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理学療法士・作業療法士が知っておくべき英単語その4
以前にも複数回に分けて診療録から情報を得る際に必要な略語についてご紹介させていただきました.
以前は医学分野では診療録の記録にドイツ語が用いられていたわけですが,最近は専ら英語が用いられるようになってきております.
理学療法士・作業療法士も診療録から情報を得る際や診療録に記録をする際に英単語の知識が必須となります.
今回は理学療法士・作業療法士が知っておくべき英単語に関して,主に骨の名称について整理してみたいと思います.
頭蓋骨
Cranium(クレイニアム)と表記します.
頭蓋仙骨療法というテクニックがありますが,craniosacral therapy(クラニオセイクラルセラピー)と英名で表記されます.
脊柱
Vertebral columnと表記します.
頸椎はcervical spines(サーヴァイカルスパインズ),胸椎はthoracic spines(ソラシックスパインズ),腰椎はlumbar spines(ランバースパインズ),仙椎はsacral spines(サクラルスパインズ)と表記されます.
Sacrumの語源はラテン語のsacer(神聖な)であり,sacrumは「神聖な骨」と共に「聖所・神殿」の意味があります.
なぜ仙骨が「神聖な骨」と考えられるようになったかですが,最大の椎骨であるから,古代エジプトの再生の神オシリスに捧げられたから,死語に朽ちるのが最も遅いから,さらに生殖器を守っているからと,種々の説があります.
鎖骨
鎖骨は英語ではクラビクルclavicleと表記します.
鎖骨はクラビクルバンドで有名ですね.
古代ローマ時代,S字形をした窓の締め金具のことをクラビスと呼んでいました.
この金具と鎖骨の形がよく似ていることから,「小さな鍵」を意味するクラビクラと名付けられたのが語源とされます.
肩甲骨
肩甲骨は英語ではScapulaと表記されます.
ローマ時代には scapulaeで背,両肩といった意味で用いられておりました.
肩甲骨はスコップに形が似ていることから,スコップを連想してこの名が付けられたと言われております.
上腕骨
上腕骨はhumerusと表記されます.
上腕骨は「ファニーボーン」という正式名称が付いています.
ファニーボーンは英語で「ユーモアのセンス」という意味で,上腕骨を意味する「humerus」と面白いという意味の「ヒューモラス(humorous)」の発音が似ていることから,ファニーボーンとなったのです.
こういった語源を知っておくと英語表記を覚えやすくなりますね.
橈骨
橈骨はradiusと表記されます.
和名の橈骨は撓(たわ)んだ形に由来します.
もともとラテン語で「光線の放射」「棒・杖」「車輪の輻(スポーク)」といった意味もあります.
尺骨
尺骨は英語ではulnaと表記されます.
ulnaはもともとラテン語で「肘」という意味があります.
尺骨には肘頭がありますので,昔は尺骨=肘と考えられていたわけです.
骨盤
骨盤はpelvisと表記されます.
ラテン語のpelvis(水盤・たらい)に由来すると言われております.
骨盤の形が水盤・たらいといった容器の形に似ているので,16世紀末頃からそう呼ばれるようになったそうです.
腸骨
腸骨はiliumと表記されます.
そもそも ilium のラテン語の原義は脇腹あるいは鼠径部です.
局在からみて脇腹の骨ならなんとなく納得できます.
坐骨
坐骨はischiumと表記されます.
坐骨というと座る骨といったイメージをされると思いますが,ischiumに座るの意味はありません.
恥骨
恥骨はpubisと表記されます.
恥骨というと恥ずかしい骨といった印象があると思いますが,英語のpubisには恥ずかしいといった意味はありません.
大腿骨
大腿骨はfemurと表記されます.
ちなみに大腿はthighと表記され,大腿骨と大腿では使用する英語名が異なるので注意が必要です.
膝蓋骨
ラテン語の解剖名 patella は patera 供物皿または patina 盛り皿の指小辞です.
膝蓋骨は膝のお皿などとも表現されますが,元々の語源を考えても納得できます.
胸骨
胸骨はsternumと表記されます.
ギリシャ語の男の胸sternonに由来します.
脛骨
脛骨はtibiaと表記されます.
人類は石器や青銅器の外に,種々の骨を道具に用いておりました.
古代エジプトでは脛骨で縦笛を作っておりました.
それがローマに入ってtibiaと表現されるようになり,後に脛骨のラテン語解剖名に採用されるに至ったようです.
腓骨
腓骨はfibulaと表記されます.
fibulaはラテン語でブローチのピンを指します.
確かに fibula は下端が尖っており,脛骨に寄り添う様はブローチのピンに似ております.
距骨
距骨はtalusと表記されます.
Talusはラテン語のtalus(踵の骨・くるぶし)に由来します.
つまり距骨にはもともと踵やくるぶしといった意味がありますので,現在の部位とは少し異なる意味で使用されていたことが分かります.
踵骨
踵骨はcalcaneusと表記されます.
ラテン語解剖名calcaneus はcalx(かかと)を起源とします.
今回は理学療法士・作業療法士が知っておくべき英単語に関して,主に骨の名称について整理してみました.
語源を知ることで少しは英名を覚えやすくなると思います.
骨名の英単語は頻繁に診療録の中にも出てきますので確実におさえていきたいところです.
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