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高知医療センター理学療法士 不正確なカルテ記載で停職2カ月
高知医療センターの理学療法士が不正確なカルテ記載で停職2か月の処分を受けるといったニュースが発表されました.
このニュースを見てドキッとした理学療法士・作業療法士も少なくないのではないかと思います.
今回はこのニュースと合わせてカルテ記載について考えてみたいと思います.
ニュースによると
高知県・高知市病院企業団は25日,不正確なカルテへの記載を繰り返したとして,高知医療センターの理学療法技術科長を停職2カ月の懲戒処分(同日付)にしたと発表した.
高知県・高知市病院企業団によると,科長は主に整形外科の入院患者のリハビリを担当.昨年4月,同僚の指摘で,リハビリの実施時間を正確にカルテに記していないことが分かった.
2016年以降のカルテを調べたところ,不正確な記載の割合は手掛けた案件の約7割に上っていた.
また判明後に再三,上司らが注意したにもかかわらず改善しなかった.
動機は分からないという.
この問題のすごいのは理学療法技術科長という立場の人間が不正確な記録をしていたといった点です.
どのような点で不正確であったのかは明らかにされておりませんが,理学療法士・作業療法士の診療録記録に関しては以前からさまざまな問題があります.
特に時間の記載に関しては監査などでも指摘を受けることが多い点ですし,これまでに問題になった事例をみても診療録の内容よりも時間の記載が問題になっていることがほとんどです.
理学療法士・作業療法士必見 診療録記載におけるリハビリ実施時間・リハビリ時間間隔はどのような運用が正解か?
昔から診療録における実施時間の記載に関する部分ってどのように運用するかに頭を悩ませる管理者が多いですよね.
でも診療録記載におけるリハビリ実施時間や時間間隔って何が正解なのでしょうか?
私は昔,上司からクライアントとクライアントの間は5分開けるように教えられてきましたが,こういったルールが存在するのでしょうか?
またそもそも5分でなくても,2~3分でも大丈夫なのでしょうか?
診療録記載におけるリハビリ時間間隔に関する文書上の規程は存在しません.
監査などでは病院勤務時の立ち入り調査の際に,「基本的には移動や待ち時間も含めた時間を記載する.ベッドが隣であっても,クライアントとクライアントの間には①手洗い等の感染予防対策や準備等を行う前提なので,時間間隔が短すぎる」と監査で指摘を受けるようです.
実際のところは2~3分で運用をされている医療機関が多いと思います.
ただし適時指導等で緩衝時間に関して指摘されることは多々あります.
何分だから良いということではなくのではなく実際の時間を記載することの方が重要です.
移動時間・WC・カルテ閲覧・EV待ち等で変動しますので,全ての間隔が均一であると虚偽記載としての疑いをかけられることになります.
厳密には実際の実施時間を記録するのが正解
厳密には,カルテに記載する訓練時間は,本当の時間でなければ,虚偽記載となります.
本当の時間でなくても5分開ければよいなんて文書はありませんし,仮に1分でも,それが本当の時間であれば問題ないわけです.
大部屋のクライアントのベッドサイドリハビリで,次のクライアントが隣のベッドにいるなら間が1分ってこともありますよね.
時間が作られた時間の記録では診療録そのものの信憑性が疑われてしまうわけですね.
このあたりは監査における指摘が年々厳しくなっているところです.
ここまで時間間隔について述べてきましたが,18単位全てが20分の倍数では不実記載や虚偽記載が疑われ記載内容の矛盾を探されることにもなります.
リハビリ実施時間は20分稠度の場合もあるでしょうし,21分や23分の場合も無いとおかしいですよね.
記録内容が同じ日が続く場合も注意
電子カルテだと前日の記録のコピーができちゃうと思いますので,ついついコピーして終わらせてしまいたくなりますが,全く同じ記録が数日続いているような場合にも虚偽記載の疑いをかけられます.
適切な理学療法・作業療法評価に基づいて日々の変化を記録することが重要ですね.
今回は高知医療センター理学療法士が不正確なカルテ記載で停職2カ月になった件について考えてみました.
もしこのニュースにひやっとした理学療法士・作業療法士の方は,このニュースをきっかけに診療録記載に関して改める必要がありますね.
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