変形性股関節症の疫学~どのくらい多いの?~

変形性股関節症

前回までは脊椎圧迫骨折例における理学療法について紹介させていただきました.今回からは理学療法の対象となることの多い変形性股関節症について紹介させていただきます.まずは変形性股関節症の疫学について最近のデータをもとに考えてみたいと思います.

変形性関節症の疫学データで最も大規模かつ有名なものはROAD studyと呼ばれる疫学調査です.ROAD(Research on Osteoarthritis/osteoporosis Against Disability)studyは本邦の環境の異なる3か所に設置された3040人からなる運動器疾患予防のための集団を対象に行われた研究です.

変形性股関節症に対してもIidaka先生が論文としてまとめられておりますが,この研究によりますと変形性股関節症の有病率は男性で18.2%,女性で14.3%で,Kellgren-Lawrenceがgrade3以上の重度の関節症の有病率は男性で1.34%,女性で2.54%とされております.

この研究の大きな欠点は関節症の診断をKellgren-Lawrence分類で行っている点です.本邦における変形性股関節症の特徴は,関節裂隙の狭小化というよりも寛骨臼形成不全に伴う骨頭の外上方偏位だと言えますが,Kellgren-Lawrenceではこの外上方偏位が十分に反映されません

Kellgren-Lawrence分類

Grade 0:正常
Grade 1:関節裂隙の狭小化の疑いがあり,軽度の骨棘がある
Grade 2:骨棘が形成され,軽度の関節裂隙狭小化が出現している
Grade 3:中程度かつ複数の骨棘が形成され,関節裂隙の狭小化や軟骨下骨の硬化像が出現
Grade 4:大きな骨棘が形成され,著しい関節裂隙狭小化や軟骨下骨の硬化像が出現

上の左側のX線と右側のX線はそれぞれ進行期,末期の変形性股関節症例のX線ですが,Kellgren-Lawrence分類を使用して重症度を決定するといずれもGrade4と判定されてしまいます.右側の方が骨頭の外上方偏位は高度であることは明らかですが,関節裂隙の狭小化や骨棘・軟骨下骨の硬化像の程度から重症度を反映するKellgren-Lawrence分類では,亜脱臼の程度が反映されないのです.

しかしながらこれだけの大規模疫学データというのは他には存在しませんので,有病率としては非常に参考になる結果だと思います.

地域住民コホートのX線調査結果では,変形性膝関節症,変形性腰椎症,変形性股関節症,手の変形性関節症の有病率が検討されている.有病率はそれぞれ変形性膝関節症で54.6%(男性42.0%,女性61.5%),変形性腰椎症で70.2%(男性80.6%,女性64.6%),変形性股関節症で15.7%(男性18.2%,女性14.3%),手の変形性関節症で91.5%(男性89.9%,女性92.3%)とされており,膝・腰椎・手の変形性関節症の有病率に比較すれば,その有病率は比較的低い結果となっています.

 

 

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参考文献

1)軟骨研究と変形性関節症 変形性関節症の疫学. CLINICAL CALCIUM.28:761-766, 2018
2)Iidaka T, Muraki S, et al: Prevalence of radiographic hip osteoarthritis and its association with hip pain in Japanese men and women: the ROAD study. Osteoarthritis Cartilage.24: 117-123, 2016

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