PT/OT養成ガイドラインQ&A公開(現行の実習も自宅学習を1時間以内にしないと規定違反)

投稿者: | 2018年11月11日

今回は臨床実習に関するお話です.

2018年10月9日に日本理学療法士協会のホームページに「理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドライン/理学療法士作業療法士臨床実習指導者講習会の開催指針」に関する記事が掲載され,このガイドラインについては以前もご紹介させていただきました.

厚労省から出されたPT・OT養成改訂案

今回は10月末に,このガイドラインに関してQ&Aが出されましたので,このQ&Aの内容をご紹介いたします.

このガイドラインに関しては,こういったケースはどうなるのだろうかといったさまざまな意見がネット上でも飛び交っていたわけです.

今回のQ&Aでわれわれが疑問に感じていた点が少し解消される内容となっておりますので,是非ご覧ください.

 

 ガイドラインに関するQ&Aの趣旨 

理学療法士及び作業療法士の学校養成施設指定規則については,平成 11 年にカリキュラムの弾力化等の見直しを行って以降,大きな改正は行われておりませんでした.

この間に高齢化の進展に伴う医療需要の増大や,地域包括ケアシステムの構築などによって,理学療法士及び作業療法士に求められる役割や知識等が変化し,さらに学校養成施設の増加によって,臨床実習の在り方の見直し等が求められていることから,平成 29 年6月から「理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会」を開催し,平成 30 年 10 月5日に理学療法士及び作業療法士の学校養成施設指定規則を改正するとともに,理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドラインが公表されたわけです.

このガイドラインに関しては,こういったケースはどうなるのだろうかといったさまざまな意見がインターネット上では飛び交っていたわけですが,今回のQ&Aは,われわれが疑問に感じていた点を少し解消してくれる内容となっております.

今回はこのQ&Aの中から重要だと思われるところを抜粋してご紹介させていただきます.

 

 養成施設の第三者評価について 

養成施設の第三者評価については,詳細が明らかにされておりませんでしたが,「一般社団法人リハビリテーション教育評価機構において,リハビリテーション関連職種の教育・養成の振興に貢献することを目的に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の各養成課程の第三者評価が行われていることから,当面は一般社団法人リハビリテーション教育評価機構の第三者評価を受けることとするとされております」.

 

  専任教員養成講習会と専任教員の要件について 

専任教員養成講習会はについては,2020 年4月の入学生から適用し,専任教員の要件の見直しについてはカリキュラム適用から2年の経過措置が設けられております.

したがって実質は専任教員養成講習会は2021 年度中に開催できるように準備が進められているようです.

今回のQ&Aでは教員を退職し臨床業務に従事し,再度教員に復帰する場合についても,専任教員養成講習会を受講再度受講する必要があるかについて示されております.

「基本的には再度受講する必要はなく,長期間(例えば5年以上)教育現場を離れるなど,教育環境の変化を生じることが想定される場合には,学校養成施設側の判断により再度教員養成講習会を受講する機会を設けるなど,学校養成施設教育の質の向上に努めることが望ましい」とされております.

 

 専任教員の臨床能力の向上について 

私自身もガイドラインを読んだ際に最も気になったのがこの専任教員の臨床能力の向上に関する文言です.

結論としてはこの専任教員の臨床能力の向上に関しては努力規定であり,「専任教員も臨床に携わるなどにより臨床能力の向上に努めるものとする」とされております.努力規定ですので,今まで通りでも特にお咎めは受けないと考えられますが,大学病院と提携している養成校のように定期的に臨床業務も行いながら研究・教育に携わるスタイルが理想でしょうね.専門学校なんかはなかなか難しいと思いますが…

また専任教員の 1 人 1 週間当たりの担当授業時間数は過重にならないよう 10 時間を標準とするとされており,その分,臨床に携わることを推進する流れとなっております.1週間当たりの時間数が10時間ということはコマ数にすると6コマということになります.これも努力目標ですが少ない教員で運用している養成校は改善が必要かもしれませんね.

 

 専任教員の定義について 

専任教員の定義についても明確にされております.

専任教員は授業の他にも教務に関する事務や学生の生活面の指導等をする養成施設の基幹的な教員を想定しており,少なくとも週3日以上程度の勤務は必要とされております.

また専任教員(昼)・専任教員(夜)の兼務は認められないとされております.

このあたりが明確にされたのも大きいですね.

昼間・夜間の養成課程を両方持っている養成校は対応が必要かもしれませんね.

 

 臨床実習の時間について 

臨床実習を受け入れる理学療法士・作業療法士の方は最も重要な部分だと思います.

今回のガイドラインでは,臨床実習については1単位を 40 時間以上の実習をもって構成することとし,実習時間以外に行う学習等がある場合には,その時間も含め 45 時間以内とすることが明記されております.

今回のQ&Aではこの実習時間の規定が2020年以降の入学者のみならず,現行の実習にも適用されるといった回答がなされております.

したがって現段階で実習生を受け入れているところは自宅での学習時間を1時間以内にするように課題の量を調整しなければ規定違反となってしまいますので注意が必要です.

 

 学校は実習に出す学生を制限できるのか? 

「学内での臨床実習前評価で学生が一定水準に達しないと判断した場合に,校養成施設はどのような対応をするのが望ましいか?」といった問いに関しては,明確な回答がなされておりません.

「理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会では,臨床実習前評価で達すべき一定水準について十分な結論が得られなかったことから,今回の改正ではその水準について示していない.臨床実習前評価の内容や達すべき水準及び判定結果に基づく対応等については,新カリキュラムの適用がされた以降,検証することが必要と考える」と今回のガイドラインでは実習を送る上で必要な最低水準というのが示されておりません

また「臨床実習前後の評価は特に総合臨床実習に関する教育結果を判定することを目的として新たに加えられたことから,実習生の技術等に関して,実習前に実技試験等による評価を行い,直接患者に接するに当たり、総合的知識及び基本的技能・態度を備えていることを確認し,その評価を踏まえた教育を臨床実習施設で行い,その判定を
臨床実習後の評価等で行うことが望ましい」と付け加えられております.

総合的知識及び基本的技能・態度を備えていることを確認し」といった文言からは,養成校内で判断した最低水準を確認してから実習に出しなさいといった解釈もできます.

一方で「実習前評価を踏まえた教育を臨床実習施設で行い,その判定を臨床実習後の評価等で行うことが望ましい」といった文言からは,実習前の学習段階に合わせて実習を行い,成長度を実習後に評価しなさいといった解釈もでき,学習水準が一定に達していなくとも,実習前の学習状況に合わせて実習を送りなさいといった解釈もできます.

 

 

 

 画像評価について 

今回の改正では理学療法・作業療法評価学の中に「画像評価」を含めることが規定されましたが,私自身はX線やCT・MRIといった画像読影のみをイメージしておりました.

今回のQ&Aでは,この画像の中には基本的・応用的動作や歩行等の動画も含まれるとされており,動作分析等の動画を使った授業も画像評価に含まれるようです.

動画付の書籍が売れそうな予感がしますね.

 

 

 臨床実習指導者講習会について 

このQ&Aでは,厚生労働省が指定する臨床実習指導者講習会の時期についても回答がなされております.

今年度から順次開催できるように準備がなされているようです.

また厚生労働省が指定する臨床実習指導者講習会は,実施主体に制限はなく,臨床実習指導者講習会の開催指針を満たしていれば,実施主体に制限はないとされております.

当面は臨床実習指導者講習会開催の実施主体は都道府県士会になりそうですけどね.

 

 

 ベテラン療法士の臨床実習指導者講習会の受講免除は? 

結論から申し上げますとありません.

Q&Aでは実習指導者のこれまでの指導経験年数が長い場合(例えば 10 年以上など),厚生労働省が指定した臨床実習指導者講習会の受講として読替えることはできるかといった問いに対して,読み替えはできないと回答されております.

また日本理学療法士協会が認定している指導実績や各大学が認定している「臨床教授」等の資格を,厚生労働省が指定した臨床実習指導者講習会の受講として読替えることはできるかといった問いに関しても,読み替えはできないと回答されております.

これは当然と言えば当然の内容ですね.

 

 いわゆるケースバイザーも講習会を受講する必要があるのか? 

基本的には実習指導を行うことが出来るのはガイドラインに示す講習会を修了した者だけですので,すべての臨床実習指導者に受講がもとめられます.

ただこのQ&Aでは,実習指導者の要件を満たしていない者は実習指導はできないが,実習指導者の指導・監督の下,診療チームの一員として実習指導者と一緒に補助的な指導を行うことはできるとされております.

このあたりをどう解釈するかですが,この1文からするとケースバイザー的な役割は講習会非受講者でも目をつぶろうといったところではないでしょうか.

これが無ければ実習指導を行う理学療法士・作業療法士に偏りが出てしまって,実習を受ける施設も減ってしまうと思いますので,このQ&Aは現実的だなと感じるわけです.

 

 

今回は10月末に出されたPT・OT養成の改定ガイドラインに関するQ&Aをご紹介させていただきました.

私自身はもやっとしていた部分がおおよそ解消されたQ&Aでしたが,改めて実習指導のハードルがかなり上がるなといった印象と,実習先確保がますます難しくなるなといった印象を持ちました.

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