理学療法士・作業療法士の視点でX線(レントゲン)を見るには?

投稿者: | 2018年10月1日

最近では,電子カルテや画像ビュアーシステムの導入によって以前よりも簡単にX線を目にすることができるようになってきております.

一方でわれわれ理学療法士というのは画像読影に関して十分な教育を受けていない者が多く,単純X線でさえも読影を苦手に感じている理学療法士・作業療法士も少なくないと思います.

今回は理学療法士・作業療法士の視点でX線読影について考えてみたいと思います.

 

運動療法に役立つ単純X線像の読み方 [ 浅野昭裕 ]

 医師による読影と理学療法士・作業療法士による読影の違い 

理学療法士・作業療法士が単純X線像を読影する場合には,医師の場合とは異なる視点が必要だと思います.

単純X線撮影は整形外科の診療において根幹をなすとされているように,医師というのはX線画像を様々な視点から読影し,診断,術式や治療方法の選択,経過の把握などに役立てます.

一方で理学療法士・作業療法士は,運動療法や動作練習を念頭にX線画像を活用します.

何か新しい損傷を見つけようとしているかのように,X線の読影に過度な時間と労力をかけている理学療法士・作業療法士も少なくないと思いますが,基本的には画像診断というのは医師の仕事です.

もちろん医師と同等にX線画像を読影できればそれに越したことはありませんが,しかし理学療法士に最低限求められることは,リハビリテーションチームの一員として医師の診断と治療方針を理解し,多職種と共有することです.

したがって理学療法士・作業療法士の視点でX線画像をみることで,評価・介入に役立つ多くの情報を得ることができます.

 

 

 

 

 

 

 骨・関節をみる 

まずX線から骨折線や脱臼方向を観察することが基本となります.

われわれ理学療法士・作業療法士がX線を見る際には,単に骨折や脱臼を確認するだけではなく,受傷機転や骨折線などの情報と合わせて,受傷時にどのような外力が加わったのかを推察することです.

骨への力学的ストレスには,剪断力・捻れ・牽引力・圧迫力・屈曲力などがありますが,骨折に至るまでにどのような外力がどのような方向から加わったかを推測することが重要です.

損傷部位の保護という視点で考えた時には,この骨折の原因となった外力の方向や力学的なストレスこそが骨折を転位させる外力となりますので,理学療法・作業療法を行う場合にも,こういった外力が加わるのを避けることが重要となります.

特に急性期における運動療法の際は骨折・脱臼を引き起こしたと推測される外力の方向や力学的なストレスを与えないように注意することが重要です.

 

関節については,変形や変性の有無とその程度を確認します.

関節面の状態というのは疼痛・関節可動域・荷重時の安定性などに強く関連しますので,特に関節面の状態や適合度は確認することが重要となります.

さらに例えば大腿骨の彎曲のような骨自体の形態や彎曲も観察する必要があります.

こういった形態的な情報というのは,理学療法の介入対象にはなりませんが,姿勢アライメントに強く影響していることが多いので,形態的な情報を確認しておくことが重要となります.

 

 

 

 

 

 

 軟部組織をみる 

この軟部組織を見る視点が欠けている理学療法士・作業療法士が多いのですが,骨や関節が損傷したときには,靱帯・関節包・筋・筋膜・腱・神経・血管などの周囲組織も必ず損傷しているといった認識が必要です.

X線から得られるのは骨や関節の情報だけではないといった視点が重要です.

前述したような力学的ストレスの方向を考慮し,軟部組織にどのような損傷が加わったかを推測します.

結局のところ,この軟部組織こそが理学療法や作業療法の問題点になり,介入対象になることが多いわけですから,この軟部組織の損傷を推測する視点は非常に重要です.

われわれ理学療法士・作業療法士が介入する上で,大きな問題になるのは炎症による疼痛や,受傷時に防御的に生じた筋のスパズム,筋の損傷による収縮不全,靭帯・関節包・筋膜などの皮下組織の治癒過程における癒着です.

したがって実際にはX線像上に写っていない軟部組織をみることが,極めて重要なポイントとなります.

 

 

 

 

 

 

 手術をみる 

術式を把握した上で固定状態(安定性)やインプラントの種類や挿入位置を確認します.

インプラントの種類にはそれぞれ特徴がありますので,それぞれのインプラントの特徴を理解しておくと,医師がどのような意図でその術式を選択したのかを理解できるようになります.

また骨折による損傷部位だけでなく,インプラントの位置を確認して,手術侵襲による皮膚や筋・筋膜への影響を考えることも重要です.

さらに手術を行っていても固定されていない骨片が存在するケースもありますので,理学療法・作業療法では,疼痛との関連を考慮するとともに,その周囲に付着している筋の収縮を避けることが重要となります.

 

比較的多い例としては,小転子の骨折を伴う大腿骨転子部における小転子骨片が挙げられます.

小転子には腸腰筋が付着しており,その筋力が発揮できないだけでなく,筋収縮によって骨片を転位させてしまう可能性もあります.

その他にも上腕骨近位端骨折で大結節・小結節が転位しているような症例では回旋腱板の収縮にともない,骨片が転位してしまう可能性も考えられますので,こういった場合には肩回旋腱板の収縮は禁忌となります.

 

リハで読むべき運動器画像 [ 塩野寛大 ]

 

今回は理学療法士・作業療法士の視点でのX線の診方について考えてみました.

われわれがX線をみる際には,骨・関節のみならず軟部組織損傷を推測する視点と固定されていない骨片に筋収縮による影響がないかどうかを考えることが特に重要となります.

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