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新型コロナウイルス感染拡大に伴う理学療法士臨床実習への調査報告結果
日本理学療法士協会が新型コロナ感染拡大を受けて会員の中でも主に施設管理者に対してアンケート調査を行いました.
先日,このアンケート調査の集計結果が公表されましたので今回はこの新型コロナウイルス感染拡大に伴う理学療法士の臨床実習に対する調査報告結果について見ていきたいと思います.
新型コロナウイルス感染拡大に伴う理学療法臨床業務への調査
この調査は令和2年5月15日~21日の期間で18,952名に対して行われました.
回収率は11.2%で2,097名の会員から回答が得られているようです.
決して高い回答率とは言えませんが調査項目も非常に多く,5月中旬の新型コロナ感染対策で多忙な中での調査でしたのでいたしかたないところもあるでしょう.
理学療法士臨床実習の受入
- 多くの地域で2020年4月からの臨床実習の受け入れ数が減少しており,今年度の受け入れ予定も少ない見込みであった.
- 臨床実習の受け入れに向けて,感染リスク・公衆衛生に関する教育やマニュアルの整備を条件とする施設が過半数であった.
予想通りというかそのままの結果ですが,受け入れ数は減少しておりました.
養成校側から実習中止の連絡があったパターンと臨床実習施設から実習受入を断ったパターンがあったようです.
実習生の受け入れに関する施設側の条件
- 実習生のPCR検査の実施:15.1%
- 実習開始から2週間の患者や利用者の接触禁止:22.7%
- 個人防護服の装着:17.1%
- 実習生やその家族の感染リスクに関する理解:67.1%
- 公衆衛生に関する教育:50.5%
- 実習期間の短縮:14.5%
- 実習時間の短縮:13.3%
- マニュアルの整備:53.5%
施設側が挙げた臨床実習生の受け入れに関する条件ではまずは基本的な感染に関する理解を求める意見や養成校としてのマニュアルの整備,具体的な対策としては実習開始から2週間の患者や利用者の接触禁止などが挙げられました.
地域によっては実習生に対するPCR検査を求めるといった回答も多い結果でありました.
今年度の実習への影響
- 依頼元の養成校より実習中止の連絡がきている
- 実習期間の短縮要請が養成校よりあった
- 施設としては受け入れるつもりだが,養成校側が取り下げている
- 受け入れたいが,施設としては医療が優先となるので,感染者を出さないようにしなくてはいけないため受け入れは難しい
- どういった状況になれば受け入れしてよいものか分からない
- リハビリ室がコロナ外来となり教育できる環境でなくなった
- コロナ終息まで受け入れは難しい
- 延期することで一時期に実習生が集中してしまう見込み
- 実習生の感染対策に対する意識が薄いようにも感じ,病院側として不安がある
- 実習期間中に罹患する可能性があるため,感染リスクについて学生や家族にご理解いただく必要がある
施設側だけでなく養成校側から実習を中止しているところも多く,完全な収束までは受け入れはなかなか難しいというのが実際のようです.
雇用や就労に関する影響
- 新規採用が減少する可能性がある
- 次年度採用者の新人教育が大変になる
- 新卒者は経験実績がなく就職するため配慮が必要と思われる
- 就職後の知識不足
- 臨床実習の経験がない者がいると、新人教育システムの見直しが必要となる
- 来年の新卒はあまり積極的に採用したくない
- 卒後教育が例年より大変になると考えられる
以前の記事でもご紹介させていただきましたが,やはり理学療法士の雇用や就労に関しても大きな影響が及びそうですね.
今回はこの新型コロナウイルス感染拡大に伴う理学療法士の臨床実習に対する調査報告結果についてご紹介させていただきました.
まだまだ完全な収束には至りそうにありませんので,こういった状況で新たな生活様式ならぬ新たな臨床実習のあり方が求められますね.
今後日本理学療法士協会からも臨床実習に対する情報が発信される予定ですので楽しみにしたいですね.
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