SOAP形式でのカルテ記載-プログラムをPに記載してないですか?-

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目次

SOAPによるリハビリ記録の書き方

理学療法士・作業療法士の仕事の1つとして診療録の記載というのがあります.

私自身は診療録を記載する意義というのは大きく2つに分類できると思います.1つは法律上義務付けられている理学療法・作業療法の実施記録を残すといった意義です.

これは法律上も求められていることですので,欠かすことができません.

もう1つは理学療法士・作業療法士がプログラムを立案するために,自身の考えを整理するといった目的が考えられると思います.

今回はSOAPを使った診療録の作成について考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 

リハビリにおけるSOAP方式によるカルテ記録

理学療法士・作業療法士に限らず医療職の中で診療録の記載方式として最も多く用いられているのが,SOAP方式による記録方法です.

医師や看護師もこのSOAP形式で記録を行っていることが多く,最近は電子カルテ上でもこのSOAP形式に沿った記録を行う書式で統一されていることが多いです.

もともとSOAP方式というのは,医師のために考案された問題解決システムの一環として考案された記録法です.

理学療法士・作業療法士も歴史的にはICIDHに代表されるような問題志向型に診療をしている職種ですので,このSOAP形式での記録はなじみやすい記録方法だと考えられます.

SOAP方式における「S」・「O」・「A」・「P」にはそれぞれ意味があるのですが,それぞれの意味は以下の通りです.

 

S:Subjective data

クライアントの主観的情報を指します.

クライアントの主訴や症状の変化など,クライアントの主観的内容をできるだけクライアントが表現するままに記載するのが一般的です.

 

O:Objective Data

クライアントの客観的な情報を指します.

医師や理学療法士・作業療法士が行った各種機能評価などの客観的データを記載します.

 

A:Assessment

評価を指します.

主観的情報または客観的情報から得られる個々の問題に対する経過の総括的評価を記載します.

 

P:Plan

計画を指します.

先の評価結果に基づいて問題点を解決するための方針を決定します.例えば,今までの理学療法・作業療法プログラムを継続するのか,新たなプログラムを追加するのかなどの治療方針を記載します.

例としてはこんな感じです.

S:右側の靴下が履きにくい

O:右股関節屈曲可動域100°,右股関節屈曲筋力 P

A:腸腰筋の筋出力低下によって靴下の着脱動作が困難になっていると考えられる

P:深屈曲位での股関節屈曲筋力トレーニングを実施していく

 

 

 

 

 

 

 

Aが最も重要

SOAP形式で記録を行う際には,「A」の部分が最も重要です.

このAがない記録であればもはやSOAPを用いる意味はあまりないと考えた方が良いでしょう.

われわれというのはS・Oで得られた情報から頭の中でAssessmentを行ってプログラムを決定しているわけですが,このAを言語化する,文面化することに非常に大きな意義があります.

これで改めて考えが整理されるわけです.

したがってAの無いSOP形式(私はこれをソップと呼んでますが)の記録であれば,この形式を用いる意味は全くないと考えてよいでしょう.

実際にSOAPを使って記録を使用するとこのAの部分に時間がかかるのも事実です.

ただこのAをきちんと言語化することに意味があるのですから,SOAP形式で記録を行うのであればAは絶対に省略してはなりません

 

 

プログラムはPに記載すればいい?

これもよくある誤りですが,実施したプログラムをPに記載するのは大きな誤りです.

そもそも医師がSOAP形式で記載を行う場合には,まだPが行われていないことが多いので,例えば鎮痛剤を処方とかMRIを使って詳細に検査をといったPlanが記載されるわけですが,われわれの場合には既に記録を行う際にはプログラムが実施されていることがほとんどです.

SOAPにおけるPというのは前述したように計画を意味するものですので,関節可動域運動・歩行練習といったプログラムの内容を記載するのではなく,例えば新たにこういった可動域運動を追加するとか,明日から1本杖歩行練習に移行していくといったようなプログラムの今後の方針を記載することが重要となります.

ではプログラムはどこに記述するのかという話になりますが,これはいろいろと意見がありますが,一般的にはOに記載することが多いと思います.

 

 

 

 

 

 

 

プログラムを行った後の効果はどこに記載すればいい?

SOAP形式での記録の場合には,アセスメントをして新たにプログラムを追加して実施した場合に,その効果や変化をどこに記載すればよいのかといった点もしばしば問題になります.

最近ではSOAPにE(Effect)を追記する形式であるSOAPE形式で記録を行っている施設も増えてきているようですが,これであれば立案したプログラムの効果を記載する際にも問題が起こらないと思います.

 

 

今回はSOAPを使った記録について考えてみました.

記録に時間はかかってしまいますが,自身の考えをまとめるためにはSOAP形式での記録をお勧めします.

ただしどうしても時間がかかってしまうといった難点はありますので,結果としてSOP形式での記録になるのであれば,形式だけでSOAPを使用して記録することにはまったく意味がありません.

皆さんも改めて日々の記録の方法について考えてみてはいかがでしょうか?

コメント

  1. SM より:

    興味深い記事をありがとうございます。
    Planについてですが、「リハビリについての未来の予定は書かない(具体的なプログラムについての指示箋がある訳ではなく、実際にその訓練が実施されるか否かの根拠に乏しいため)」という原則があるはずですが、それについてはいかがお考えでしょうか?

    当方では本日のOに基づいたAを行い、本日のプランを立案することから、Pには実際に実施した内容を記載するようにしております。

    • ptotskillupnote より:

      ご質問有難うございます。
      未来の予定は書かないということですが、大まかな方針(例えば明日から全荷重)などは記載することが多いと思います。
      そのためPには具体的なプログラムではなく今後の大まかな方針(ここを中心にアプローチするなどといった内容が多いと思います)を記載するのは問題ないと思います。
      Pに実施した内容を記載するのは基本的には誤りだと思います。

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