ワーク・ライフ・クライアント・バランス

働き方
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ワーク・ライフ・クライアント・バランス

ワーク・ライフ・バランスという言葉はここ10年くらいで耳にすることが多くなった言葉の1つだと思いますが,われわれのリハビリテーション業界でもこのワーク・ライフ・バランスに関する研修会が協会や都道府県士会単位でも多く開催されるようになってきております.

今回は理学療法士・作業療法士にとってのワークライフバランスについて考えてみたいと思います.

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ワークライフバランスとは?

2007年12月に本邦で「仕事と生活の調和 (ワーク・ライフ・バランス)憲章」および「仕事と生活の調和のための行動指針」が政労使の合意の上,策定されました.

ここでは目指すべき社会の姿として「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き,仕事上の責任を果たすとともに,家庭や地域生活などにおいても,子育て期,中更年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現出来る社会」を挙げ,①就労による経済的自立が可能な社会,②健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会,③多様な働き方・生き方が選択出来る社会を指針としています.

 

ワーク・ライフ・バランスでは育児の中心となる女性に対する仕事のあり方と考えられがちですが,女性に限らず男性も含め職場のみんなが働きやすい職場の指針となるべきものです.

医療・福祉関連の職場というのは圧倒的に女性が多い職場なので,どちらかというと医療・福祉施設ではこういったワーク・ライフ・バランスの考え方は職場の中で違和感なく受け入れられやすいものだと考えられます.

一方でリハビリテーション部門はというと,昔から勉強会や研修会と称して夜遅くまで拘束される職場というのもまだまだ少なくないのではないかと思います.

そのためそういった職場では女性が結婚や妊娠とともに退職するといったケースも少なくないようです.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理学療法士・作業療法士の働き方の変化

ワーク・ライフ・バランスを考える際に,ここ十数年で目まぐるしく変化している理学療法士・作業療法士の働き方についても考えてみる必要があります.

特に大きな変化は回復期病棟では365日体制でのリハビリテーションサービスを提供しているところが増えてきており,われわれ理学療法士・作業療法士の働き方というのもずいぶん大きく変わりました.

昔は理学療法士・作業療法士といえば,看護師等の深夜業を行う医療専門職とは異なり,土日休み,変則勤務無しが当たり前だったのですが,今は土曜日勤務は当たり前で,職場によっては早出や遅出勤務を強いられることも少なくないでしょう.

休日保育の整備がどの程度なされているのかは地域によって差があると思いますが,いずれにしても子育て世代の理学療法士・作業療法士にとっては働きにくい時代になっていることは間違いありません.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワーク・ライフ・バランスを実現するための最低条件

ワーク・ライフ・バランスを実現するためには,管理者や組織に所属する職員の考え方が重要なことは言うまでもありませんが,われわれの仕事の特性を考えると最低条件として十分な人員が確保されているということが最低条件になると思います.

ワーク・ライフ・バランスという方針を掲げたがために,クライアントに提供するサービスの量や質が低下してしまうことは避けたいわけですが,われわれの職業の特性上,時間(単位)に縛られて仕事をせざるをえません.

例えば看護であれば看護の効率を向上させれば,もしかしたら通常は10人で行っていた仕事を8人で行えるようになり,その分を職員が家族と過ごすための時間に充てられるかもしれません.

しかしながらわれわれの仕事というのは効率を上げれば勤務時間が短くなるという仕事ではありません.一定時間,クライアントに関わってこそ成果が発生する仕事ですので,このあたりが非常に難しいわけです.

もちろん間接業務を簡素化するとか効率化するといった取り組みである程度は業務の効率化を図ることができるかもしれませんが,ワーク・ライフ・バランスを掲げて,根本的なクライアントにサービスを提供する時間を簡単に減らすわけにはいかないのです.

したがってワーク・ライフ・バランスを実現するために最低条件として必要なのは十分な人員確保ということになると思います.

この最低条件が具備されないまま,ワーク・ライフ・バランスについて議論しても,結局のところ理想論に終わるか,未婚者や男性職員ばかりに負担が偏った職場にならざるをえません(子育て世代の女性の負担を減らすことだけを職場のワーク・ライフ・バランスと考えている管理者も少なくありませんのでご注意を…).

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今後は働き方がもっと変わる?

先進的な企業では週休3日制度を導入・検討しているところも増えてきております.

ワーク・ライフ・バランスや労働人口の減少,AIやロボットの進歩を考えれば,私自身は,今後は週休3日制度が妥当だと考えております.

現に既に8%の企業で週休3日制が導入されておりますし,AIやロボットというのが医療の中でも普及していけば,何十年後かはわかりませんが,少なくとも週休3日はそれほど遠い話ではないと思います.

思えば昔は週休1日制だったわけですが,今は2日が当たり前になっておりますし,将来的には3日が当たり前になるのでしょう.

週休3日にも実はいろいろなパターンがあるのですが,①週休3日になっても給料不変,②週休3日だが1日当たりの労働時間が長く,1週間でみた合計の労働時間は週休2日と同じ,③週休3日だが週休2日に比べると給料をカットといったようなパターンです.

 

ワーク・ライフ・バランスのすすめ [ 村上文 ]

 

 

今回はワーク・ライフ・バランスについて考えてみました.

私はワーク・ワーク・バランス?の中で育った理学療法士なのでワーク・ライフ・バランスというのは,今一しっくりこないところがありますが,ワーク・ライフ・バランスの視点の中にクライアントへのサービスの質という視点は欠かせないと思います.

ワーク・ライフ・バランスという名の下,サービスの量や質を低下させることがないよう,ワーク・ライフ・クライアント・バランスが重要だと思います.

 

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