理学療法士・作業療法士も血液検査結果を把握しよう

理学療法評価

 理学療法士・作業療法士も血液検査結果を把握しよう 

最近は電子カルテの導入で理学療法士や作業療法士も比較的簡単に血液検査の結果を把握することができるようになってきました.

しかしながらそもそも理学療法士・作業療法士って養成課程の中で血液検査マーカーについて学ぶ機会ってあまりありませんよね.

今回は理学療法士・作業療法士の視点で血液検査結果の解釈の仕方について考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 

 血液検査結果を把握することの重要性 

血液検査では,いつもより数値が変化していないかを確認することが重要です.

まずは理学療法士・作業療法士が担当しているクライアントの血液検査結果が,ガイドラインや各病院で取り決めている理学療法・作業療法中止基準,理学療法・作業療法処方での中止基準に該当していないいかを確認することが重要です.

ここからは理学療法・作業療法を行う際に考慮すべき血液検査結果の一部をご紹介いたします.

 

 

 

 

 ①貧血(ヘモグロビン:Hb) 

心臓外科手術後急性期は低めにコントロールすることもありますが,89/dl以下で推移している場合は,有酸素運動などの運動療法を開始してはいけません

Hb低下は腎機能障害に合併することがあり.腎機能も併せて確認する必要があります.

また骨折や人工関節全置換術による出血に伴って貧血を呈していることもありますので注意が必要です.

急激な低下は出血傾向でないかPT-INRなどを確認することも重要です.

貧血を呈している際にめまい,労作時の息切れ,頻脈がないかを評価します.

 

 

 

 

 

 ②炎症反応(C反応性蛋白:CRP,白血球:WBC) 

入院中の急性期から回復期にかけて評価をすることが多いのが炎症反応です.

全身の発熱や関節などの炎症所見がないかを合わせて評価することが重要です.

また炎症が更新するとにより低アルブミン血症となりやすいため,Alb値も確認することが重要です.

さらに浮腫などの身体所見だけでなく,実際の食事量なども併せて評価することが重要です.

炎症による内因性の消費カロリーの増加かつ栄養状態不良による摂取カロリーの不足は,蛋白異化亢進の状態となり骨格筋の分解を進めてしまうため,連動療法が悪影響を及ぼすこともあります.

したがって炎症反応の有無と合わせて食事摂取量も合わせて確認をしておく必要があります.

 

 

 

 

 

 ③血球系検査(Hb,血小板:PLT,WBC) 

がんに罹患したクライアントが化学療法を行っている場合には,骨髄抑制が生じるため,血球系検査が理学療法・作業療法の中止基準の1つの目安となります.

Hbが7.59/dl以下,PLT2万/ml以下,WBC3,000/ml以下の場合には中止をする必要があります.

特にPLTの値は重要です.

治療期間と検査値の変化に注意し,運動強度を考慮する必要があるので主論医に確認することが重要です.

 

 

 

 

 

 ④腎機能(Cr・ eGFR),肝機能(GOT,GPT) 

腎機能はクレアチニン(Cr)や慢性腎臓病の診断のカットオフ値でもある推定糸球体施過量(eGFR)が60ml/min/1.73m2以下であるかどうかを確認します.

慢性腎疾患を合併しているクライアントは,腎機能が重症化すればするほど予後が悪く運動耐用能も低いことが知られております.またCrが上昇し2.5mg/dlを超える場合には,離床の進行や通勤療法は禁忌となります.

さらに腎機能や肝機能は薬物療法による副作用で増悪することも多いので,内服状況や変更についても確認しておくことが重要となります.

腎機能の悪化時には利尿状況を確認するとともに,肝機能悪化も含め右心不全の所見であるので,体うっ血所見を確認することも重要です.

 

 

 

 

 ⑤脳性ナトリウム利尿ベブチド(BNP) 

脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は心不全の重症度を表す指標として用いられます.

BNPは月1回の測定となることが多いので,頻回にモニタリングすることは困難です.

直近の測定値を確認しておきましょう.

またBNP上昇時には心不全所見の有無を必ず評価することが重要です.

 

 

 

 

 

 ⑥電解質(Na・K) 

低Na血症は心不全の低灌流所見として重要です.

倦怠感が強く易疲労性を生じやすいので運動療法を行う場合にも注意が必要です.

高K血症(5.0以上)は心室性の致死性不整脈を誘発しやすくするので,理学療法中の心電図モニタリングが必須となります.

NaやKといった電解質のバランスは利尿剤の変更による水分バランスの変化で起こることが多いです.

また,食事(果物・野菜にはKが多く含まれる)によっても変動しますので,内服コンブライアンスはもちろんですが,食事内容や摂取状況の確認も重要となります.

低K血症は下痢や利尿促進に伴う脱水時に生じることが多いです.

低K血症を合併すると,骨格筋の収縮にも影群が出ますので,筋力低下や痙攣が生じないように注意が必要です.

低K血症が高度になると四肢麻蝉にいたることもありますので注意深く観察をしておくことが重要となります.

 

 

 

 

 

 血液検査結果の異常を確認したら 

ヘモグロビン(Hb)

短期間での減少(8g/dl以下)は医師に相談した上で,頻脈や息切れを確認しましょう.

 

白血球(WBC))・CRP

発熱炎症所見を確認しましょう.

 

血小板(PLT)

低い場合は出血傾向を確認しましょう.

 

アルブミン(AIb)

食欲,食事量を確認しましょう.

炎症の際には低値を示すことが多いので,合わせて炎症所見を確認しましょう.

 

プロトロンビン比(PT-INR)

弁置換術後や心房細動などで抗凝固内服時には2.0程度が一般的です.

 

クレアチニン

0.5~1.3mg/dlが正常値ですが,非透析患者で2.5以上は理学療法中止を検討しましょう.

 

ナトリウム

135~147Eq/lが正常値です.

低Na血症の場合には心不全の低灌流所見に注意が必要です.

 

カリウム(K)

3.5~5.0Eq/lが正常値です.

低K血症を合併している場合には致死性不整脈に注意が必要です.

 

血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)

一般的に40~100であれば軽度心不全,100以上であれば心不全治療が必要な状況と判断します.

また200以上となると生命予後も不良となります.

 

 

 

 

 

 血液検査の実施頻度 

理学療法士・作業療法士が血液検査結果を確認しようとしても病期によっては血液検査が行われていないこともしばしばです.

急性期と回復期では測定頻度が違うので㈱測定値の増減についての解釈が異なります.

急性期では主に理学療法・作業療法による介入を行ってよいか,進めてよいか,過負荷になっていないかの判断材料となります.

例えば理学療法後短期間で血清クレアチンキナーゼ値が上昇した場合には過用性筋力低下が考えられますので,運動負荷量を調整する必要があります.

回復期では,血液検査が頻回に行われていないことが多いので,症状の変化やフィジカルアセスメントを駆使することが重要となります.

重症例に対しては外来での定期的な検査頻度を増やすことを医師と相談しながら決定してもよいでしょう.

 

 

 

 

今回は理学療法士・作業療法士の視点で血液検査結果の解釈の仕方について考えてみました.

理学療法武士・作業療法士ってこのあたりの理解が不十分な方が多いと思います.

重要なのは血液検査結果の解釈はもちろんですが,フィジカルアセスメントと合わせてクライアントの状況を評価できる能力です.

最近は簡単に血液検査結果が得られる施設も多いと思いますので,日々の理学療法・作業療法に活かしたいですね.

 

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