理学療法士・作業療法士にも必須の「きく力」

働き方

 理学療法士・作業療法士にも必須の「きく力」 

理学療法・作業療法を行う上では,クライアントの話に耳を傾け,クライアントの情報を収集するために聞く力というのは必須となります.

この聞く力そのものが評価における情報の多寡や情報の質にも影響を及ぼしますので,理学療法士・作業療法士にとってもこの聞く力は必要不可欠と言えます.

今回は理学療法士・作業療法士に必要な「きく力」について考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 

 「きく」とは何か? 

「きく」には,「聞く(hear)」と「聴く(listen)」がありますが,実はこの違いを明確にしておくことが重要です.

「聞く」は音や声を耳で感じ取ることと定義されます.

「聴く」は注意しながら耳を傾けることと定義されます.

両者の大きな違いは「意識の違い」です.

意識していなくても耳に入ってくるものが「聞く」,意識して自分から注意しながらきくことが「聴く」ということになります.

人の話をきく際は,相手の話を注意深く「聴く」ことが大切であり,「聴く」ことがきちんとできるようになるには,「聴きかた」について学び,練習を重ねる必要があります.

また「きく」にはもう1つ,尋ねるという意味での「訊く」があります.

これは相手に質問をするという意味ですが,質問することは,相手から情報を得たり,その人に何かを考えさせて気づかせたり.相手に興味・関心を示したりすることです.

人の話を聴いて情報を得るためには,聴くことに加えて訊く(質問する)ことも大切です.

 

 

 

 

 

 

 傾聴って? 

きくの中でも重要なのは,傾聴(active listening)です.

傾聴はactive listeningと略語があてられるように,自発的に話し手に興味・関心をもち,話し手が伝えたいこと,言いたいことを積極的に「聴く(listen)」ことをいいます.

聴き手が話し手の話に耳を傾けて聴くことによって,話し手が安心して自分の言いたいことを言い,納得のいく結果を手に入れることを支援するもので,米国の心理学者,カール・ロジャース(C.RRogers)が提唱したものです.

傾聴のためには,受容的・共感的態度が必要とされています.

 

 

 

 

 

 

 受容とは? 

受容とは,相手をありのままに受け止めることです.

過去に何があろうと今ここにいる相手を無条件で肯定的に尊重し,聴き手の価値観や判断を入れずに話し手を理解することを意味します.

相手の話を相づちを打ちながら聴き.許容的な雰囲気を作り,批判も判断もせずに受け止めるということです.

 

 

 

 

 

 

 共感とは? 

共感とは,相手の立場に入り込んで相手が体験している感情をともに感じたり,理解したりすることです.相手が悲しい体験をしているのを見て自分も悲しいと感じて涙が出てきたり,喜んでいるのを見て自分も喜ぶということです.

医療面接やカウンセリングで「共感的に話を聴く」ことが重要であるとされておりますが,この場合は相手との間に適当な心理的距離が必要であり,相手の感情に巻き込まれることなく,客観的に相手の感情を受け止めることが大切です。

 

 

 

 

 

 

 聴くのは言葉だけではない 

クライアントの話をきく際には,言語的な情報のみならず準言語と呼ばれる「周辺言語(paralanguage)」も合わせてききとることが重要です.

声の大小.高低話のスピード,抑揚など,音声上の音質・特徴のことです.

私たちは元気のないときには声が小さくなったり,緊張すると声が上ずつたり,興奮すると早口になったりします.

話をしている相手が何を話しているかということだけではなく,どのように話をしているのかという,話をしている状態にも気を配ると,言葉として表出された情報以外にも,さまざまな情報を得ることができます.

 

 

 

 

 

 

 聴く時に重要な相づち 

クライアントの話を聴く際には相づちの打ち方にも注意が必要です.

相づちというのは,相手の話に対する聴き手側の反応です.

相づちの打ちかたにも種類があり,どのような反応をするのかで使う相づちも変わります.

相づちは相手の話に反応して打つものなので,タイミングを逃してしまうと話の流れを止めてしまったり,逆の意味に受け取られてしまったりということが起こります.

相づちのタイミングがずれるときは,何かを考えていて言葉にはまだできない状態であったり,感情が沸き上がってきてすぐさま反応するのは困難な状況であったりします.

そこには何かしらの情報が表現されるため,会話の際の間を敏感に感じ取って,必要に応じてその意味情報について相手に確認するようことが重要です.

 

 

 

 

 

 

 使ってはいけない相づち 

目上の方に使うと失礼になる相づちとして,「ええ」といった相づちが挙げられます.

相づちは無意識に使っていることも多いため,知らないうちに使ってしまうことがあります.

目上の方には「はい」と相づちを打つように注意しましょう.

 

 

 

 

 

 

 相づちは文化である 

日本人が中国人やアメリカ人(とくに北米)と会話をしていると,彼らがこちらをじっと見つめたまま,あまり相づちを打たないことに気づきます.

言葉の壁の問題もあり,自分が言っていることが本当に相手に伝わっているのか不安になってくるのですが,とにかく,最後まで話すよう促されます.

そして話し終わると丁寧な返答が返ってくるので,「ああ,ちゃんと伝わったんだ.聴いてくれていたんだ」と思うのです.

日本語における会話の特徴の1つは,相づちが多いことです.

これに対して中国や北米では人の話は静かに聴くものであると考えられているため,相づちを頻繁に打つことは失礼なこととされているのです.

しかしながら,日本人同士であっても,人によって相づちをよく打つ人と打たない人がいるのも事実です.

相づち1つをとっても個人個人の聴きかたのスタイルには違いがあり,相手のスタイルが自分のスタイルと合わなければ,誤解が生まれることも考えられます.

対人コミュニケーションにおいて,相手の聴きかたのスタイルを相手の文化としてとらえ,理解することも相手理解のためには必要なことといえるでしょう.

 

 

 

 

 

 

 頷きも重要 

相づちを打つ際には,頷くサインを表出することも重要です.

頷きは相手の話を聴いているといったサインであり,話の内容を受け止めているという意思表示です.

もし自分が相手に何かを話しているのに相手がまったく頷かないままだと,どのように感じるでしょうか?

通常は,「この人,私の話をちゃんと聞いてくれているのかな?」と不安な気持ちになってくるものです.

相手が見えるコミュニケーションでは,頷くという行為そのものが話し手に安心感を与えるとともに,肯定的に受けとめていることを伝える役割をしています.

頷き上手は聴き上手でもあります.

タイミングのよい額きは話し手の話を促進する効果があるので,人の話を聴く際は積械的に活用しましょう.

 

今回は理学療法士・作業療法士に必要な「きく力」について考えてみました.

皆様も聴き上手になって,クライアントの信頼を勝ち取りましょう.

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