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理学療法士飽和時代を生き抜くためには?
2000年前後から理学療法士は急増しております.
地域差はありますが,現在の養成校数と考えると,今後は市場における理学療法士の供給過多が生じる可能性が非常に高いです.
実は作業療法士は定員割れしている養成校も多いので,作業療法士養成数は理学療法士ほど伸びていない現状があります.
逆に言えば作業療法士は理学療法士ほどは供給過多にならない可能性が高いわけです.
今回は理学療法士飽和時代を生き抜くためにどういった働き方が必要かを考えてみたいと思います.
スペシャリストを目指す
医療分野で働く理学療法士は昔に比較すると高度で専門的な知識と経験が求められるようになってきております.
循環器・運動器・呼吸器など,それぞれ特定の領域における専門性を高めていくことが重要です.
例えば外科医の中にも食道癌の手術を専門とする医師もいれば,肺癌の手術を専門とする医師もおり,医療全体で見てもかなり文化し,特定の領域における専門性が高くなっております.
理学療法分野でも心臓リハビリテーション指導士を取得し,循環器疾患の理学療法を専門とする理学療法士もいれば,徒手療法を極め運動器疾患の理学療法を専門とする理学療法士もいるわけです.
また病院に限らず,理学療法士が求められる分野は多くあります.
たとえば障害を持つ子どもの療育,地域住民の健康を保つための地域保健,健康維持や介護予防に取り組む行政機関などがあり,それぞれの分野に特化した知識を身につけるのもよいでしょう.
ニッチな領域での専門性が認められれば飽和時代を乗り越えられるかもしれません.
どの仕事でもそうですが人がやっていない,もしくはやりたがらない領域で専門性を高める方策は理学療法士が飽和時代を生き抜くための1つの方法かもしれません.
自分が得意とするものを見極めながら,スペシャリストを目指してみてはいかがでしょうか.
専門・認定理学療法士を目指す
日本理学療法士協会が主催する重点的人材育成事業のひとつである「専門・認定理学療法士制度」はこのブログの中でも何度か取り上げてきました.
理学療法士協会会員の新人教育プログラムを修了した理学療法士が7つの専門分野(基礎理学療法・神経理学療法・運動器理学療法・内部障害理学療法・生活環境支援理学療法・物理療法・教育・管理理学療法)のいずれかひとつ以上に登録し,その分野における「専門・認定理学療法士」を取得できるというものです.
協会の主催する認定講習会や研修会に参加し,基準のポイントをクリアした人が認定される仕組みです.
今後はさらなる上級資格として発展する可能性もあり,将来性の高い制度として注目されています.
地域包括ケアで活躍する理学療法士を目指す
介護保険制度が導入された2000年前後から,介護領域に所属する理学療法士が増えています.
今後は「3人に1人」が65歳以上,「5人に1人」が75歳以上になるといわれる超高齢社会において,厚生労働省が2025年を目途に推進しているのが「地域包括ケアシステム」の構築です.
地域が主体となって進めるもので,住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供するというものです.
介護支援がより地域に密着しその土地の患者層を理解した理学療法士が今後ますますが求められるでしょう.
日本理学療法士協会の人材育成事業のひとつとして「地域ケア包括システムに関する推進リーダー制度」も設けられており,介護分野において理学療法を生かす資格として期待されています.
加えて介護支援専門員や福祉用具プランナーを取得するなどプラスアルファの努力をすることで,さらに地域が求める理学療法士として活躍でき,飽和時代を生き抜くことにつながるでしょう.
世界に視野を広げる
世界理学療法連盟に所属する世界各国の理学療法士数を見ると,理学療法士が1000人を下回る国が42ヵ国もあります.
日本理学療法士協会の統計「対人口割合の国際比較」によると,たとえば人口10万人に対して,日本では理学療法士が79.1人、アフリカでは2.3人という結果であり,まだまだ理学療法士が少ない国も多いわけです.
日本にとどまらず,世界に活躍の場があることも視野に入れておきましょう.
国によって勤務できる資格の条件が異なりますが,最も大きな障壁となるのが言語の問題です.
世界で活躍し飽和時代を生き抜くためには,語学習得をはじめとする知識の習得を進めてみるのも一つだと思います.
今回は理学療法士飽和時代を生き抜くためにどういった働き方が必要かを考えてみました.
重要なのは,理学療法士としての専門的な知識や技術を磨き「オンリーワン」を目指すことです.
日々の努力で「選ばれる理学療法士」を目指し,理学療法士として飽和時代を生き抜きましょう.
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