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理学療法士・作業療法士の視点で考える医療面接の進め方
理学療法士・作業療法士がクライアントにリハビリテーションサービスを提供するためには,さまざまな情報をクライアントから引き出す必要があります.
ここで重要になるのが医療面接のスキルです.
今回は理学療法士・作業療法士の視点で医療面接の進め方について考えてみたいと思います.
コミュニケーション・スキルの重要性
医療面接を円滑に進めるためのポイントとして,コミューケーションスキルが挙げられます.
われわれ理学療法・作業療法の対象となるクライアントには認知症や失語症を合併している等,医療者が求めている情報を上手く伝えることができないクライアントは少なくありません.
そこで面接を円滑に進めるためにコミュニケーション・スキルの習得が不可欠です.
コミュニケーションは,非言語的コミュニケーションと言語的コミュニケーションに分類され,両者を適切に取り入れながらクライアントに面接を進めることが求められます.
非言語的コミュニケーション
クライアントの姿勢に合わせて,適切な距離感で,なるべく目線の位置が同じ高さになるように配慮します.
表情や視線(アイコンタクト),声の大きさや抑揚,アクセント,話のスピードは,クライアントが安心して話しやすい雰囲気を作るために重要な非言語的コミユニケーシヨンです.
言語的コミュニケーション
質問の方法
医療面接で用いられる質問の方法はオープンクエスチョンという方法と,クローズドクエスチョンといった方法の2種類に分類できます.
オープンクエスチョンはクライアントが自由に答えられる質問で,クローズドクエスチョンはクライアントが「はい」「いいえ」で答えられる質問のことを指します.
2つの質問方法にはそれぞれ利点と欠点がありますが,医療面接の初期には,オープンクエスチョンをできるだけ多く用いるのが効果的です.
特定の情報について聴取する場合は,焦点を当てた質問(focused question)やクローズドクエスチョンを組み合わせると効果的です.
質問は平易でわかりやすい質問とし,一度に複数の質問をしないように留意する必要があります.
また誘導的な質問も避ける必要があります.
傾聴の方法
頷きや相槌を適切に使用すると,クライアントの話を引き出すのに有効です.
クライアントの活の途中で割り込むのもタブーです.
クライアントが質問に対して考えをまとめている際は,適切な沈黙によってクライアントの訴えを引き出しやすくなります.
クライアントの訴えや話が一区切りついたときには,クライアントの言葉を繰り返し,ときに要約することで共感していることをクライアントに伝えることができます.
また適切なタイミングでクライアントの訴えをクライアントとは異なる表現で言い換えて明確にすることも有効です.
医療面接の注意点
理学療法士が医療面接を行う上では,クライアントが話しやすい環境を設定し,個人情報の管理に努めることが重要となります.
まず重要なのが時間的な配慮です.
医療面接で収集する情報は多岐にわたりますので,内容量も非常に多いです.
一度の面接ですべての情報を収集することは時間的に難しく,クライアントの負担も大きいわけです.
また入院後早期は理学療法士や作業療法士だけでなく,看護師や他職種からも情報収集が行われることが多いので,他職種からの情報収集の時間も考慮した上でクライアントの負担を考慮する必要があるでしょう.
クライアントの負担を軽減するためには,事前にカルテ情報を確認し,他職種が収集した情報を重複して聴取しないことも重要となります.
特にパーソナリティや障害像などを把握しておくと,面接が円滑に進みやすくなります.
クライアントが話しにくい内容については,初期に質問せず理学療法を進めていく経過のなかで信頼関係を榊築しながら取り入れるように配慮する必要があります.
個人情報管理に努めましょう
医療面接で収集する情報には個人情報を多く含んでいるため,面接の際には他の患者やスタッフがいない環境を設定するなど,場所や時間への配慮も重要です.
治療に関わる医療者以外にクライアントの個人情報を漏らすことは認められません.
最近はがんリハビリテーションに積極的に取り組む医療機関も増えておりますが,癌などの疾患予後についてクライアント本人にどこまで告知されているか,特に細心の注意が必要となります.
告知の有無についてカルテやスタッフから確認し,告知されていない情報を理学療法士が伝えることがないように注意が必要です.
今回は理学療法士・作業療法士の視点で医療面接の進め方について考えてみました.
医療面接でクライアントからどこまで情報を引き出せるかはわれわれ理学療法士・作業療法士の重要なスキルの1つだと思います.
さまざまな技法を使ってクライアントから有用な情報を引き出せるように努めましょう.
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