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第54回理学療法士・作業療法士国家試験の不適切問題
例年,理学療法士・作業療法士国家試験問題の中に数問出てくるのが不適切問題です.
解釈によっては解答が指定された解答数に絞れない問題なんかが数問あり,合格ラインぎりぎりの受験者にとってはこの不適切問題が合否を大きく左右します.
そのため実際には厚生労働省の解答が出るまで気は抜けませんし,不適切問題等で合格基準が変わる可能性もあります.
今回はこの不適切問題について考えてみたいと思います.
不適切問題って何?
例えば解答を1つ選ぶべき問題なのに答えが2つ選べてしまうといったのが不適切問題です.
こういった場合にどういった対応がなされるかですが,「aのみが正解であったがbを選んだものも正解とする」「採点対象から除外する」というような対応がなされます.
また,問題として成立はしてもその内容が難しすぎる場合,「問題として適切であるが,必修問題として妥当でない」として,正解した受験生については採点対象に含め,不正解の受験生についてのみ採点対象から除外されるなど,様々な対応がなされます.
こうした問題は例年数問ほど生じますが,もちろん試験本番中に受験生が知ることはありません.
ちなみに第52回作業療法士国家試験に対して日本作業療法士協会が養成校に調査を行った結果によると,186校中121校の養成校が国家試験問題の妥当性が不適切であったと解答しており,第52回作業療法士国家試験の際には,日本作業療法士協会が厚生労働省に意見書を提出したのは有名な話です.
不適切問題の恩恵は?
不適切問題の中でも本来1つのはずの解答が複数考えられる場合には,結果的に合格者は増えるはずです.
例えば出題者は「1」を選んだものを正解とするとしていたとします.
しかし実際には「2」も「3」も正解と判断できるので,1・2・3のいずれかを選んだ人をすべて正解としましょうとなります.
こういった問題が増えれば,解答速報で点数の届かなかった方の点数が積み増しされる可能性が出てきて,結果的に合格に達することになる場合があります.
一方で除外問題が増える場合には,非常に困ったことが起こります.
除外問題の対象となるのは解答を抽出できないような問題です.
このような問題はなかったものとして扱われますので,理学療法士・作業療法士国家試験の合計点の母数が減らされるわけです.
例えば280点満点が279点満点になるということになります.
仮に除外問題に指定された問題を解答者が出題者の用意した答えを選んでなかった場合,間違いが取り消されることになります.しかし同時に母数も減ってしまいますので恩恵は小さいと言えます.
除外問題が厄介な点は,解答者が出題者の用意した答えを選んでいた場合です.
合計点の母数が減る代わりに正解も取り消しになってしまいます.
何が言いたいのかといいますと不適切問題がたくさん抽出され,除外問題の恩恵を受けることになれば,ぎりぎり不合格点だった人も合格点にかろうじて乗る場合があるということです.
不適切問題への対応
不適切問題や除外問題の異議申し立てを厚生労働省に行っているのは,日本理学療法士協会や日本作業療法士協会を中心としたいくつかの団体です.
これらの団体は各養成校からの意見を集約し厚生労働省へ問題を提示します.
第54回理学療法士・作業療法士国家試験における不適切問題
第54回理学療法士・作業療法士国家試験でも不適切問題と思われる問題がいくつか指摘されております.
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