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なぜ理学療法士・作業療法士の副業が禁止されるのか?
働き方改革法案が施行され,副業に励んでおられる理学療法士・作業療法士も増えていると思います.
ただ私もそうですがなかなか公には副業をしていると言いにくいものです.
副業というのは,正社員として勤めている仕事のほかに行っている仕事のことを指します.
理学療法士・作業療法士の給与は頭打ちですので,副業を行って所得を増やそうとする理学療法士・作業療法士が多くなってきております.
理学療法士・作業療法士の給料は「もらう」から「稼ぎ出す」時代になったわけです.
ただ職場によっては副業が禁止されている職場もありますし,禁止まではしていなくともあまり望ましくないと考える職場が多いのも実際です.
今回は理学療法士・作業療法士の職場でなぜ福業が禁止されていることが多いのかについて考えてみたいと思います.
法律的にはどうなのか?
まず法律的にどうかといった話ですが,副業というのは民法なり労働基準法なりで制限されているのでしょうか?
答えはNoです.
実は法律の観点で言えば副業が法律上の規制というのは存在しません.
むしろ働き手が減少する昨今は副業を推進する動きすらある状況です.
民法にも労働基準法にも,2つ以上の会社と雇用契約を結ぶ,会社員と自営業を兼業することについての規制は存在しないわけです.
理学療法士・作業療法士に課せられているのは,病院との雇用契約で定められた勤務時間の中でしっかり働くことです.
定時を過ぎた後の時間は理学療法士・作業療法士のプライベートですから,副業を規制することはできないのです.
理学療法士・作業療法士が終業後にパチンコに行こうが,youtubeを見ようが制限されないのといっしょです.
仮に理学療法士・作業療法士の私生活にまで病院が介入して規制するようであれば,それ自体が大きな問題です.
では副業はどのように禁止されるのか?
法律上の問題はないわけですが,副業を規制するのは皆様が所属する病院の就業規則です.
ではなぜ就業規則で副業を禁止する必要があるのでしょうか?
ここでポイントとなるのが兼業禁止限定の合理性といった概念です.
兼業禁止限定の合理性というのは,会社と社員が副業の関係で裁判をして示された基準なわけですが,少し難しい話ですのでここでは割愛いたします.
なぜ副業が禁止されるのか?
副業によって遅刻・欠勤が増える
例えば理学療法士・作業療法士が病院での仕事に支障が出るほど長時間・重労働の副業をしている場合,仕事中に居眠りをしたり,寝坊して遅刻をしたりといったことが増える可能性があります.
そうすると副業が禁止されても仕方ありませんよね.
副業を行うことで,理学療法士・作業療法士としての病院での仕事がおろそかになってしまうのは望ましくありません.
病院の利益が損なわれる
理学療法士・作業療法士の場合にはあまりないかもしれませんが,普段勤務する病院とアルバイトをしているクリニックが競合関係になってしまう場合には,副業を禁止される可能性も考えられます.
病院は自院の利益を第一に考えたいわけですから当然といえば当然でしょう.
病院の情報が漏洩される
理学療法士・作業療法士が副業を通じて病院外の人と関わると,病院の内部情報を漏洩してしまう可能性もあります.
病院の体制であったり,クライアントの情報であったり,何気なく口にしたことで情報が漏洩し,情報漏洩が病院の不利益に繋がることもあります.
理学療法士・作業療法士が副業を行うことのメリット・デメリット
理学療法士・作業療法士の給与を考えれば,副業をして少しでも収入を増やしたいところです.
ただ副業にはメリットとデメリットもあります.
ここでは理学療法士・作業療法士が副業を行うことによるメリットとデメリットについて考えてみたいと思います.
理学療法士・作業療法士が副業を行うメリット
一番のメリットは収入が増えるといった点でしょう.
理学療法士・作業療法士の給与は現行の診療報酬の枠組みの中では頭打ちですから,診療報酬の枠外で収入を増やすことを考えた方が良いでしょう.
起業なんかも収入を増やすための1つの方法ですが,リスクの高い方法ですので,働きながら副業で副収入を得るといった働き方の方が安全であることは言うまでもありません.
特に理学療法士の数というのは年間1万人以上増え続けておりますので,理学療法士は今後も飽和して市場価値は低くなる一方です.
副業である程度の収入源があれば,本業の給料がカットされた場合も安心です.
また理学療法士・作業療法士が副業を行うメリットはお金の面だけではありません.
副業を通じて人脈が広がったり,知識が増えてそれが本業に生かせるといった利点もあります.
副業で取り扱うものによっては,必要な知識を身につけるために研鑽する必要があります.
そこで得た知識が本業につながるといったことも少なくないと思います.
理学療法士・作業療法士が副業を行うデメリット
理学療法士・作業療法士が副業を本気でやればやるほど,体力も時間も使うことになります.
副業による疲労感から本業の仕事に対して集中できなくなったり,本業の仕事の効率が落ちるということもあるでしょう.
あくまで副業ですので,本業に支障のない範囲にとどめておくのが鉄則です.
また理学療法士・作業療法士の場合には,平日の朝から夕方まで本業の仕事をして,終業後や休日に副業ということになると,休息時間は短くなってしまいますので,体調を崩すことにもなりかねません.
副業が過負荷にならないように十分に注意する必要があります.
さらに副業で固まった収入を得られるようになると,本業より仕事のモチベーションが下がってしまうこともあります.
副業での稼ぎが多くなれば多くなるほど,こんなに長い時間働いてこの収入といった気持ちに陥ってしまうのです.
今回は理学療法士・作業療法士の職場でなぜ福業が禁止されていることが多いのかについて考えてみました.
理学療法士・作業療法士が副業を行う上では,そのメリットとデメリットを十分に理解した上で副業を行うことが重要です.
まだまだ副業をしていると声を大にして言いにくい時代ではありますが,今後さらに社会の副業に対する認識も変わっていくことと思います.
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