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認定・専門理学療法士についてホームページで広告可能なの?
日本理学療法士協会の生涯学習制度は現在,転換期を迎えております.
日本理学療法士協会の認定・専門理学療法士制度といえば,医療広告ガイドラインへの準拠を目標に日本理学療法士協会も活動を進めておりましたが,実は現行でも条件付きで認定・専門理学療法士資格の取得に関してホームページ上で開示が可能であるといった話が出てきております.
本日出された協会の新生涯学習制度の記事の中でも医療広告ガイドラインについての記載があります.
今回は認定・専門理学療法士取得に関して自院のホームページ等で広告することが可能か否かについて考えてみたいと思います.
医療広告ガイドラインとは?
医療広告ガイドラインについては以前にもこのブログの中で取り上げさせていただきました.
医療というのは提供されるサービスの性質上,不適切な広告によって受け手であるクライアントが不利益を被ることから医療法によって,「特定の項目」を除いては原則広告禁止となっているのです.
特定の項目のひとつとして,「当該病院又は診療所において診療に従事する医療従事者の氏名・年齢・性別・役職・略歴その他の当該医療従事者に関する事項であって医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの」があります.
実は日本医師会の専門医制度や日本看護協会の認定看護師なんかはこの「当該医療従事者に関する事項であって医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの」に該当するわけですが,この部分については厚生労働省告示第108号第1条第2号に「厚生労働大臣に届け出た団体が行う医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の医療従事者の専門性に関する認定」とその詳細が定められているのです.
この医療従事者の専門性に関する認定には基準が設けられております.
学術団体として法人格を有していること
- 会員数が1000人以上であり,かつその8割以上が当該認定に係る医療従事者であること
- 一定の活動実績を有し、かつ、その内容を公表していること
- 外部からの問い合わせに対応できる体制が整備されていること
- 当該認定に係る医療従事者の専門性に関する資格(以下「資格」という)の取得条件を公表していること
- 資格の認定に際して医師,歯科医師,薬剤師においては5年以上,看護師その他の医療従事者においては3年以上の研修の受講を条件としていること
- 資格の認定に際して適正な試験を実施していること
- 資格を定期的に更新する制度を設けていること
- 会員及び資格を認定した医療従事者の名簿が公表されていること
認定理学療法士が医療広告ガイドラインに認められるための最大の課題は,資格の認定に際して医師,歯科医師,薬剤師においては5年以上,看護師その他の医療従事者においては3年以上の研修の受講を条件としていることといった項目と,資格を定期的に更新する制度を設けていることといった項目です.
このように認定・専門理学療法士制度は研修受講期間が短く,医療広告ガイドラインに認定されるのは難しい状況と考えられてきました.
条件によっては開示が可能といった解釈も
実はこの医療広告ガイドラインについては限定解除に関する記載があるといったことが話題になっております.
ちなみに日本理学療法士協会の組織運営協議会の中でも,ホームページ上での公開の方法によっては,認定理学療法士や専門理学療法士資格を広報に使用することが可能であることが報告されております.
この限定解除に関する記載ですが,重要なのは認定団体の名称を併記するといった点です.
×在籍理学療法士の取得資格
リハビリ太郎:認定理学療法士(脳卒中)
この記載ではだめですね.
〇在籍理学療法士の取得資格
認定理学療法士(脳卒中)
日本理学療法士協会認定
認定理学療法士についての問い合わせ先(03-●●●●-●●●●)
こんな感じで記載すれば広告が可能であるといった解釈です.
実際にはこういった医療広告ガイドラインについては限定解除に関する記載のことを知らないまま,ホームページ上に掲載している医療機関のホームページも多いわけですが,現状では何かしらのお咎めがあったといった話も聞いたことがありません.
そういったことからすると認定団体を明記した上で掲載することが可能だと解釈してもよさそうです.
確かに昔は日本理学療法士協会も生涯学習制度に関して,まずは医療広告ガイドラインへの準拠といった目標をしきりに提示しておりましたが,最近はこの手の話って聞かない気がします.
認定団体を明記すれば,掲載が可能であることが判明したためと考えられます.
最近は診療報酬への反映を目標にしているといったような話が多いですもんね.
ただホームページへ開示したところでどれだけのメリットがあるのかと考えると,あまり無い気もします.
おそらく業界の中で,ホームページを見れば,この病院の理学療法士は頑張っている人が多いのだなとかその程度な気がします.
今回は認定・専門理学療法士取得に関して自院のホームページ等で広告することが可能か否かについて考えてみました.
皆様の施設でも熟考した上で,ホームページへの開示について考えてみていただければと思います.
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