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理学療法士が抄読すべき雑誌
理学療法士・作業療法士が文献的な情報を得たい時には,書籍や雑誌を参考にするということが多いと思います.
看護系の雑誌なんかに比較すると理学療法士の専門分野であるリハビリテーション関連の雑誌って意外に少なかったりします.
今回は理学療法士・作業療法士が抄読すべき雑誌について,それぞれの雑誌の特徴を踏まえながらまとめてみたいと思います.
そもそも書籍と雑誌って何が違うの?
文献的な情報を得る場合には,今回のテーマとして取り上げている雑誌以外にも書籍から情報を得るといった方法が考えられます.
一般的には書籍と雑誌を比較すると,雑誌の方が新しい情報を得られることが多いです.
私自身もいくつかの書籍の執筆に携わらせていただいた経験がありますが,書籍の刊行には長い場合には1~2年もの期間が必要となりますので,書籍を刊行する間にも情報はどんどん変化していくわけです.
一方で雑誌の場合には,総説の場合でも執筆から掲載までが6ヶ月~1年,原著論文の場合でも雑誌によって差はありますが,刊行されるまでに1年前後ということが多いと思います.
総じて言えば,雑誌の方が新しい情報が多く,逆に言えば書籍の方が堅実な情報が多いと考えられます.
雑誌の種類は?
雑誌は大きく分類すると学会誌と商業誌に分類できます.
学会誌というのは学会会員であれば無料で入手できる雑誌になります.
一方で商業誌というのは2,000円前後を支払って購入するタイプの雑誌となります.
商業誌というのは売ることが目的ですので,記事の内容も読者の興味を引くものを中心に構成がなされることになります.
学会誌と商業誌の大きな相違として,学会誌は主に原著論文から構成されているのに対し,商業誌は主に総説論文から構成されております.
したがってある領域の知識を増やしたい時には商業誌を,研究のために先行研究の論文を抄読したい場合には原著論文の多い学会誌を抄読するということが多いと思います.
ここからは理学療法士・作業療法士にかかわりの深い雑誌をご紹介させていただきます.
理学療法学
言わずと知れた日本理学療法士協会が発刊する雑誌です.
この雑誌は理学療法関連の代表的な学会誌ですので,強会員であれば誰もが手にすることのできる雑誌です.
協会員以外でもJ-stageで閲覧が可能です.
歴史も古く発刊から45年を迎えております.
特徴といたしましては,多くの論文が原著論文であるといった点です.
以前は全てが原著論文でありましたが,最近は総説論文もわずかですが含まれております.
理学療法関連の雑誌の中では,以前は査読が最も厳しい雑誌とされておりましたが,ここ最近は以前よりも原著論文の採択率も上がってきているようです.
理学療法ジャーナル
医学書院から発刊されているこれまた歴史ある雑誌です.
理学療法ジャーナルは商業誌ですので,多くが総説記事から構成されているといった特徴があります.
原著論文は年間で10本前後でしょうか.
理学療法関連の商業誌としては最も売れている雑誌であり,多くの施設で定期購読されている雑誌です.
企画も多岐にわたり,年間を通じて様々な知識を得ることができます.
また「入門講座」「講座」などの連載企画も多く,初学者はもちろんですがベテランのブラッシュアップにも有用です.
理学療法
メディカルプレスから発刊されている商業誌です.
理学療法ジャーナルとメディカルプレスの理学療法の2つの雑誌が理学療法分野における商業誌売り上げの9割以上のシェアを占めます.
理学療法ジャーナルに比較すると学術的な要素が減じられ,より臨床的な要素が強いといった印象があります.
9割5分は総説から構成されており,原著論文は年に数本といったところでしょうか?
動作分析などの文章だけでは伝わりにくい内容に関してはDVD動画を使用するなどの工夫も凝らしてあり,巻号によってはDVD付のものもあります.
理学療法科学
理学療法科学会が発刊する学術誌です.
会員でなくとも無料でJ-stageから閲覧が可能です.
この雑誌も学会誌ですので,9割5分以上が原著論文から構成されております.
この雑誌は論文掲載に関して掲載料をとる雑誌ですので,実は論文の質もピンキリだったりします.
簡単に言えばお金を払えばある程度の質が担保されていれば,無条件に掲載されるといった雑誌です.
ただ中には素晴らしい内容のものも含まれておりますので,論文の質を吟味する眼が必要だと思います.
リハビリテーション医学
日本リハビリテーション医学会が発刊する雑誌です.
基本的にはリハビリテーション医のための雑誌ですが,理学療法士が読んでも参考になる内容も多いです.
学会誌ではありますが総説論文も多いといった特徴があります.
今回は理学療法関連の雑誌についてご紹介させていただきました.
この他にも専門分野に特化した雑誌が多くありますので,実際に文献的な情報を集める場合には,専門分野に応じた雑誌を選択する必要があります.
また都道府県士会が発刊する雑誌も参考になります.
都道府県士会が発刊する雑誌って何となく質が気になりますが,時には有益な情報が得られることもありますので,馬鹿にはできません.
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