第7回日本運動器理学療法学会開催までに読んでおきたい研究紹介 変形性膝関節症関連2

投稿者: | 2019年10月2日

 第7回日本運動器理学療法学会開催までに読んでおきたい研究紹介 

 変形性膝関節症関連2  

 

一昨年まで行われた日本理学療法士学会が,昨年度から完全に分科会学会単独での開催となりました.

令和元年10月4-6日に岡山県で第7回日本運動器理学療法士学会が開催されます.

今回はこの第7回日本運動器理学療法士学会の一般演題の中から変形性膝関節症関連の面白そうな研究をいくつかご紹介いたします.

woman in white and black floral dress sitting at bedside

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 変形性膝関節症患者におけるOKC・CKC膝関節運動時痛と

 歩行能力との関係 

 研究の目的 

変形性膝関節症(以下,膝OA)に対する運動療法を実施する上で,歩行や日常生活における疼痛コントロールは重要です.

このため膝関節の運動時に生じる疼痛発生パターンを評価することは,臨床上有用です.

この研究では,膝OA患者における膝関節運動時痛の疼痛発生パターンの有無が,膝伸展機能(関節可動域,伸展筋力),歩行能力,VAS,WOMACに与える影響を明らかにすることを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の方法 

対象は,膝OAと診断された女性患者19名(年齢:69.1±6.9歳,身長:154.5±5.3cm,体重:58.6±6.9kg,BMI:24.6±2.6)となっております.

評価項目は,膝関節運動時痛の疼痛発生パターンについて①他動的膝伸展運動,②自動的膝伸展運動,③足踏み運動,④片脚スクワット運動の4動作における疼痛の有無を指標としております.

さらに膝伸展機能の評価として,膝関節伸展可動域(以下,伸展ROM)と膝関節伸展筋力(以下,伸展筋力)を計測した.歩行能力評価として,5m歩行(快適歩行と最大歩行)とTimed Up&Go test(以下,TUG),日常生活動作における疼痛の評価として,VASとWOMACを自記式アンケートにて調査しております.

分析方法および統計学的分析として,①~④の4動作における運動時痛の有無により2群に分け,伸展ROM,伸展筋力,5m歩行(快適,最大),TUG,VAS,WOMAC(痛み,こわばり,日常生活の状態,総合点)をT検定にて比較しております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結果 

他動的膝伸展運動時痛の有り群と無し群を比較すると,VAS,WOMACにおける痛み,日常生活の状態,総合点の各々の得点と伸展筋力に有意差が認められております.

自動的伸展運動時痛においても同様の結果となっております.

一方,足踏み運動時痛有り群と無しなし群では,VAS,WOMACの痛み,こわばり,総合点の3項目と伸展ROM,伸展筋力,5m歩行(最大)に有意差が認められております.

さらに片脚スクワット運動時痛では,VAS,WOMACの痛み,日常生活の状態,総合点の3項目に有意差が認められたものの,伸展ROM,伸展筋力,5m歩行(最大)では差を認めておりません.

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結論 

この研究では,4動作における膝関節運動時の疼痛発生パターンの有無が膝関節機能や歩行能力,VAS,WOMACに与える影響を検討しております.

膝関節伸展時痛は,自動および他動のいずれにおいてもVAS,WOMAC,伸展筋力に影響を及ぼしており,膝伸展可動域における疼痛の影響を受けている可能性が示唆されます.

一方,足踏み運動時痛や片脚スクワット運動時痛の比較では,足踏み運動時痛が歩行能力に影響しており,歩行能力を予測できる指標となり得る可能性が示唆されます.

 

 

 

 

 

 

 

 感想 

疼痛を動作別に評価したというのは非常に面白いですね.

当然ながら動作によって疼痛の原因は異なるはずですので,こういった臨床的な視点での研究がもう少し増えるとよいですね.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 異なる強度のQuadriceps settingが膝蓋下脂肪体の動態に及ぼす影響 

 ~膝蓋骨遠位と脛骨粗面間に着目して~ 

 研究の目的 

膝蓋下脂肪体(IFP)の機能解剖学的な特徴として,膝蓋大腿関節の衝突抑制作用がありました.

一方で,膝関節内組織の中で一番疼痛を感知する組織でもあることから,IFPの評価は非常に重要であります.

特に膝前十字靭帯(ACL)再建術後は関節鏡視下の手術操作にてIFPに侵襲が加わるため,術後膝前部痛などの原因となりえます.

ACL再建術後早期の運動療法として,IFP柔軟性維持目的にQuadriceps setting(QS)が選択されますが,どの程度の力で,どの程度移動するかは明確化されておりません.

この研究は,健常成人を対象に異なる強度のQS時のIFP動態を定量化することを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 研究の方法 

対象は,健常成人男性13名とし,膝関節に整形外科的疾患を有する者,過去に膝関節手術の既往がある者を除いた11名11下肢(年齢23.7±2.5歳)としております.

測定には超音波画像診断装置(日立メディカル社製Nobuls)を用いて,測定肢位は股関節内外転・内外旋中間位,膝関節15度屈曲位,体幹70度屈曲位,足関節底背屈中間位としております.

プローブ位置は膝蓋伳遠位1/3部位とし,膝蓋伳に対し短軸方向にて測定しております.

測定項目は膝蓋伳遠位と脛骨粗面最膨隆部の距離(mm)とし,今回はIFP動態の定義を膝蓋伳遠位と脛骨粗面最膨隆部の距離の変化としております.

QSの強度の設定は表面筋電図測定装置(NORAXSON社製 TeleMyo2400T)を用い,QS最大値(最大条件)を測定し,QS最大条件,QS最大値の10%MVC(10%条件)および20%MVC(20%条件)におけるIFP動態を評価しております.

各条件別によるQS前後のIFP動態の変化には,対応のあるt-検定を用い,各条件間におけるIFP動態の変化量の比較には,反復測定による一見配置分散分析を使用し,有意水準は5%としております.

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結果 

結果は(安静時/QS時)で示されております.

条件別の安静時とQS時の膝蓋伳遠位と脛骨粗面最膨隆部距離の比較では10%条件(1.15±0.11mm/2.14±0.21mm),20%条件(1.16±0.12mm/2.27±0.23mm),最大条件(1.16±0.12mm/3.23±0.41mm)と全ての条件において有意な距離の増加が認められております(p<0.01).

各条件間における膝蓋伳遠位と脛骨粗面最膨隆部距離の変化量の比較では,10%条件(1.0±0.01mm)と最大条件(2.0±0.01mm),20%条件(1.1±0.03mm)と最大条件(2.0±0.01mm)間に有意差を認めております(p<0.01).

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結論 

各条件別におけるQS前後のIFP動態の比較では,膝蓋伳遠位と脛骨粗面間の有意な距離の増加を認めております.

また,各条件間の膝蓋伳遠位と脛骨粗面間距離の変化量の比較では,強度が大きくなればなるほどQSでIFP動態が獲得されております.

一方で,10%・20%条件でも変化量が最大条件の約50%の変化量であります.

以上のことから,関節運動を伴わないQSにてIFP動態は得られ,低出力のQSでもIFP動態を獲得できる可能性が示唆された.

これは,ACL再建術後早期の理学療法の一助となる可能性がある.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 感想 

膝蓋下脂肪体の動態はまだまだ不明な点が多いですが,今回の結果からすると術後中間広筋をはじめとする大腿四頭筋の十分な筋収縮が得られない症例であってもセッティングを用いて膝蓋下脂肪体を滑走させる介入が有益であると考えられます.

大腿四頭筋セッティングは筋力トレーニングとしてとらえられることが多いですが,組織間の癒着予防を図る上でも非常に有効なアプローチであると考えられます.

 

今回はこの第7回日本運動器理学療法士学会の一般演題の中から面白そうな研究をいくつかご紹介いたしました.

学会に参加される方は学会までに抄録をしっかり読み込んで参加したいですね.

 

 

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