統合と解釈って何を書いたらいいの?

投稿者: | 2018年10月2日

 統合と解釈の書き方は? 

クリニカルクラークシップ形式の臨床実習が増え,最近は症例レポートを書く機会が少なくなっているとは思いますが,まだまだ従来型の実習を強いられる臨床実習生も少なくないと思います.

またクライアントの評価結果を総合的に統合して,クライアントの障害像を捉える作業というのは,理学療法・作業療法を行う上で重要となります.

そんな中でよく聞かれるのが,「統合と解釈」って何を記述したらよいのかといった声です.

今回は症例レポートにおける統合と解釈について考えてみたいと思います.

 

 統合と解釈って?考察との違いは? 

統合と解釈というのは,得られた1つ1つの情報を整理したうえで,情報同士の因果関係を明らかにする作業です.

理学療法・作業療法では検査測定や動作観察の結果をもとにして,身体機能と基本動作・日常生活動作との関連を深く探求する過程を統合と解釈という場合もありますが,クライアントの全体像を捉えて理学療法・作業療法プログラムを立案するためには,身体機能と基本動作・日常生活動作との関連だけではなく,さらに参加状態を加えた幅広いつながりのなかで統合と解釈を行う必要があります.

 

 情報の統合と解釈(トップダウン式に生活機能低下の原因を考える) 

多くの場合には,疾病に伴う身体機能の低下のために,これまでの生活が困難となってしまったことが入院の理由となっていることが少なくありません.

したがって「何ができるようになったら退院できるのか?」という視点で情報を整理することが理学療法・作業療法を行ううえで重要であり,そのためにはトップダウン式に情報の統合と解釈を行う方法が効率的です.

 

 ①退院を困難にしている参加の要因は? 

まずはなぜ退院できないのかといった視点で,入院前と現在の参加に関する情報を収集して両者の違いを比戦し,退院を阻害している参加要因を予測します.

 

 ②参加を困難にしている日常生活動作能力の要因は? 

次に①で予測した参加状態に関連した日常生活動作能力の情報を収集し,参加を阻害しているADLの要因を予測します.

 

 ③日常生活動作を困難にしている基本動作の要因は? 

次に②で予測した日常生活動作を構成する基本動作の情報を収集し,日常生活動作を阻害している基本動作の要因を予測します.

 

 ④基本動作を困難にしている身体機能の要因は? 

③で予測した基本動作を構成する身体機能の情報を収集し,基本勤作を阻害している身体機能の要因を予測します.

 

このように参加⇒日常生活動作能力⇒基本動作能力⇒身体機能といった流れで,生活機能に関わる情報をトップダウン式に統合と解釈を行うことによって,発症・受傷後に低下した参加状態と身体機能の関連を明確にすることができます.

この参加状態と身体機能との関連を明確にすることこそが,統合と解釈で行うべき非常に重要な作業となります.生活機能の改善を目指すためには,まずは身体機能へのアプローチを考慮するとよいわけです.

この例で考えてみると,膝関節伸展筋力が改善すれば室内歩行が自立し,その結果トイレでの排泄や他のセルフケア動作が獲得でき,入院前の参加状態を取り戻し,自宅退院が可能となると考えられます.

 

 情報の統合と解釈のポイント(ボトムアップ式にアプローチを考える) 

ここで重要なのは身体機能の低下を改善できるかといった視点です.

身体機能低下の原因を探求し,改善の可能性がある場合にはそれに応じた治療プログラムを行いますが,改善が見込めない場合には代償手段を用いて基本動作の改善を目指します.

また代償手段だけではなく,人的な介助を利用することで動作を獲得できることもあるため,自宅の物理的環境や家族の状況なども考慮し,クライアントにとって適切な手段を検討します.

同様に基本動作の低下を改善できるかを考慮した上で基本動作能力の向上により日常生活動作能力の改善を目指しますが,向上が期待できない場合には代償手段や介助を利用した日常生活動作の獲得を考えます.

最後に日常生活動作能力の低下を改善できるかを考え,日常生活動作能力の向上によって参加状態の改善を目指しますが,向上が難しい場合には,病前と同じ参加レベルを獲得することは困難な場合が少なくありません.

したがって代償手段や介助の利用を考慮したうえで,獲得可能な参加状態の目標を設定します.

 

このように統合と解釈を行う場合には,まずトップダウン形式に生活機能低下の原因を考えた上で,ボトムアップ形式で生活機能の改善を予測する作業が重要となります.

したがって症例レポートにはこの一連の流れを記述することが必要なわけです.

脳血管障害の方であれ,運動器疾患を有する方であれ,内部障害の方であれこの一連の流れは同じです.

この一連の流れを作成する上では,クライアントに関する十分な情報収集と基礎的な知識が必要なことは言うまでもありません.

実はこの統合と解釈の作業を行う中で,必要な情報収集の抜けに気付いたり,必要な評価情報の不足に気付いたりといった場合も少なくありません.

 

 情報の統合と解釈を行う上で役に立つ書籍 

 

 

今回は症例レポートにおける統合と解釈について考えてみました.

私自身は,ここ数年はクリニカルクラークシップ形式で実習を行っておりますので,きっちりとした症例報告書の作成は課しておりませんが,この統合と解釈における一連の流れを症例を通じて学ぶ作業というのは必要不可欠であると考えております.

したがって報告書という形式ではなく,簡単な形式でこういった情報をまとめる作業を学生に行ってもらっております.

経験豊富な有資格者というのは,こういった情報の統合を頭の中で行っているわけですが,まずは書面にして情報を整理する作業を経験するというのは非常に意味があると考えております.

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