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理学療法士・作業療法士がクライアントの話を上手に切り上げる方法
理学療法士・作業療法士であれば,皆様も経験があると思いますが,時間が無い時に限ってクライアントが話し続けてくるためになかなか話を切り上げられないことってありますよね?
クライアントの話を傾聴することが大原則ですが,傾聴していてカンファレンスに遅れたり,次のクライアントとの約束時間を守れなければ,大きな問題となります.
今回は理学療法士・作業療法士がクライアントの話を上手に切り上げる方法についてご紹介させていただきます.
なぜクライアントは話し続けるのか?
クライアントは,自分の疾病や障害と付き合いながら,不安で孤独な闘いをしています.
自分の話を聴いてくれる人に対して,できれば声をかけてもらいたい,話を聴いてもらいたいと思っています.
したがってセラピストが評価や治療などで1対1になってしっかりと向き合うことができる時間は,クライアントにとっても大変貴重な時間なわけです.
しかしながら,治療時間は決められています.
臨床現場で理学療法士・作業療法士は1人のクライアントだけに対応しているのではなく、次のクライアントが順番を待っています.
つまり,限られた時間のなかで一人ひとりのクライアントへの対応をしているのです.
クライアントとの話が途中であっても,その場を離れなければならない状況も出てきます.
そんなとき,相手に嫌な思いをできるだけ残さずに話を終えてその場を去るという,配慮のあるコミュニケーションが重要となります.
うまく切り上げられないと他部署にも影響が及ぶ
次のクライアントの治療時間になってしまった場合には,1人のクライアントに決められた治療時間には限りがあり,制限時間内で治療を終わらせる必要があります.
1人の方の治療時間が長くなれば,次のクライアントにも影響が及び,場合によってはクライアントの次のスケジュールにも支障を来たすことになります.
そうなれば担当理学療法士・作業療法士1人だけの問題ではなく,リハビリ科,果ては病院の他部署の職員,他の職員が関わるクライアントにまで発展することにもなりかねません.
たとえ相手がなかなか話し終えない状況にあっても,時間を守り.責任ある仕事をしていくためのコミュニケーションの方法を学ぶことが重要です.
なかなか治療にならない場合
クライアントのなかには,さまざまな訴えや悩みごとを治療中に理学療法士・作業療法士に話される方が多くいらっしゃいます.
医療職のなかでも理学療法士・作業療法士は一定の時間クライアントと1対1で身体接触をしながら関わることができますので,信頼関係も生まれやすく,頼りにされる存在なのです.
しかしながら,あまり話にばかり夢中’になってしまうと身体運動に関しての注意が疎かになり,治療内容の指示が入りにくくなるため実際の治療に支障を来たすことにもなりかねません.
状況に応じてクライアントの話をいったん停止させ,治療に集中するための時間を作る働きかけが必要です.
では,実際にどのように働きかけたらよいのでしょうか?
次に臨床現場で使える言葉かけの例をご紹介いたします.
どう話を切り上げれば良いのか?
まずは率直に,「それでは.今日はこれで終わりましょう」,「○○さん,時間が来たので今日は終わりにしましょう」,「時間ですので終わりにしてもよろしいですか?」などの形で,伝えることが重要です.
それから「クッション言葉」を使うのも効果的です.
「お話の途中で申し訳ありませんが」とか「すみません,いったんお話を中断させていただいてもいいですか」,「よろしければ今のお話をまた別の機会にきかせていただいていいでしょうか」などといった形です.
「転換」を表す接続詞を使う方法も有効です.
「ところで,○○さん,…」,「それでは,そろそろ飴めましようか…」といったような形式です.
また率直に治療時間が終わったことをお伝えすることも重要です.
今回は理学療法士・作業療法士がクライアントの話を上手に切り上げる方法についてご紹介させていただきました.
理学療法士・作業療法士が行うリハビリの時間は,保険を使って診療報酬が発生する治療時間であり,理学療法士・作業療法士には決められた時間内に求められている職務を遂行する責任があります.
つまり,制限時間内にその日のメニューが終えられるように時間管理を行うことが必要です.
状況に応じてクライアントご本人にも協力していただきながら,治療時間を有効に使うことができるようにしたいですね.
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