他職種への情報収集のポイント

投稿者: | 2018年11月1日

われわれ理学療法士はさまざまな職種とともにクライアントの支援を行っていくわけですが,理学療法を行うに当たっては,他職種から得られる情報というのも非常に重要となります.

臨床実習でもまた他職種へ情報収集を行う機会がありますが,今回はどういった視点で他職種へ情報収集を行うべきかについて考えてみたいと思います.

 他職種からの情報収集 

他職種からの情報は,患者の全体像を把握し理学療法を行う上で非常に重要となります.

クライアントの抱える問題というのはわれわれ理学療法士の専門領域である運動機能面だけにとどまるものではなく,症候学的側面(疾病・病態由来の問題),全身状態(治療経過,投薬状況,栄養管理感染症状、日内変動など),社会’的側面(経済状況,社会保障制度など)など多岐にわたり,それらの問題は相互に関係し合っているわけです.

そのため,われわれが専門とする以外の領域の問題に対して,専門性を持った他職種からの情報を得ることは,理学療法士アプローチを行う上でも必要不可欠なものとなります.

 

 医師からの情報収集 

日常的に多忙を極めている医師から情報収集を行うのは非常に大変です.

私の職場でも医師に直接的に情報を聴取できない場合には,掲示板を通じて情報交換を図ったり,病棟看護師を通じて指示を確認したりということがありますが,可能であれば直接情報を収集することが望ましいことは言うまでもありません.

医師からは,クライアントの病態的な予後,治療方針,安静度,理学療法を介入する上での禁忌事項などを確認するとよいでしょう.また手術経過や転帰,転院の有無に関して,クライアントへどういった説明がなされているのかを確認することも重要です.

医師がどういった方針で治療を進めていこうと考えているかを把握して理学療法を行わないと,医師の考えとは違った方向でクライアントへの説明をしたり,クライアントへアプローチをしたりということになってしまいますので,足並みをそろえる意味でもどういった説明がなされているかを確認することが重要です.

 

 

 看護師からの情報収集 

若手理学療法士や実習生にとっては看護師から情報収集を行うのも少々敷居が高いようです.

確かに看護師というのは,いつも忙しそうにしててなんとなく怖いなといったイメージがあるかもしれませんが,看護師とコミュニケーションが取れるようになれば,こちらから聞かなくともさまざまな情報を得ることができます.看護師から聴取すべき情報としてはと,病棟でのADLや活動量,意識・メンタル・疼痛の症状,夜間の状況などが挙げられます.

われわれ理学療法士の視点で考えると,病棟でのクライアントの生活状況を確認し,病棟とリハビリテーション室でのADLのギャップを確認する作業は非常に重要です.

リハビリ室ではできるのに病棟では全介助といったクライアントは少なくありません.リハビリテーション室での「できる」ADLと病棟での「している」ADLのギャップを把握し,そのギャップを埋める作業はクライアントの能力向上を考えても非常に重要です.

われわれが関わることのできる時間というのは24時間で考えるとたかがしれておりますので,病棟での活動量を向上させるといった視点は非常に重要です.また夜間の状況を確認することも重要です.

われわれというのは夜勤をしておりませんので,夜間の状況を知ることは職種の特性上難しいわけです.

夜間になると睡眠薬が効き過ぎて意識レベルが低かったり,鎮痛薬の効能がきれたり.

日中と夜間のADLのギャップにはさまざまな原因が考えられるため,夜間の状態も考慮した上で,安静度の設定や日中の活動量の検討を行う必要があります.

 

 

 作業療法士からの情報 

おそらく理学療法士が最も情報収集を行いやすい職種だと思います.

同じリハビリ室にいることが多いですし,普段から同じ場所で仕事をしておりますので,コミュニケーションも図りやすいでしょう.

作業療法士からは手指の巧徹性,高次脳機能趣味・嗜好などの情報を確認すると良いでしょう.

また作業療法士はクライアントの趣味・嗜好・患者の好む活動などを把握することに長けておりますので,そういった面で情報を得るのも有効です.

 

 

 言語聴覚士からの情報 

作業療法士と合わせて情報収集を行いやすい職種が言語聴覚士です.

言語聴覚士にはコミュニケーション方法や摂食・嚥下機能を確認すると良いでしょう.

脳卒中後の失語症や構音障害,聴覚障害などを認めるクライアントの症状を確認するとともに,どのように声掛けを行うのが有効かなど,クライアントに適したコミュニケーション方法に関してアドバイスをもらうとよいと思います.

さらに摂食・嚥下機能についても確認し,誤嚥のリスクや安全な嚥下に適した姿勢を把握することも重要です.

 

 

 管理栄養士からの情報 

関わる機会の職種ではありますが,リハビリテーション栄養の概念が普及している昨今,管理栄養士からも情報収集を行うことが重要となります.

管理栄養士からはクライアントにとっての目標体重や,そのためのカロリーコントロールなど栄養管理について確認するとよいでしょう.

また低栄養をきたしているクライアントでは覚醒レベルの低下や意欲減退,筋肉量の減少などにより理学療法の効果が得られにくいことがあるため,運動療法を行う際の負荷量や現在の活動量に見合った栄養管理についても医師や看護師と協議した上で管理栄養士に相談することも必要です.

 

 医療ソーシャルワーカーからの情報 

カンファレンスなどで同席することの多い職種は,この医療ソーシャルワーカーでしょうか.

医療ソーシャルワーカーからは経済的・社会的・心理的問題に加えて,社会保障制度(身体障害者手帳や介護保険制度など),家族関係などを確認すると良いでしょう.

特に理学療法士というのは社会保障制度の知識が不足していることが多いので,クライアントの支援に当たっては医療ソーシャルワーカーが提案した社会保障制度を有効に使うといった視点も必要不可欠です.

 

今回は他職種への情報収集といった視点でご紹介させていただきました.

その他にも薬剤師,介護福祉士,介護支援専門員をはじめ,われわれはさまざまな職種とともに協業しながらクライアントの支援を行っていく必要があります.

まずは各職種の専門性を知った上で,積極的に他職種とコミュニケーションを図ることが,クライアントを支援する上では重要だと思います.

 

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