理学療法士の視点で筋力低下の原因を考える

理学療法評価

理学療法士の視点で筋力低下の原因を考える

理学療法士は筋力低下に対してアプローチを行う機会が少なくありません.

筋力低下にはさまざまな原因が考えられますが,原因によってもアプローチが異なりますので,まずは筋力低下の原因を考えることが重要となります.

今回は理学療法士の視点で筋力低下の原因について考えてみたいと思います.

 

 

 

 

筋力低下の原因

筋力低下は主動作筋の神経学的要因と形態学的要因(筋萎縮)によって起こります.

神経学的要因や形態学的要因といった主動作筋以外の要因として,拮抗筋の過剰収縮と固定筋の筋力低下もまた筋力低下の原因になり得ます.

また神経や筋の病変(脳卒中や筋疾患など)や外傷(脊髄損傷や筋断裂など)によっても,筋力低下(麻痺)が起こりますが,ここでは神経や筋の疾患がないことを前提として筋力低下の原因を考えてみたいと思います.

 

 

 

 

主動作筋の神経性要因

神経性要因は大脳の興奮水準の低下,痛み,関節の腫脹に分けることができます.

 

 

 

 

大脳の興奮水準の低下

ベッド上安静などがもたらす廃用症候群や加齢などによって大脳の興蒲水準が低下すると,筋力低下が起こります.

活動に参加する運動単位数の減少や発火頻度の低下,運動単位の同期化の不足を主たる原因として,固有筋力が低下します.

大脳の興奮水準を上げるための筋力トレーニングとしては,最大筋力法が適応となります.

 

 

 

痛み

術後の痛みや変形性関節症などによる浦みにより最大筋力は低下します.

筋力を発揮すると大きな関節圧迫力が加わり,関節に障害がある場合には痛みが生じ,筋力発揮を抑制します.

痛みが原因の筋力低下に対しては,痛みに対するアプローチ,痛みのない角度での等尺性筋力トレーニングや低負荷での等張性(短縮性)筋力トレーニングの実施が重要となります.

 

 

 

 

関節の腫脹

関節の腫張によって筋力発揮は抑制されます.

例えば膝関節に関節水腫が生じると大腿筋膜張筋の筋活動に対して神経学的抑制回路が形成され,筋力低下や筋萎縮が引き起こされます.

こういった関節腫張に伴う筋力発揮の抑制は関節原性筋抑制と呼ばれます.

関節内のメカノレセプターが,特に関節包伸張の際にこの抑制に関与すると考えられており,腫脹がある状態で最大筋力を発揮しようとすると,さらに関節内圧が高まりリ抑制が大きくなるため,関節の脈脹が減少してから,筋力トレーニングを行う必要があります.

 

 

 

 

主動作筋の筋萎縮

当然ながら主動作筋に筋萎縮があると筋力低下が起こります.

最大筋力は筋断面積と相関しており,廃用による筋萎縮を予防することが非常に重要となります.

筋萎縮のみが原因で筋力低下が起こっている場合は,固有筋力の低下は起こりません.

筋萎縮に対する筋力トレーニングとしては,最大反復法と呼ばれる,最大反復できる回数のトレーニングを繰り返す方法が適応となります.

 

 

 

 

拮抗筋の収縮

最大筋力発揮時にその動作の拮抗筋が収縮すると,収縮した程度に応じて筋力が低下します.

単一の筋を最大収縮することは難しく,最大に近づくほど無駄な力が拮抗筋に入り,結果として主動作筋の筋活動が増加しているにもかかわらず筋力発揮効率が低下してしまいます.

このような拮抗筋の過剰収縮は特に高齢者や術後のクライアントに見られます.

拮抗筋の過剰収縮に対するトレーニングでは,主動作筋を意識し拮抗筋の無駄な力を抜くための運動学習が必要となります.

 

 

 

 

固定筋の共同運動障害や筋力低下

最大筋力を発揮するためにはその筋の起始部がしっかり固定される必要があります.

例えば肩関節外転運動の場合,三角筋が主動作筋となりますが,肩甲骨を固定する筋が同時に働かないと外転筋力を発揮することができません.

すなわち,肩甲骨が固定されていないと三角筋の収縮により肩甲骨は下方回旋し,肩関節外転筋力は低下しまうことになります.

徒手などで筋の起始部を固定して筋力発揮を行わせ,肩甲骨を他動的に固定して外転させ,筋力が向上する場合には,固定筋の筋力低下や共同運動障害の存在が考えられます.

この場合には主動作筋だけでなく固定筋(肩関節外転であれば前鋸筋)の筋力を評価し,固定筋の筋力トレーニングを行う必要があります.

 

今回は理学療法士の視点で筋力低下の原因について考えてみました.

筋力低下の原因はさまざまですので,原因を考えた上でアプローチを行う必要があると思います.

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