Hip-spine syndromeとは?

変形性股関節症
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目次

 Hip-spine syndromeとは? 

骨関節系疾患にとどまらず,クライアントの障害をとらえるさいには骨折や変形性関節症を患った局所のみに注目するのではなく,隣接関節をはじめとする全身に目を向けることが重要となります.

特に変形性関節症のような慢性的に経過する病態の場合には,隣接関節の障害が顕著な場合も少なくありません.

隣接関節に代表的な概念としてHip-spine syndromeといった概念が挙げられます.

言葉としては皆様も耳にされたことがあると思いますが,実はHip-spine syndromeにはいくつかの分類があります.

今回は理学療法士の視点でHip-spine syndromeについて考えてみたいと思います.

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 Hip-spine syndromeとは? 

Hip-spine syndromeとは,1983年にOffierskiとMacNabによって提唱された概念です.

Hip-spine syndromeとは,脊椎と股関節には密接な関係があり,どちらか一方に障害があれば,もう一方にも障害が連鎖するといった概念です.

つまり脊椎から股関節へ障害が連鎖する場合もあれば,股関節から脊椎へ障害が連鎖する場合もあります.

病態は以下の4つに分類されます.

 

 

 

 

 

 

 ①Simple hip-spine syndrome 

Simple hip-spine syndromeの場合には,病変は股関節と脊椎の両方に認めますが,いずれか一方が症状の主原因である場合です.

例えば,変形性股関節症に罹患したために,代償的に骨盤を前傾させ大腿骨頭に対する寛骨臼の前方被覆を増加させるパターンが継続することで,腰椎の前彎が増強され,腰椎の変性辷症をきたしているといったような場合です.

逆のパターンも考えられます.

腰椎圧迫骨折を受傷し,腰椎の後彎変形が出現したことで,大腿骨頭に対する寛骨臼の前方被覆が減少し,変形性股関節症を発症したといったケースも考えられるでしょう.

このように股関節から脊椎,脊椎から股関節といった一方向性の関係性をSimple hip-spine syndromeと呼びます.

 

 

 

 

 

 

 ②Complex hip-spine syndrome 

Complex hip-spine syndromeでは,病変が股関節と脊椎の両方に認められ,症状の主原因が不明瞭な場合です.

腰痛と股関節痛があり,それぞれが関連していることが考えられるものの,どちらが先かは明らかでないといった場合です.

このような場合には,クライアントにどちらの症状が先に出現したかを聴取することが重要となりますが,場合によってはこれが明確でない場合もあります.

 

 

 

 

 

 

 ③Secondary hip-spine syndrome 

Secondary hip-spine syndromeというのは股関節・脊椎のいずれかに主病変があり,その病変が他方に影響を与える場合です.

Simple hip-spine syndromeとの大きな違いは,Simple hip-spine syndromeでは既に病変が脊椎・股関節といった両方に存在するのに対して,Secondary hip-spine syndromeの場合には,まだ病変が一方にしか存在しないといった点です.

 

 

 

 

 

 

 ④Misdiagnosed hip-spine syndrome 

Misdiagnosed hip-spine syndromeとは股関節・脊椎の主原因を誤診し,誤った治療を行った場合を指します.

 

 

 

 

 

 

今回は理学療法士の視点でHip-spine syndromeについて考えてみました.

よく耳にするhip-spine syndromeといった概念ですが,4つの分類はもとより,どちらが主原因でどのような代償戦略によって二次的な障害が発生しているのかを見極めることが重要です.

 

参考文献

Offierski CM,Mac Nabl : Hip-spine syndrome. Spine 8: 316-321, 1983

 

 

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