人工股関節全置換術後における違和感に関連する要因は?

人工股関節全置換術

人工股関節全置換術後における違和感に関連する要因は?

人工股関節全置換術例を対象とした理学療法は,歩行や日常生活動作能力の獲得,股関節機能の向上を目的に行われるわけですが,人工股関節全置換術例の最終的な目標は関節置換による影響を全く感じず,人工股関節全置換術による違和感が全くないといった状況に至ることだと思います.

私自身も術後数年が経過した方とお話する機会は多いですが,寒くなると少し違和感があるとかそういった違和感というのが完全に消失するというのは非常に難しいことなのだと感じることが多いです.

今回は人工股関節全置換術後における違和感に関連する要因を明らかにした研究報告をご紹介させていただきます.

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今回ご紹介する論文

J Arthroplasty. 2019 Dec 26. pii: S0883-5403(19)31188-X. doi: 10.1016/j.arth.2019.12.039. [Epub ahead of print]

Influencing Factors for Joint Perception After Total Hip Arthroplasty: Asian Cohort Study.

Shiomoto K1, Hamai S1, Motomura G1, Ikemura S1, Fujii M1, Nakashima Y1.

今回ご紹介する論文は2019年に掲載された比較的新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の背景

Perceiving replaced joints as natural is one of the best scenario after total hip arthroplasty (THA). We investigated the distribution of and influencing factors for patient’s joint perception after THA in Asian cohort, which is not well known.

人工股関節全置換術後においては,置換された関節に関して全く何も感じない,自然な状態に至ることが理想です.

実際には人工股関節全置換術後にも長期間が経過しても何かしらの違和感を訴える症例が存在します.

しかしながら人工股関節全置換術後にどのくらいの割合で違和感が残るのか,また違和感に関連する要因を明らかにした報告は多くありません.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

We mailed a questionnaire to Asian patients who had undergone THA in our institution between 2012 and 2016, and this study included 318 Asian patients. The questionnaire assessed patient’s joint perception, Oxford Hip Score (OHS), Short Form-12 Health Survey (SF-12) physical, mental, and role component summaries, and satisfaction score. Leg length discrepancy and global femoral offset before and after THA were measured using radiographs. The patients were divided into 2 groups with patient’s joint perception: natural and artificial perception groups. OHS, SF-12, satisfaction, leg length discrepancy, and global femoral offset were compared between natural and artificial perception groups, and which factors significantly influenced joint perception were determined.

対象は2012年~2016年に1施設で人工股関節全置換術を行った症例のうち質問紙の回答が得られたアジア地域の患者318例となっております.

質問紙によって股関節の違和感,OHS,SF-12(身体機能・精神機能・役割機能・満足度)を,X線画像から術前後の脚長差,術前後のオフセット長を調査しております.

318例を違和感が残存した群と,違和感のない群に分類しております.

OHS,SF-12,満足度,脚長差,オフセット長を違和感が残存した群と違和感が消失した群に分類して比較しております.

その後に違和感に最も関連する要因を抽出しております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

Of the 318 patients, 165 patients (51.8%) perceived their replaced joint as a natural joint. OHS, SF-12 physical and role component summaries, and satisfaction score in natural perception group were significantly higher than those in artificial perception group, without significant difference in SF-12 mental component summary. Multivariate analysis showed that less of usual pain, easier to get in or out of a car, and osteoarthritis in the contralateral hip were positively associated with natural joint perception after THA.

318例のうち違和感が消失した症例は51.8%でありました.

OHS,SF-12における身体機能・役割のサマリースコア,満足度スコアが違和感が消失した群で有意に高値でありました.

多変量解析の結果,違和感に有意に関連する要因として,安静時の疼痛,車への乗降のしやすさ,対側変形性股関節症の有無が抽出されました.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

This study indicated to surgeons that pain relief and improvement in getting in or out of a car after THA could lead to even better patient’s joint perception.

この研究結果から人工股関節全置換術後の違和感を焼失させるためには,疼痛を軽減させるとともに自動車への乗降動作を円滑に行えるようにアプローチすることが重要であると考えられます.

 

今回は人工股関節全置換術後における違和感に関連する要因を明らかにした研究報告をご紹介させていただきました.

人工股関節全置換術後には手術によって股関節由来の疼痛は消失するわけですが,脚延長に伴う筋のタイトネスに関連した疼痛が残存しやすいといった特徴があります.

長期的に見ても理学療法の対象となる軟部組織由来の疼痛を軽減させることが,違和感の消失につながると考えられます.

また日常的に使用する自動車への乗降時というのは大きな股関節の可動域を要求される動作の1つです.

自動車への乗降時に股関節への違和感を感じる症例が多いといった結果は,われわれ理学療法士・作業療法士のアプローチにも生かせる結果ではないでしょうか?

 

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