結局のところロボティクス(運動量増加機器)を用いたリハビリテーションは診療報酬上でどのように評価されるのか?

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結局のところロボティクス(運動量増加機器)を用いたリハビリテーションは診療報酬上でどのように評価されるのか?

皆様もご存じのとおり2020年4月の診療報酬改定で,脳卒中例に対して行われるロボット機器(運動量増加機器)を用いたリハビリテーションが評価されることとなりました.

しかしながら対象や発症までの期間,算定回数などが明らかにされておりませんでした.

今回は医科診療報酬点数表で明らかにされたロボティクス(運動量増加機器)を用いたリハビリテーションが診療報酬上でどのように評価されるのかについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロボティクス(運動量増加機器)が診療報酬上で評価されることになった

ロボティクスと言えば脳卒中片麻痺例に対する研究報告も増え,脳卒中治療ガイドラインでも推奨されているにもかかわらず,これまで脳血管疾患等リハビリテーション料においてロボティクスは全く評価されておりませんでした.

ロボティクスと言えば,導入にかなりのコストが必要ですので,診療報酬上の評価が無ければなかなか導入が難しいというのが実際でした.

脳卒中リハでロボティクスが診療報酬上で評価されることに
脳卒中リハでロボティクスが診療報酬上で評価されることに 2020年2月7日の中医協の中で医科診療報酬点数表が公表されました. リハビリテーションに関連する部分については前回とほぼ同様の内容であり,疾患別リハビリテーション料についても...

この記事は以前にもご紹介させていただきましたが,2020年4月の診療報酬改定で脳卒中例に対する運動量増加機器を持ちたリハビリテーションが評価されることとなりました.

 

 

中医協における運動量増加機器の評価

これが以前から示されていた運動量増加機器の評価に関する記述です.

 

H003-2 リハビリテーション総合計画評価料  1・2 (略)

5 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)又は脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)に係る別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届出を行った保険医療機関において,別に厚生労働大臣が定める患者に対して,運動量増加機器を用いたリハビリテーション計画を策定し,当該機器を用いて,脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションを行った場合に,運動量増加機器加算として月1回に限り150点を所定点数に加算する.

 

ただこの文章からは対象がどういった疾患になるのか,発症からいつまで算定できるのかが不明でありました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医科診療報酬点数表からみた運動量増加機器加算

先日,医科診療報酬点数表の中で運動量増加機器加算が明らかとなりました.

運動量増加機器加算ですが,対象疾患は脳卒中,脊髄損傷患者であることが明記されております.

また急性発症していることも条件となっており,慢性的な後遺症を持つ症例は今回の加算の対象からは除外されております.

さらに上肢か下肢に運動機能障害があることといった条件も明記されております.

さて最も気になる条件ですが,算定は発症日から起算して60日以内であることと明記されております.

月1回に限り150点を算定できるわけですが発症から起算して60日以内ということは,加算が取得できても3回までということになります.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この基準では急性期・回復期いずれの施設でも機器の導入が難しい?

脳卒中および脊髄損傷のリハビリテーションにおいては急性期を脱すれば,回復期リハビリテーション病院へ転院し集中的なリハビリテーションを受けるのが一般的なリハビリテーションの流れとなってきております.

そのため在院期間の短い急性期ではこの加算は取得できても1回または2回が最大となることが予測されます.

回復期においても急性期からどのタイミングで転棟するかによりますが,この加算が取得できても2回が限界ではないでしょうか?

また1つの法人が急性期・回復期の病棟を有していたとしても,最大で3回しか加算を取得できないわけですから,1患者あたりの収益は最高でも4,500円ということになります.

この4,500円をどのくらいの症例に適応するかということになりますが,どちらにしても運動量増加機器が高額であることを考えると,点数的にはかなり厳しいものがあって,加算を取得し続ければ何年かで元が取れるといった話にはならないでしょうね.

そのためなかなか稟議書を提出しても機器を導入するのが難しい施設が多いのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あくまで第1歩

今回の診療報酬改定における運動量増加機器の加算というのはあくまで第1歩だと思います.

したがって今後さらに発症からの期間や加算そのものが引き上げられる可能性もあります.

長い目で見ていくしかないといった見方がほとんどだと思いますが,一方で算定する医療機関が少なければ厚生労働省からは必要ない加算と判断されることにもなりかねませんので非常に難しいところです.

 

今回は医科診療報酬点数表で明らかにされたロボティクス(運動量増加機器)を用いたリハビリテーションが診療報酬上でどのように評価されるのかについて考えてみました.

結果から言えばかなり厳しい基準となりましたが,理学療法士・作業療法士ももう少し長い目でこの運動量増加機器の使用による加算について見守っていく必要がありそうですね.

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