脊椎圧迫骨折例の日常生活(ADL)指導~骨折部に負担をかけるな!~

投稿者: | 2018年7月15日

前回は脊椎圧迫骨折例の姿勢・歩行についてご紹介いたしました.

脊椎圧迫骨折の立位姿勢・歩行(Knee Spine Syndrome)~腰が曲がるのは膝のせい?~

脊椎圧迫骨折例の姿勢や歩行を考える上では膝関節を中心に全身を診ていくことが重要であることを理解していただけたと思います.

今回は脊椎圧迫骨折例の寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行を中心にADL指導のポイントについて考えてみたいと思います.

 

 

 寝返り 

寝返り動作は離床を図る上でもっとも重要な動作の一つです.

また急性期には臥床状態で過ごす時間が長いので,骨折部に負担をかけることなく寝返り動作が行えるように,理学療法士が動作指導を行うことが重要となります.

 

 

左上の寝返り動作では下部体幹のみが寝返り方向に回旋しておりますので,骨折部に回旋ストレスが加わることになります.

左下の寝返り動作も同様ですが,上部体幹のみが回旋しておりますので,骨折部に回旋ストレスが加わることになります.

脊椎圧迫骨折例の多くは上肢には障害が無い場合がほとんどですので,上肢でベッド柵を引っ張って上部体幹から回旋させるような動作パターンをとっている方が多いです.

 

 

理想は右上のように上部体幹と下部体幹を同じタイミングで回旋させることが重要です.

このような寝返りであれば骨折部への負担を少なくできます.

 

 

 

 起き上がり動作 

起き上がり動作も離床を図る上で非常に重要です.

また起き上がり動作を考えるときには,ベッドのギャッチアップ(Gatch up)機能を使用して起き上がる方も多いので,骨折部への負担の少ないギャッチアップの方法についても指導を行うことが重要となります.

 

左側のような下肢を先行して下垂するような起き上がり動作では,骨折部に側屈・回旋方向のストレスが加わってしまいます.

したがって起き上がり動作を行う時には,上部体幹と下部体幹が同時に回旋し,上部体幹と下部体幹が一直線となるように起き上がることが重要となります.

 

またギャッチアップ機能を用いるときには,ベッドの軸と骨盤の位置が一致していることが重要となります.

左側のようにベッドからずり落ちたような姿勢でギャッチアップ機能を用いて,起き上がり動作を行ってしまいますと,骨折部に屈曲方向のストレスが加わってしまいますので,骨折部の圧潰を進行させてしまうことになります.

ギャッチアップ機能を使用する場合には,背臥位の状態で可能な限り上方へ身体を移動させた状態で,起き上がり動作を行うことが重要です.

 

 

 

 立ち上がり動作 

離床が進むと移乗動作や移動動作の際に必ず立ち上がり動作が必要となります.

特にトイレ動作は一日の中で最も多い日常生活動作の一つになりますので,便器からの立ち上がりも含めて動作指導を行うことが重要となります.

 

立ち上がり動作の中でも離臀前に体幹を前屈して重心を前方に移動させるphaseが特に重要です.

左側のように胸腰椎が屈曲してしまわないように,右側のように胸腰椎を伸展位に保持したまま骨盤を前傾させることが重要となります.

この際に重要な役割を果たすのが腸腰筋です.

動作指導と合わせて腸腰筋のトレーニングを行うことが勧められます.

 

 

 歩行動作 

以前の記事でもご紹介いたしましたが,歩行補助非使用での歩行では脊椎に大きなストレスがかかります.

ある程度,骨癒合が進むまでは歩行車を両上肢で支持するなどして骨折部にかかるストレスを軽減することが重要となります.

 

 その他の日常生活動作 

基本的には体幹の前屈動作を伴う動作に注意が必要です.

和式スタイルで生活されている方には洋式スタイルの環境に整備を行うように指導を行います.

また意外に体幹前屈動作が起こりやすいのが,入浴動作です.お風呂の椅子は低いものが多いので,低いものだと坐位姿勢をとった際に胸腰椎が大きく屈曲してしまいます.

入浴用のコルセットを装着して入浴するように指導するとともに,シャワーチェアの使用が必須となります.

また浴槽への入浴に関しては浴槽が狭いと,胸腰椎が大きく屈曲してしまいますので,浴室環境を評価した上で,場合によっては骨癒合が進むまではシャワーにとどめておくなどの指導も必要です.

 

 

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