・作業療法士がオムツ交換をしてはいけないというルールは存在しないと思います.
ただこの問題に関しては理学療法士・作業療法士が個人の判断でオムツ交換を行うのではなくて,法人として組織として何かしらのルールを決めておくことが重要だと思います.
理学療法士・作業療法士個人の判断ででオムツ交換を行った場合には,その理学療法士・作業療法士が退職し引き継いだ人が必然的にオムツ交換を行う必要が出てきます.
あの理学療法士・作業療法士はオムツ交換してくれるのにこの理学療法士・作業療法士はしてくれないといったトラブルのもととなりえるわけですね.
単発で終わる支援ならばその時の対応でよいと思いますが,継続する可能性のある支援については,訪問看護ステーション内での仕事範囲の取り決めとして全スタッフや新規入職者を含む共通認識にしたほうが良いと思います.
理学療法士・作業療法士の介護福祉士化
ただ一方で理学療法士・作業療法士のオムツ交換に警笛を鳴らす人もいます.
理学療法士数が年々増加し,職域を確保することが難しくなる中で,介護は慢性的な人材不足に陥っており,理学療法士が介護福祉士化してしまう可能性があるといった警笛です.
一昔前のように理学療法士に絶対的な希少価値があれば,オムツ交換は本来の業務ではないのでやりませんと言いやすいと思いますが,理学療法士数が増え,訪問看護も急激に数を増やし,事業所としても利用者確保に苦労する時代においては,差別化や付加価値として,本来の業務に+αをするところはこれからもっともっと増えてくると思います.
オムツ交換が+αなんていうのは寂しすぎますが,理学療法士・作業療法士によるオムツ交換は従来の職域や専門性の線引が薄れさせ,崩壊させる危険性もはらんでいると思います.
実際に回復期リハビリテーション病棟では,イブニングケアやモーニングケアに理学療法士が配置されているところがありますし,通所介護や通所リハビリでは食事介助,入浴介助,送迎介助に携わっているところも多いです.
この点に関しては賛否両論あると思いますが,私の専門は理学療法ですなんて言ってられない時代になってきているわけです.
本来は理学療法士としての専門性を高め差別化を図ることが重要でありますが,実際にはこの流れには打ち勝てないのも実際だと思います.
今回は訪問リハビリテーションにおいて理学療法士・作業療法士はオムツ交換するのってありなのかどうかについて考えてみました.
答えの出せない非常に難しい問題ですが,やはり理学療法士としてアイデンティティを確立できなければ,理学療法士がオムツ交換をルーチンに行う時代もそう遠くないのではないかと考えます.
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