目次
新生涯学習制度における認定理学療法士制度(案)
認定理学療法士制度に続き新生涯学習制度における専門理学療法士制度(案)をご紹介させていただきます.
現在,専門理学療法士を取得されている方にとっても更新がどうなるか,今後専門理学療法士を取得予定の方にとっても取得に必要なハードルがどのように設定されているかは非常に気になるところだと思います.
特に専門理学療法士制度(案)については認定理学療法士よりもドラスティックな変更点があり,さまざまな議論を呼びそうです.
今回は新生涯学習制度における専門理学療法士制度(案)についてみていきたいと思います.
専門理学療法の資格の定義(到達目標)と位置づけ
■目的
専門理学療法士制度は,特定分野において,より質の高い理学療法学の実践ができることにより,国民に高水準の
理学療法学を提供できる理学療法士として認知してもらうことを目的とする
■定義(到達目標)
高水準の理学療法を効率よく実践するための知識と技術を深め,理学療法学としてより学問的発展を倫理的かつ科学的に実践できるレベル
■対象と要件
登録理学療法士を有する会員の中で,所定のカリキュラム等を修了し,本会が行う認定試験に合格した者
■位置づけ
・幅広い総合的な生涯学習(登録理学療法士の更新)を基盤とした専門理学療法士の資格を付与する制度とする
・会員の学問的志向が持続可能な生涯学習制度とし特定分野における理学療法学の確立および深化となるキャリア開発プログラムとする
専門理学療法士の分野は分科学会に準拠するものに
現行制度 | 新制度 |
基礎 | 基礎理学療法 |
物理療法 | |
神経 | 神経系理学療法 |
小児理学療法 | |
運動器 | 運動器理学療法 |
スポーツ理学療法 | |
内部障害 | 心血管理学療法 |
呼吸理学療法 | |
糖尿病理学療法 | |
生活環境支援 | 地域理学療法 |
予防理学療法 | |
支援工学理学療法 | |
教育・管理 | 理学療法教育 |
専門理学療法士の領域もこれまでの7領域から,12領域に変更となります.
分科学会に準拠した領域に分類されることで,これまで以上に分科学会において専門理学療法士の果たす役割が大きくなりそうですね.
専門理学療法士の取得要件
<前提条件>
登録理学療法士を有する
まずは前提条件として登録理学療法士を取得していることが条件になるようです.
<取得要件>
・指定の要件を満たし、口頭試問試験に合格すること
① 指定研修カリキュラムの受講 10コマ
② 分科学会参加 1回
③ ブロック学会参加 1回
④ 都道府県学会参加 1回
⑤ 分科学会での発表 1演題
⑥ 査読付き学術論文業績
⑦ 口頭試問試験に合格すること
まず指定研修カリキュラムの受講は問題ないと思いますが,特徴的なのが分科学会への参加だけではなく,ブロック学会や都道府県学会への参加が義務付けられている点です.
おそらく専門理学療法士としてブロックや都道府県理学療法士学会でも学会を盛り上げてほしいといったような意図が組み込まれているように感じます.
さらには分科学会での発表が義務付けられております.
ここまでの①~⑤は専門理学療法士を取得しているレベルの方であれば,比較的簡単にクリアできそうな条件だと思います.
問題は⑥ 査読付き学術論文業績,⑦ 口頭試問試験に合格することです.
⑥ 査読付き学術論文業績はハードルが高いですね.
大学の現教授であっても原著を書いていない方はたくさんいらっしゃいますし,人によってはクリアが難しいのがこの査読付き論文業績でしょうね.
ただあくまで査読付きということですので例えばハゲタカジャーナルでも大丈夫ならば,お金を支払えば掲載されるような雑誌に論文を掲載してということも可能でしょうね(理学●●科学とか…)
⑦ 口頭試問試験に合格することというのも実際にどのような口頭試問が行われるのかによりますが,口頭試問を受けるために試験会場まで移動することなんかを考えると,今までよりもハードルが高くなるのは間違いありません.
今回は新生涯学習制度における専門理学療法士制度(案)についてご紹介いたしました.
あくまで案ということですので,どこまでこれが受け入れられるかは不明ですが,⑥と⑦に関して非常に大きな反対を食らうのは目に見えてます.
結局は専門理学療法士の位置づけだと思いますが,過去のゆるゆるの制度の中で専門理学療法士を取得した理学療法士を排除しようといった動きにしか見えません.
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