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もし理学療法士・作業療法士国家試験に落ちてしまったら
2019年3月25日に第54回理学療法士・作業療法士国家試験の結果が発表されます.
多くの受験者が既に自己採点で結果が出ていると思いますので,入職に向けて引っ越しや事務手続き等の準備を進められていることと思います.
今回は残念ながら不合格であった理学療法士・作業療法士の皆様に向けて,理学療法士・作業療法士国家試験に落ちてしまった場合の対応について書いてみたいと思います.
国家試験は再受験が可能
まずは基本的なことをおさえておきたいと思います.
一度不合格になった方も大丈夫です.
理学療法士・作業療法士国家試験の受験資格は1度だけのものではありません.
国家試験に落ちてしまった場合は,翌年以降も受験することができます。
ただ国家試験の開催は1年に1度ですので,落ちてしまった場合には,次のチャンスは1年後ということになります.
国家試験に落ちてしまった直後の対応について
国家試験の結果(自己採点含む)については,その合否に関わらず,すぐに養成校および就職先(決まっている場合)に連絡する必要があります.
落ち込む気持ちも分かりますが,まずは養成校・就職先に早急に連絡しましょう.
時々,国家試験の結果を就職予定先に連絡して来ない学生がいますが,受験勉強から解放された喜びは理解できますが,合格・不合格に関わらずまずは入職先に連絡をいれましょう.
不合格だった場合は連絡を入れにくいと思いますが,落ちてしまった時の方が,就職先としては行わなければならない準備が多くなりますので,早めに連絡することが重要です.
長期的な対応(就職予定先にPT・OTとしてではなく就職)
昔は多かったのがこのパターンです.
理学療法士・作業療法士そのものが少なかったので施設としても1年はコストの算定はできませんが人員を確保するために理学療法士・作業療法士の助手として雇用するといったパターンです.
最近は就職先の状況も厳しくなってきているので少なくなってきましたが,以前は国家試験に落ちても見習いのような感じで,かなりの確率で入職することができました.
以前は国家試験の合格発表が入職後の4月中旬~下旬でしたので,そういった合格発表の時期も国家試験に不合格でも継続雇用がなされる一因であったと考えられます.
今は入職前に国家試験の結果が分かりますので,入職を取り消されることの方が多くなりました.
しかしながら入職できたとしても当然いろいろなストレスはあると思います.
とりあえず就職できたものの同期入社の人はどんどん本来の仕事ができるようになっていくのに対し,自分だけは補助員のような仕事しかさせてもらえません.
免許が無いのですから当然ですが…
給与も資格がある人とない人とでは当然異なります.
配属がリハビリテーション科などではなく,病棟の介護職という場合もあります.
仮に1年後に合格できたとしても,その職場で働く限り国家試験に落ちた人といったレッテルを貼られます.
しかしながら理学療法士も飽和状態にありますので,資格が無い状況で継続雇用してもらえるということを感謝すべきです.
私の知っている理学療法士・作業療法士の中にも,逆境を乗り越えて現在立派な理学療法士・作業療法士とになっている方は大勢いますので,長い視点で考えて頑張っていきましょう.
就職予定先はキャンセルされそれ以外の職場で働きながら勉強する
最近多いのがこのパターンです.
国家試験の時期,合格発表の時期が以前よりも早くなり,就職前に合否がわかるようになったため,最近では国家試験に不合格だった場合には就職が取り消されることが多くなってきました.
そのような場合には,介護保険施設(介護老人保健施設、特別養護老人ホームなど)などにおいて,デイサービスのレクリエーションスタッフなどの形で介護や医療の現場で働く人と,コンビニなどのまったく関連のない職場で働きながら勉強する人がいます.
こういった場合には12月頃には職場をやめて国家試験勉強に専念することをお勧めします.
勉強時間の確保だけでなく,冬季はインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるため,職場で多くの人と接していると感染リスクが高まるからです.
就職予定先に就職できた人にも共通することですが,どちらも多くはないものの,何となく収入があって生活できてしまうため,その生活や状態に満足してしまって,挑戦する意欲を失いがちになるので注意が必要です.
国家試験勉強は辛くて大変なことなので,「辛い思いをするくらいなら現状でもいいや」と無意識に感じてしまう人が多いのです.
また働きながら勉強していく場合には,精神的身体的にきつすぎる職場はやめた方がいいです.
あくまで受験を第一に考えた方が良いです.
自宅にこもって勉強
経済的に裕福な場合に選択する場合もありますが,何の制約もないので生活リズムが乱れやすかったり,刺激がまったくないので脳が活性されなかったりあまりお勧めしません.
勉強といっても継続して行える時間には限界もありますので,生活のリズムを作って効率的に勉強することが重要です.
理学療法士・作業療法士になるのを諦める
これは一番選んで欲しくない選択肢です.
当然ながら3年ないし4年間の学費や生活費が無駄になってしまいますし,ご両親も悲しまれることでしょう.
ここまでやってきたのであればぜひ合格するまで受験してほしいです.
たかが1年
再受験のための1年間が無駄に思えるかもしれませんが,その後の人生の長さを考えれば,1年というのは決して長い期間ではありません.
理学療法士・作業療法士に限らず,世の中には国家試験を再受験し合格して働いている人はたくさんいます.
1度の失敗でめげることなく再度チャレンジする姿勢が重要です.
再受験者の特徴
養成校が開示している合格率を見ても再受験者というのは初回の受験者よりも合格率が低いのも事実です.
国家試験勉強というのは長くて辛いものですが,同じ時期に同じく頑張っている仲間がいて,周りも自分も気持ちが盛り上がって一緒に勉強していくから頑張れるところがあります.
また学生という身分で,勉強に集中できる(しなければならない)という側面もあります.
再受験者は一般的にそのような学生のメリットがないので,孤独に頑張らなくてはなりません.
孤独に勉強するのは,現役の時よりも何倍も大変です.
再受験における勉強方法
再受験といっても,基本的な国家試験の勉強方法は同じです.
ただ初回受験の際のように同級生と一緒にグループで学習するといったような学習は難しくなります.
まずは冷静に不合格になった理由を考えてみましょう.
何らかの理由があったから不合格になってしまったのです.
勉強方法,勉強の量,体調,生活リズム・習慣などなど何が問題であったのかをしっかりと考えてみましょう.
初回受験の際と同じように勉強していてはまた不合格になってしまう可能性が高いです.
養成校に行って勉強
最も良い勉強方法は,母校に行って勉強するという方法です.
恥ずかしさがあるかもしれませんが,養成校によっては,不合格だった卒業生のために勉強の場や方法を提供しているところもあります.
学校の先生と時々話すだけでも学習意欲が向上します.
独りで継続的に学習することほど難しいことはないわけです.
このような外部の強制力を使うのはとても有効です.
不合格だった仲間と一緒に勉強
同級生などで落ちてしまった友人がいれば一緒に勉強していくのもいいかもしれません.
これも一種の外部の強制力です.
ただし不合格だった人には、「怠けやすい」等,何らかの理由がある場合もあるので仲間の質には注意が必要です.
今回は残念ながら不合格であった理学療法士・作業療法士の皆様に向けて,理学療法士・作業療法士国家試験に落ちてしまった場合の対応について書いてみました.
これからの1年をどう過ごすかはあなた次第です.
不合格であったということは合格して就職した同級生よりも自由な時間はたくさんあるはずです.
不合格であったことを逆手にとって自分を高める努力をしましょう.
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